日曜の朝、都内某所
レイド愛好家たちが集まる小さなサイトのジム巡りオフが開かれようとしていた
徹夜のコンビニバイトを終えた俺は集合時間3分前、急いで集合場所に向かった

既に来ているメンバーは8人
その輪の中へ、俺は愛ポケのナッシーに乗って静かに入っていった
「遅くなってスイマセ〜ン!」
オフの主催者でありサイトの管理人でもある俺が出遅れるとは跋が悪い
「幹事の種ソラビナッシーおやじです。今日は皆さんよろしくお願いします」
大きな声で挨拶をする

「あ、おはようございます」
顔見知りのメンバーが俺に挨拶をしてくる

「あ、ども!ウソッキーガイジ爺じゃ、今日はワシも頑張るんでよろしくな」
ウソッキーを杖の代わりにした見慣れない老人が俺に挨拶をしてきた
もしかして、この人が昨夜レイドに突然参加したいと連絡をよこした爺なのか?

俺は眉間にシワをよせて爺とウソッキーをじっと見つめて言った
「え〜っと…ウソッキーガイジ爺さんだっけ?君さぁ、今日何をするか知ってる?」
「あ…?東京スカイツリーを見ながら錦糸町とかでレイドバトルするオフじゃろ?」
それは合っているが爺が連れてきたウソッキーは無理なんで俺は率直に言った
「うん。で、君のポケモンって寄生虫だよね?」


「?今なんと言った?キセイチュウ? ワシはまだ里帰りしとらんから帰省中じゃないんじゃが」
爺が惚けたことを言い出したので俺は続けざまに言った
「今日行くレイドツアーだけど…メインは伝説スイクンだよね?レイドレベル1とか2までなら許せるんだけど…」

「…大丈夫じゃよ!ワシのウソッキーは高個体値だしPL30まで強化してあるんじゃし、若い者に迷惑はかけんよ!」
「それに…最強の岩エッジじゃしな!」

爆笑の渦が起こった。そして俺は苦笑いしながら言った
「いくら個体値100%でも岩エッジでも、最大CP2000ちょいのウソッキーは劣化ゴローニャでしかないないよ。それと…スマホでスイクンの相性を検索してみて」

爺は平常心を装ってはいるが慌てた手つきでスマホで検索しだした
そして俺は言った

「スイクンは水ポケモンだから水技弱点のウソッキーじゃ技2くらって即死だよ。それにウソッキーのヘナチョコ岩技とか等倍にしかならないし(苦笑」
「種ソラビナッシーならタイプ一致草技で技1も技2もスイクンに効果抜群とれるし、それにスイクンの水技に耐性だし
君の最強(笑)岩エッジウソッキーじゃついて来れないよ、まさにレイド寄生乞食でしかないよね」

爺はウソッキーを振り回してメンバーを殴りつけよう暴れだしたがスローモーションのような動きをかわせないメンバーがいる筈はなく、無理だと分かると泣きながら走り去っていった。
そしてレイドオフ会は最終の午後7時に終わり初スイクンを捕獲できたメンバー達の笑顔を見ながら解散した
帰宅後掲示板を開いてみると、そこには今日のレイドバトルを楽しそうに振り返るメンバーたちの書き込みがあった
俺はその書き込みを確認しながらコメントを返していると、午後10時頃見慣れないHNで書き込みがあった
『種ソラビナッシーおやじ臭えんだよ、しね!』と

こんな書き込みをするのは、ウソッキーガイジ爺しかいる筈はなく、俺は直ぐにレスを返した
『ウソッキーガイジ爺さんだね、当サイトのルール通り君をアク禁にします』