すいません。一見、評価を願いたく。
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「あいつはな、男の性欲を嫌がるような女じゃない。むしろ、利用するぐらいの奴だ」
「ゲホッゴホッ!」
「驚いたか?」
「ゲホッ! そうじゃない、噎せたんだ。この梅雨の天気で体調が悪いんだ」
「そうか。あいつは狡猾だ。性欲を利用して意中の相手と関係を作ってしまうぐらいはやる」
「本当に?」
「ああ。あいつとの付き合いは長い。俺は解っているつもりだ」
「じゃあ、どうするつもりだ?」
「今からあいつの家に行く。そして気持を伝える。もはや猶予はない。できるか?」
「ゴホッゴホッ! ガハッ!」
「また噎せたか?」
「ゴホッ! お前、今日はあいつから連絡があった日じゃないか」
「だからどうした?」
「いや、だから、ええと……」
 俺はライン(スマホのアプリ)を確認した。
「今日は愛子が『今日はデートだから連絡してこないで。家にも来ちゃダメだし、私に迷惑をかけないでね』と言ってきた日だ。その日に愛子の家に行くのか?」
「そうだ、もう時間がない。お前は潔く玉砕でもしろ」
 斎藤の目が鋭く光った……ような気がした。
「なぜ俺がそんなことを言うかわかるか?」
「え? ええと……解らない。何も」
「実はな、俺もあいつに気がある。今でも狙っている」
「ゲホッ! ゴホッ! ちょ、ちょっと待てよ。今まで長い友達付き合いで、お前がそうだってこと、一度も言ってなかった……ゴホッ!」
 そこで俺は、メロンソーダを飲むことを諦めた。俺は甘いものが好きだ。紅茶だのコーヒーだの苦いものを飲んでいる奴は馬鹿だ。斉藤は言った。
「あんな美人に惚れない奴などいるわけがない。俺も例外ではないんだ」
「……それなら、なぜ俺を応援する?」
「なぜお前の恋の手伝いをするか? 言っただろう。お前が玉砕したら俺の番だ。この際はっきりすることだな」
「お前、いい奴だな。小説の中の登場人物みたいだ」
「そう褒めるな。俺のクーペに乗れ。早くそのアイスを食ってしまえ。見ているだけで気持悪い」