ところが、驚くべきことに、実はこの虚体こそが
エクリチュールの実体に他ならないことがわかる。
なぜなら、先ほどエクリチュールの実体と思われた物は、
単に、総体としてのテクストを実現させるための物理的な何か、
作動装置のボタンのような物に過ぎないからである。
エクリチュールの実体は、実は虚体の方だったのである。
そういうアベコベ的な存在形態となっている。