0784名無し物書き@推敲中?
2023/07/08(土) 20:50:18.77【ラノベ文を読める文学作品に修正】
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渡辺透は恋に落ちていた。
入院と退院、休養、半年間の停滞を余儀なくされたが、
長年通っている就労継続支援B型作業所に復帰すると、新しく入ってきた男性女性と挨拶を交わした。
そして、渡辺透は恋に落ちた。
COSA NOSTRA!
(それ以外のことは口に出してくれるな!)
2ヶ月前に入ってきた"小林真理"に恋をした。
40歳前後、魅力的な女性だった。
風光明媚な出立ちをしていて、なんというか、
麗しかった。
渡辺は今年で36歳になるが、女気は皆無、男としての精魂尽き果てある種の悟りのようなものを開いていた。
女性と最後に付き合ったのが齢23、その間13年もの間、音沙汰がなかった。
誰かにそれを強いられているというわけではなく、ただ単に渡辺が異性に相手をされなかったというだけの話である。様々な手段をもって恋人を作ろうと果敢に挑み、画策し、行動に移し、出来る限りの努力をしていたが、徒労に終わった。
何人もの女性にぞんざいな扱いをされていく内に、自分は独り身のまま人生を終えるのだと卑屈な心境に達した。諦念、悟りの境地に入り、自らを守るようになった。
どうせ自分は一生女性から相手にされないのだから自分も一生女性を相手にしない。
螺旋、思考の渦を旋回し、待ち惚け、
自分を慰める毎日を送っていた。
Tu as de la classe.
(一流に秀でている。)
----Chapter X.----