続き

百メートルも歩くと、五枚ものビラが手に収まっている。私は立ち止まってビラを眺めた。
出会い目的のイベントサークルのビラの他に演劇サークル、文藝サークル、ワンダーフォーゲル部、空手なんてのもあった。
ようやくお祭り騒ぎの中央広場を抜けて、大学生活一発目となる教養課程の講義が行われるB党に着いた時、
私はどこに行っていいのかわからずに、掲示板の前でキョロキョロしていた。
講義のある部屋がどこにあるか、それを探しているのは私だけではなく、他に四人ほど立ち止まって、掲示板を見つめていた。
B党の掲示板がある場所は、東南に位置していて、午前中は陽が当たらない。
私はそこでジッとしているのが寒さの故に、耐えられなくなってきて、軽く体を揺すって熱を取り戻そうとした。
日影で春風に吹かれているととても寒く、底冷えがした。私は掲示板から離れて、陽の当たる場所へ移動した。
B党はモダンな建物で立体的に上から観ると歪な形であることが想像できた。掲示板のあるところからみて左手にB党の入り口があった。
私はB党に入ってラウンジまで行き、ソファに腰掛けた。このソファも芸術的で、ソファの形や配置は、なんと表現したらいいか、まさにアートと呼ぶに相応しいものだった。
色は肌色のピンクやら赤やら橙やら、たくさん色付けされたソファが幾重にも折り重なっていてルービックキューブのようだった。