>>358
吐く息が白い。 空を見上げると、白い放射霧がかかっている。冬は着実に近づいてきているのだ。
コンビニのドアを押すと、コーヒーの匂いがした。私と入れ違いに、湯気の立つカップを手にした客が外へ出て行った。
店内は混んでいた。数人の客が、商品を手にレジに並んでいる。
レジに並ぶ客のひとりが手にしているサンドイッチが、私の目に留まる。分厚いハムが挟んであるやつだ。
私もそれが食いたくなって、棚へ向かった。
 見たことのないハンバーグ弁当もあった。サンドイッチよりずっとうまそうに見える。しかし財布の中は心もとない。
サンドイッチひとつだけの会計を済ませて店の外に出ようとしたところで、ラックに差し込まれてある新聞の見出しに引きつけられた。
新聞を掴み、二度目の会計を済ませて外に出た。そういえば今日は給料日じゃないか。
給料日を忘れているなんてどうかしている。歩きながらサンドイッチの包装を破り、そのまま道に捨てた。
口に放り込んでしまえば、たいしてうまいものでもなかったと思いながら、新聞の見出しを追った。