押し当てた耳が、君の体温を感じてた頃。
あの日々はとても遠くて、その遠さはあらゆる雑多な物事に
埋め尽くされていて、
だからもう君のフルネームすら想い出せないのだけれど、
でも何故か今日みたいな、春なのにやけに冬めいた風のふく夜は、
まだ寒いね、という君の声を、
その温かい湿り気を思い出してしまう。