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【元祖】こんなゴルゴ13は嫌だ!25発目
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0726名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/25(木) 19:55:43.63
和歌山県南紀白浜。この関西を代表するリゾート地にホテルハナガタグループ随一の高級ホテル「ホテルグランド花形南紀白浜」がそびえる。
夕日が太平洋に沈む壮大な風景を眺めながらの露天風呂と黒潮が運ぶ新鮮な海の幸はここ南紀白浜でも他の追随を許さない。
ミシュランでも三つ星の豪華なホテルである。
しかし公安当局はこれを機会に代替わり阻止、明石組の解散を狙っていた。
相原ゴルゴは一徹ゴルゴを訪ねた。襲名式場の件ももちろんあるが、稲原組と明石組を競わせるようなやり方に抗議のひとつもせねばならぬ。
温厚、老獪な性格で知られる相原であるが、極道として言うべきは言う。それも相手を気遣いながら言う術がこの男にはある。
「一徹さん、岩井が色々世話んなっとるそうで、ワシからも礼言わしてもらいますわ」
「いやいや。で、今日は何のご用じゃ?」
「岩井が跡目を継ぐんは決まった。ところがどこも襲名式場を貸してくれん。それで相談させてもらいに来たちゅうわけですわ」
「式場を貸してくれるなというお達しがあったことは満からも聞いておる。誠にすまんが花形グループのホテルも使えまい」
「やっぱりそうでっか。ほかにどこか襲名披露にふさわしい場所おまへんやろか」
「梶原の親父の話では、白木さんのところには圧力はかかっておらんということじゃった…」
「か、梶原の親分が…でっか?」さすがの相原も動揺を隠すのに苦慮した。梶原ゴルゴといえば短髪に角型のサングラスで空手家、
野球界、ボクシング界、プロレス界は言うまでもなく、極道社会にもいまだ隠然たる影響力をもつ戦後日本伝説の大親分である。
(その梶原ゴルゴを「おやじ」とは、この一徹という男、若衆の杯でも受けておるのか…)
「さよう。警察も白木さんのところはあなた方のような人との関わりがないと見てのことじゃろう。
熱海にある白木コンチネンタルホテルなら、梶原の親父が白木さんに頼んでもよいが…とワシにいっておった」
「熱海で!なんぼなんでもそんなことできまへんがな。稲原さんの庭で明石が襲名披露やるわけにはいきまへんで一徹さん」
「相原さん、あんたの心配はごもっともじゃ。梶原さんはそれも考慮して、稲原さんを説得して下さるというておった」
「いくら説得されてもでっせ、稲の代紋の庭で襲名披露したいうことになったら岩井が、いや明石組が笑いもんですがな。だいたいでっせ、
白木さんのお嬢さんは宮地いわしたチンピラのこれ(小指)やないでっか、そのチンピラが稲原さんとこの若いモンになっとるんも、
一徹さん、あんたが仕組んだことでっしゃろ?稲原さんとことうちは今のところ、『明石組は多摩川を超えん』いう条件で休戦状態に
なっとるんです。そこへわざわざガソリンにマッチ放り込んで、いったいどういうつもりだんねん?」
温厚な相原が語気を強めて言った。
「無理にとはいっておらん。喧嘩になるリスクもあろう。じゃが、逆の見方もできよう。熱海で敢えて襲名披露をやる。それこそが、
熱海すらも明石組のシマ内だということを関東の、いや日本の極道全体にアピールするチャンスとは思わんかね?」
「どっちにしても、ワシの一存で決められめへんよって、いっぺん組で相談してみますわ」渋面で引き上げる相原ゴルゴを見送りながら、
「梶原の親父が稲原に口利きなんぞするまいて。稲原がどう動くか楽しみじゃ。
両倒れになってくれれば、それも恩の字。そのときこそ、いよいよこのワシが日本を制するときが来ようて…ふふふ」
と、驚くべき野心を覗かせる一徹ゴルゴであった。
0729名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/26(金) 07:46:04.24
新宿大ガードから新大久保よりに歩くこと5分。高層ビルやタワマンがやたらに増えた北新宿周辺の風景に埋没している8階建ての古ぼけたマンションに、梶原ゴルゴが弟の真樹ゴルゴと共同経営する「カジワラプロモーション」の事務所があった。
その応接コーナーで一徹ゴルゴは事務員の女の子が出前で頼んでくれたコーヒーを啜っていた。
壁には兄弟が原作を手がけた漫画の原画や芸能人、梶原本人とツーショット、あるいは弟とのスリーショットで撮られた芸能人や格闘家の写真などが額に収められて所狭しと掲げられている。
もちろん一徹ゴルゴの絵もそこにあった。飛遊馬ゴルゴと明子ゴルゴ長屋の井戸端に立ち、自分が夜空を指さしている有名な構図の絵を、なんとなく面映ゆい気持ちで眺め「わかば」を3本ほど灰にした頃、社長の梶原ゴルゴが「お待たせ」とやってきた。
一徹の正面のソファにでかいガタイをどかっと下ろし、両脚を広げた間に両手をだらりと
垂らし、応接デスクの上の客用煙草ケースから煙草を抜き取りくわえると、梶原の背後で直立不動で立っている、上司同様イカツい顔をしたお付きらしい若者が腰を曲げ「失礼します」と梶原の煙草に火を点けた。
「君、悪いけどこの場をはずしてくれ」と、その顔に似合わず意外にやさしい声で若者に命じた。
若者も武道者とみえて「押忍!」と両手を突っぱね首だけ下げる挨拶で立ち去った。
なにかと世間に誤解されているが、この梶
原ゴルゴ、面貌とナリは筋者そのままだが、若い頃は文学青年というインテリであり、心根はやさしく繊細な気配りが出来た。
ただ激情熱血型の性格のゆえ、筋が通らない話には荒くれることもあるが、基本的には紳士で話せばわかる立派な大人である。それは弟の真樹ゴルゴも同じだった。
この男のペン先から一徹以下、飛遊馬、花形満、矢吹丈、力石徹、白木葉子、太賀誠、早乙女愛などが創造され、一流漫画家たちによって造型され世に出たのである。
今なお愛されるキャラクタたちであり、それを思えばこの男こそ、ある意味日本の巨星ともいえた。
その巨星に一徹ゴルゴは岩井ゴルゴとの会談のあらましを伝え、岩井の襲名披露の場所問題に力添えを頼み、そのためには稲原さんとの間を取り持って、梶原さんのお墨付きをもろうて、あらためてわしからも岩井さんを同行して白木さんにお願いしたい旨を話した。
「わかった。一徹さんも葉子もみんな俺の子供みたいなものだ。子供の頼みを聞かない親はいない、逆に親のいうことを聞かない子もいない、今時古い考えかも知れんが、それが俺の人生観みたいなもんだから」
スーツの胸ポケットから、えらく旧型の携帯電話を取り出し、ピポパと電子音を鳴らしながらダイヤルした。
「梶原です。会長いるか?」と野太い声を電話に送り込み、携帯を手で覆って「龍ちゃん、いるみたいだぜ。よかったな」と梶原ゴルゴは茶目っ気たっぷりにウインクしてみせた。
関東任侠の世界では右に並ぶ者はいないとされる稲原龍二を龍ちゃんと気軽に呼ぶその貫目の大きさに一徹ゴルゴは今さらのように畏怖を覚えた。
また自分が話した内容を一聞しただけで呑み込む頭のよさ、それを聞いて納得すれば即断即決ですぐに実行に移す行動力にはいつもながら畏れ入るしかない一徹ゴルゴであった。
0730名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/26(金) 10:09:55.73
稲原はこのとき、熱海の事務所にいた。何かと行儀が悪い井沢ゴルゴの処遇について、鶴田ゴルゴに注意を受けている最中であった。
梶原ゴルゴからの電話を取ったのは、若い者になりたての矢吹ゴルゴである。長髪だった髪を坊主にし、若衆が着る濃紺の制服を着ている。
「はい稲原。…親分ですか?いらっしゃいますけど今、大船の叔父さんと話されてます。どちらさんですか?」と、丁寧ながらも、
自分の親分を「龍ちゃん」と呼ばれたことに抵抗を感じつつ、「親分、梶原さんとかいう人から電話です。なんか失礼な奴ですね」と矢吹ゴルゴ。
「梶原の親分が!この馬鹿、なんでもっと早えとこ言わねぇんだ!」と血相を変えた稲原は矢吹ゴルゴの顔に平手打ちを入れるやいなや、
受話器を取り直立した。「梶原の親分。ご無沙汰しておりやす。うちの若いのがとんだ間違いをやらかしちまって…」と頭を下げる。
「龍ちゃんか、元気か、六本木に寄る用事でもあったらいっぺん遊びに来なよ。今ホットシーで龍ちゃんと会った徹っちゃんが来てる。
用件は手っ取り早く言うと、明石の4代目の襲名披露、熱海でやらせてもらうから龍ちゃんにも言っとかなきゃだめだと思って電話したんだ。
「あ、明石組の襲名披露をこの熱海で、ですか…、へい、そりゃ、よろこんで。白木コンチネンタルホテル?そりゃあ明石組さんにふさわしい、
いいホテルですよ」
「あ、そうだ、龍ちゃんついでにさ、媒酌人やっちゃいなよ向こうも襲名式と杯直し一緒にやりたいだろうからさ、その方が手っ取り早いよ。
龍ちゃんとこにも無くなった明石組3代目や、ガンちゃん(岩井のことである)と杯してるのいるんじゃない?見ておいて損は無いよ。
ああそうだ見届人はさ、京都の山本小鉄会に頼もうよ、あすこと龍ちゃんとこでやったら式も見栄えがいいしさ」
と、一気に話を進めてしまう梶原ゴルゴに圧倒される形で稲原ゴルゴは電話口で汗を拭き拭き「へい」「へい」と返事するのがやっとであった。
「じゃ、具体的に決まったらまた電話するから、うんうん、ああ気を付けるよ。じゃあな大船のとっつぁんによろしくな」と威勢よく
電話を切る梶原ゴルゴ。
「徹っちゃん、龍のやつ、OKしてくれたよ、さあ、飯でも行こうか、ステーキでも食うか?それとも鰻?めんどくさい、両方食っちまおう」
と勢いの止まるところを知らない梶原ゴルゴは、ついに、一徹ゴルゴを徹っちゃん、稲原を龍、岩井をがんちゃんと呼んだのである。
0731名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/26(金) 14:28:58.49
>>725
>>717はどう見たってゴルゴネタなんだけど( ゚д゚)ポカーン
漫画のキャラに向かって脅迫どうのこうのって。
おかしいというよりあんたがコワイよ。
とりようによってはあんたが>>717
「そういう書き方をしていると脅迫罪になる」(実際はなるわけないけど)
と恫喝しているとも解釈できるけどね。この方が問題じゃね。
0733名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/26(金) 16:30:07.88
↑ゴルゴは住所や本名は隠されているけど、顔は、例えばマスク等を被って隠しているわけではない。普通に晒している。
つまり、顔を晒してる人に「顔を割り出す」って言うのはおかしいよな。ゴルゴに対しては当てはまらないということだわ。
つまりゴルゴに対して書いてることにはならないよな。
0734名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/26(金) 19:31:31.53
↑穴だらけの理屈こねるのはどんなもんかね。
まず、なぜゴルゴが素顔だと言い切れるのか。たかをに裏取ったんでしょうか?
次に、仮にゴルゴが素顔だったとして、外観だけでは誰もその人物をゴルゴと特定できないのだから、
「顔を割り出す」のは自然(顔が周知されていない状態の者の顔を割り出すのだから)
0735名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/26(金) 20:24:48.95
>>717さんのカキコが脅迫罪を構成し成立させる要件を書いて欲しい。その要件を使い、どうしてこのカキコが脅迫罪と言えるのか論理的に説明できるか?
このカキコだけなら、一体誰が誰を脅迫しているのかまるで不明だから、まずは無理だと思うけど。
掲示板で人のカキコにいちいち悪意の言いがかりを付けて荒らすのはいい加減にしてくれと言いたい。
長編ゴルゴという新しい手法でとりあえずは読ませてくれる楽しみなレスも続いている中で、あなたの振る舞いは嫌がらせ以外のなにものでもない。
0736名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/26(金) 21:35:30.59
>>717が最近来た人で匿名性と
秘匿性を大事にするゴルゴを
単に茶化したつもりで書いた
のなら、この人引くだろうね。
ジジイの新参者イビリまる出し。
見ているこちらも不快だよな。
0737名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/26(金) 23:31:40.10
アホのくせして小賢しげに屁理屈こいて叩かれて。いつものミジメな負けバターンをいつまでやっとるねん、ええ加減ちゃっちゃっとこのスレから失せさらせダボがwww
0738名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/27(土) 02:47:20.42
だからね、顔は普通に出してるのに、割り出すも何もないだろ?
つまり、ゴルゴに対して言ったレスではない事は明白だろ。
顔を普通に出してる人に顔を割り出した…って、意味が通じない。
わざと何でもかんでも屁理屈こねて、わしを否定してるわけやろが、アホどもよ。
駄仁夫もその走狗もわしに絡むな、ドアホ!
(-""-;)
0739名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/27(土) 03:36:31.43
起床したらアダルト漫画ポルノ18とかになってた股間も起床したらターゲットに騎乗されアン撮完了
という夢だったら良かった
午後のゴルゴ
0740名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/27(土) 05:27:30.20
結果がすべてだが、その結果を自分の目で確かめることは不可能であるのは、何につけ悲劇だな、ゴルゴ
0741名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/27(土) 07:17:55.01
日本橋の「ウェスタ」で三田肉の最高級ステーキを奢られ、それだけでも満腹堪能したのに「いいじゃねえか、徹ちゃん。つきあってよ」と若い衆が運転するクルマに無理矢理押し込まれ、南千住の「尾花」で鰻をつき合わされた。
梶原親分の相変わらずの高級店好きと健啖ぶりには呆れるわい、と梶原のクルマのテールランプを見送りながら、あらためて苦笑した。
千住から長屋がある町屋まで近い。送るよという梶原の好意を丁重に断って、一徹ゴルゴは荒川の堤防道を歩いた。美食と名酒にほどよく酔った体を川風が気持ちよく覚ませてくれる。
考え事をするには格好の逍遙となった。
「あれでよかったのだろうか」と彼は思う。梶原に一任したことで自分のイニシチアブが奪われた感もしないではない。
東西に君臨するやくざ組織を自分の手中に収める動きは結局梶原の掌中に委ねられたことになったのも同然だ。
いいようもない焦燥と策謀が渦を巻きながらかたち作っている黒い影が一徹ゴルゴの胸に広がっていった。
あわよくば菱と稲を相討ちにさせ、それに乗じて梶原も屠ってしまう方策はないか。スカイツリーが夜空に電飾を映えさせている姿を遠望しながら河原の土手に座り、煙草をふかしながら思案投げ首に耽る。
菱の代紋に稲の代紋か・・・。代紋バッジ!そうだ、熱海でたむろっている稲原のまだパシリクラスのチンピラどもに喧嘩をふっかかけさせる。当然コミ合う。その現場に菱の代紋バッジを落としておく。
当然稲原側が明石側が「悪さ」を仕掛けてきたものと断ずるとまではいかなくとも疑う。稲原側に疑心暗鬼を生じせしめることになる。
稲原ゴルゴはいかな相手が梶原ゴルゴとて、その誠意をまるごと信ずるわけにはいかないと思い始めないか。
一徹ゴルゴは思わずにやりとしたが、さて、では菱の代紋バッジをどうして手に入れるか、である。
代紋はやくざにとって命に次に大事なものだと聞いている。たとえバッジでもそんなものを落とすとはもっての他だろう。
夜露に濡れるのも構わず、一徹ゴルゴは腕を組んでしばし沈思黙考し続ける。
そんなところへ通りかったのが寅ゴルゴであった。この男は川と見るとなぜか土手道を歩きたがるのである。
「いよーっ、一徹ちゃんじゃないの。久しぶりだねえ。こんなとこでナニしてんの?
また明子ちゃんにでも叱られて家をおっぽり出されたか。
それともこんな晩にこんな寒いところで日向ぼっこなのかい。お天道様はとっくに沈んじまってるよ」と一徹ゴルゴの肩をぽんと叩いて、勝手にその隣に座り込んだ。
「おお、寅さんかい。これは奇遇じゃのう。啖呵売の帰りかな。儲けたかい」
考えすぎて頭と肩を凝らせているところへ、こういう軽い男とおしゃべりするのもいい気分転換である。
「いやあ、世の中しけてるねえ。こんな安いバッジですらきょう日のガキは見向きもしねえよ」
と寅ゴルゴはトランクを開け、いかにも安物そうな、人気漫画の主人公だろうか、著作権も版権もまったく無視の、これまた下手くそなデッサンで顔が描かれたブリキのバッジを見せてくれた。
「寅さんよ、こういうのはどこで仕入れてくるのじゃな?」
「こんなもん、昔はこのあたりの町工場、今じゃ埼玉あたりのパートのおばちゃんが作ってるやつを、俺たちの親方みてえなのが上野や御徒町あたりの問屋から仕入れて俺たちに渡すんだよ」
「なに!作る!?作れるんじゃと。そうか。それだ!」
一徹ゴルゴの両目の中で炎が立った。炎は飛び出して寅ゴルゴの頬を撫でる。
「あちあちちちち、あちいよ一徹さん、いい加減にしなよ。いちいち何かのたびに目から火出してりゃまわりのもんがみんな火傷だよ」
寅ゴルゴが顔に手をかざし避けるのも無視して、一徹ゴルゴは立ち上がった。
「これじゃ、これじゃて」不適な笑みを浮かべて「うははははは」と呵呵大笑するのであった。
0742名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/27(土) 09:15:40.08
>>738
>脅迫以外の何物でもない。と、判例ではっきりしてるんやで。

その判例をここに見せてくれ。判例があるんだろ。見せなさい。ほら。
もしかしてそんな判例もないのに判例があるようなことを書いて、
まったく「脅迫罪」を成立しようがない書き込みやその書いた人間に
さも「脅迫罪」が成立するように書くのは虚偽告訴の第一歩だよ。
逆にいうと刑法172条の条文に君が抵触しているおそれがあるな。
「他人に刑罰や懲戒を受けさせる目的で、虚偽の告訴をする行為を
内容とする。告訴だけでなく虚偽の告発や、処罰を求めての申告も
含む」

なまじ何も知らないくせに判例だの知ったかぶって出したりすれば
とんだ返り討ちを受けることもある。それを頭に入れておいた方が
いいよ。
>お前、えらい事を書いたなぁ
ブーメランになっちゃったね(笑)
0743名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/27(土) 11:03:53.63
元々、DIYで大リーグボール養成ギプスを作ってしまう一徹である。バッチの偽装など容易かったのである。「週刊実話」に載っていた
稲の代紋のデザインを克明に再現し、石膏で型を作った。そこへ鋳鉄を流し込み、乾いたら型から外してめっきを施せば完成である。
熟練技能を有する職人は一徹の長屋にいくらでも住んでいた。「けど一徹さん、こんなもん作って、いってぇ何に使うお積りで?」
怪訝そうに尋ねる長屋の仲間たちに、「金地金の高騰で、どこの組もバッチつくりに難儀しておってな、試しに商売してみたいから、と
寅さんに頼まれたんじゃよ」と口から出まかせの一徹ゴルゴ。義理堅く一本気な性格とは裏腹に、あっさり他人を売ってしまう冷酷さも、
この男にはあった。これもまた、極道社会でのし上がるには不可欠な才である。

偽装バッジが完成するとすぐさま一徹は東海道線に乗った。熱海に付くころは夜である。車中から宵の明星が見える。あの星を飛雄馬と
目指した日々を懐かしみながらも、いま己が目指している別の星…、即ち全国制覇の野望が頭から離れることはなかった。感傷に浸る暇は
ない。

一徹は熱海のネオン街から神社の方へと歩いて行った。ちょうど縁日である。道の向こうから、肩で風を切って歩いてくる若者一行が
目に入った。稲原組の連中に相違ない。暴力の世界に憧念を抱き、この渡世に飛び込んできたばかりであろう。刺青とバッチを見せれば
皆が自分たちを怖れ、時には金を出す。最初に勘違いし始める頃の若者たちと見受けられた。このまま歩けば十メートルほど先ですれ違うはずである。
その時である。一徹の前を歩いていた着物姿のふたり連れの男の一人が、鮮やかにその若者たちを張り倒して見せたのである。その男は
何事もなかったかのように「おい、いくぞ」ともうひとりに声をかけ、そのまま去って行った。稲原ゴルゴと横山ゴルゴであった。
横山ゴルゴは侠として銭の使い方についての教えを稲原に説いていた最中であった。

(稲原と横山め(頭の中ではすでに呼び捨てである)、いらんことをしおって。じゃが、あの若者たちは稲原のところの者たちではなかった
のか…、たすかったわい)と、大きくため息をついた一徹ゴルゴであったが、気を取り直してまた歩き始めた。

次は小柄で痩身ながら、どう見ても与太者と思しき若者の姿が見えた。薄暗くて顔までははっきりわからぬが、稲原組の者に違いない。
「やつだ。やつと肩でも当たったことにして胸グラのひとつも掴んでやればよい。殴られるかも知れぬがワシのこの身体、そう軟にはできて
おらぬ。傷跡を付けられたら、バッチをその場に落とし、有難く岩井に見せればあとは勝手に事が進もうというもの。ふふふ…」
今度こそ作戦成功かと思われたそのとき、その若者が聞き覚えのある声でこう言ったのである。
「よう、一徹のおっつぁんよ、奇偶だな。あん時は段平のおっつぁんがすっかり世話になっちまったみてぇで、悪かったな。
俺もお陰で年少行き食らっちまってよ、2回目だぜ。へへ、あんたにゃたっぷり礼しなきゃなんねぇと思ってたとこよ」
「丈、丈くんかね。どうかね、あれから稲原さんのところでは、しっかりやってるかね?」と焦りまくりの一徹が答えた。
「しっかりも何も、稲原さんに紹介してくれたあんたが、今度は稲原さんを嵌めようとしてるんじゃねぇのかい?バッチ出しなよ」
「な、なに?どうしてそれを?(そうか、寅の野郎、稲原のシマで商売してやがったのか)」と言いながらも、
丈ゴルゴ相手にタイマンでは秒殺されるのは見えている。偽バッチを渡すよりほかに助かる道はなかった。
「へへ、こいつを稲原さんや梶原さんに見せたら、あんたどうなるかな?見せる見せないは、あんたの出方しだいだけどね」と丈ゴルゴ
「ワシに頼みごとでもあるのかね。言うがよい。できることはなんでもしてしんぜよう」
「頼みってのはほかでもねぇ。俺もよ、明石組の宮地って若頭倒してよ、いつまでも三下じゃ面白かねぇ。それこそ豚にでもまたがって
脱走しちまいてぇんだよ。だからあんたに、梶原さんに言ってくんねぇか。この矢吹丈を稲原の若頭、いや舎弟頭にでも据えてもらうようにってな。せいぜい期待してるぜ。
それまでこの偽バッチは預っとく。じゃあな、言い返事期待してるぜ」と無理やり一徹ゴルゴの肩を組んで
育ちの悪さを露呈させながら迫る矢吹ゴルゴの無理難題に、「策士、策に溺れるとはこのことか…、ワシもまだまだじゃの」と
薄笑いを浮かべる一徹ゴルゴであった。
0744名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/27(土) 14:42:28.38
花形モータースが開発したドローン搭載のカメラで一徹ゴルゴの行動は終始監視、
撮影されていた。
画像データは花形邸のリビングの隅に設えられたホームシアターの画面にも逐一
送られてくる。
「いったい父ちゃん、何がやりたいんだよ!熱海に行ったと思ったら東京に戻って、
梶原先生とステーキと鰻を食ったと思ったら、荒川の土手で大笑いして一目散に
長屋に戻って、今度はシコシコとバッジ作りに励んで、ほいでまた熱海に行って。
わからん…俺にはわからんっ!」と頭を抱えてしまう飛雄馬ゴルゴ。
「たしかに最近のお父さん、少し変ねえ。満さんもこの頃お父さんと行動すること
が多くなってからどうも変だし」
いったいこれからどうなってしまうのだろう…どこか危なかしい父の行動を思い
顔を見合わせる姉弟であった。
0745名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/27(土) 19:35:54.83
「おやっさん、これ!これ見てつかあさいや!」鬼の首でも取ったような勢いで山守ゴルゴの事務所にVHSのビデオテープを持って
駈け込んで来たのは槇原ゴルゴである。「なんじゃこんな朝の早うから。わしゃこれからトルコ風呂でも行こう思うちょるんぞ」と
不服そうな山守であったが、槇原に促されるままにビデオを観た。
「なんじゃこれは、いつぞや広能と呉をうろついとった一徹いうボンクラじゃあるまあが。何をしちょるんな、こん馬鹿たれは?」
そのビデオには花形モータースのドローンで撮影されていた一徹ゴルゴの一挙一動が収められていたのである。
「こん外道。日雇いがどぶねずみみたいな真似しおって。明石組か稲原組に知れたらどうするつもりじゃ」
槇原ゴルゴはこのビデオを花形ゴルゴの側近、速水ゴルゴから密かに入手したのである。
金と自己保身に目が無く、卑怯な手段で相手を陥めることが得意という点でこの二人は似ている。
速見ゴルゴは花形ゴルゴにも一徹ゴルゴにも私怨がある。それで密かに録画して持ち出し、槇原にはした金で売ったのである。
「おやっさん、一徹殺るいうんなら、ワシんとこの若いモン使うてつかあさい。全員カープファンで一徹は親の敵みたいに思うちょりますけ」
これを聞いた山守は、呆れたような表情を見せ槇原を見据えた後、再度画面を見ながらつぶやいた。
「こんなの考えの浅いのには呆れるわい。さぁて、このビデオ、どう使おうかいの。どっちにせい、いよいよ長編ゴルゴでワシの出番がきたちゅうことじゃ…」
とほくそ笑む山守ゴルゴであった
0746名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/10/28(日) 05:51:02.29
ハハハハゲェ!?ウ〜ン。分かるかぁ。どう言うかなぁ〜。鏡を見るだろ。するとな、髪の毛の分け目がな、日に日にハッキリしてきているんだ。頭頂部は頭頂部で、つむじの渦巻きがだんだんなくなってきて、地肌があらわになってきている。
ちょっとイヤな流れが髪の毛にきている(泣)。まぁいい。気にしたら、余計に抜けてくるだろ。狙撃に専念だ…
ハンドミラーに向かってブツクサブツクサ独り言を口にしている間にターゲットに逃げられたゴルゴ
0747名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/28(日) 07:48:06.06
後ろ手に縛られた西条ゴルゴを木刀で「こんくそ、タコめがクソ頭にのぼりやがって」と訳の分からないことを口走りながら広能ゴルゴは容赦なくぶちのめす。
「こ、こらえてつかあさい、後生ですけん、ギャーッ」
身動きとれない体で悲鳴を上げながら砂の上を転げ回り広能の折檻から逃れようとする西条ゴルゴ。
「お、女がテレビ欲しい、ちゅうたんもんやさかい」と喘ぎながら組の金をネコババした理由を吐くその姿に興奮した広能が「なんじゃと!」といっそう激しく木刀を打ち下ろす。
広能組の若頭である水上ゴルゴ、同じく若衆岩見ゴルゴが広能を羽交い締めにし、木刀を持つ手をなんとか押さえて「それ以上やると西条たら死によりますけん、こらえてやってつかあさい」と広能をなだめる。
子分らの必死の仲裁に肩で息をしながら木刀を放り出し「こんくそが」と西条に唾を吐き、それとなく海を見やり、煙草に火を点けた。
足下で西条は嗚咽し「大丈夫か」と水上たちが彼を介抱する姿を漠然と見下ろし、広能ゴルゴはいいしれようのない虚しさにおそわれた。
槇原ゴルゴが巧妙に立ち回り、自分が明石組の直盃を欲しがったことを棚にあげ、むしろ広能が明石組若頭である岩井ゴルゴと結託し、山守組を明石組に丸ごとを売ろうとしているという根も葉もないことを山守ゴルゴに讒言したらしい。
その苛立ちと怒りを自分の可愛い若衆にぶつけてしまったのである。おのれのあまりの器量の小ささに自分で呆れてしまったことへの悔恨もあった。
山守ゴルゴにとっても昔から広能ゴルゴはなにかと自分に反抗的で煙たい存在であり、そこへ槇原の佞言である。徐々に広能のシノギを取り上げていき、いわゆる兵糧作戦に出て広能の弱体化をはかっていた。
「槇原、おまえに言われんでもあれはわしにしちゃ獅子身中の虫じゃけ、虫は今のうちに駆除しとかにゃあなるまいて」
「そうですよ。広能は昔から腹に一物ある男ですけえの。なに考えちょるのがわからんとこがあります。あれが岩井と組んだら、なにせ明石組がバックについたようなもの。わしらひとたまりもありゃせんですよ」
海岸の方からは見えない場所に停めたタントの中から、浜辺の模様を眺めながら一徹ゴルゴの一件で山守の屋敷に訪れた時の会話を槇原は反芻していた。
(そうじゃ、あん時、オヤジにわしとこの若いのを一徹取りにと言うたが、なにもわしが矢面に立つことはあるまいて。あれだけ自分とこの親分にどつかれちょったら西条の盆暗とて面白うありゃせんわ。
細る一方の組のシノギで広能の若いモンも干上がっちょる。あいつらをけしかりゃええんじゃ。
岩井さんが心服しちょる一徹ゴルゴを殺ったのは広能んとこの若衆だとわかりゃ岩井さんも黙っちゃおれんはのう)
槇原はほくそ笑みながらカップラーメンをひと啜りしてダッシュボードの上に置いた。気を利かしたつもりか、もう食べ終えたと思った若衆がダッシュボードの上のカップ麺を「これ、放かしてきますけん」と手にした。
慌てて「まだわしが食うとるじゃろうが!」とタコの口を思い切り尖らせて鼻息荒く、若衆からカップ麺を奪い取り胸元に抱き寄せる槇原ゴルゴであった。
ちょうどカーラジオから、さだまさしの「北の国から」のハミングが「あ〜〜ああ〜あああ〜♪」と、間が抜けたように流れてきたのだった。
0749名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/10/28(日) 11:14:35.97
西条ゴルゴはあらためて詫びを入れに土産を持って広能ゴルゴを訪れた。ただし土産は手首ではない。8Kチューナー内蔵SONYの55型ブラビアである。西条も槇原同様、自身の利害損得だけを行動原理とする点で、シリーズの中ではヒールとしての存在感を示している。
西条は槇原ゴルゴと、このテレビと引き換えに一徹を始末する密約を交わしながら、あっさり反故にして、広能に事のあらましを説明に
訪れたのである。
それを聞いた広能は、「ほうか。槇原の考えそうなことじゃのう。それはそうと、一徹さんには動き読まれとるいうんは知らせにゃなるまい。それから速水じゃ。あン外道、花形さんに言うて飯食えん身体になってもらおうかの」
気が収まらないのは山守ゴルゴである。打本ゴルゴが相原ゴルゴと杯を交わしている以上、打本と敵対する山守組としては、
安全保障上、一徹ゴルゴの動きを稲原組に伝え、義理を売って稲原の傘に隠れる、というのが山守の描いた絵であった。
「槇原が余計なことしくさって。明石と喧嘩にでもなったらどうするつもりなら。こうなりゃ大久保さんにでも立ってもろうて稲原に
縁組の話持ってくしかないの」
また、広能からこの件を告げられた一徹ゴルゴは、「ワシとしたことが、それは迂闊じゃった。じゃが何も後ろめたいことはしておらん。
ワシは明石組の襲名式が無事に終わって稲原組との休戦が続けばそれで結構。戦争を経験しておるこのワシじゃよ。平和が一番なのは
身にしみてわかっておる。わはははは」と口から出まかせの大笑いをしてみせるのであった。
「いよいよこの男、信じられんわい。打本と杯しちょるけん、明石組の反目に回るいうことはない。そうなったらそうなったで、
稲原を敵に回すことになる」
こうして様々な思惑と裏切りが交錯する中、日本を二分する巨大勢力の均衡に左右されながら、一徹らをも巻き込んだ広島やくざ戦争は
激化の一途を辿るのであった。
0750名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/29(月) 07:37:31.56
様々な人間関係が縦横に輻輳し、それが徐々に収斂しつつあるのであればまだしも、おもに一徹ゴルゴを中心にした縦軸に明石組、稲原組、山守組、広能組の主立った関係者が複雑にからんでいくプロセスはもはやラビリンスの様相を呈していた。
広能ゴルゴでさえ、自分の一挙手一投足の糸が、そんな迷宮の中でどう絡んでいるのかまるで見えていなかった。
岩井ゴルゴに絡めば山守ゴルゴの思惑にがんじがらめとなってしまい、そのことは明石組ドクトリンの中に否応なしに組み込まれてしまう。
一徹ゴルゴと通じれば通じたで稲原組のそれに翻弄されてしまい、おのれの立ち位置の置き場に右往左往してしまう。
ある夜、このもつれ爛れた人間関係の綾から、一夜はずれてほぐしてみたいと、久しぶりに広島は流町の歓楽街の小さなスナックに身を置いた。
「つくづく極道をやっていることに疲れた」とこぼした坂井ゴルゴに「そんなことを言っちょると寝首をかかれてしまうで」と忠告した自分だったが、今度は逆にわしがあの世にいる坂井に言われてしまいそうじゃ、
と苦い笑いを琥珀色の液体に浮かぶ氷に溶かしてしまいたくなる。
昔収監された刑務所の檻の中で、組み合った腕を噛み流れ出た血を互いにすすりあったことで五分の兄弟分となった岩井ゴルゴが今では手の届かない場所に行った気がして仕方がなかった。
「わしは極道に向いちょらんかもしれんの」と思わず口に出してしまい、残りの水割りを一気に呑み込み、完全に角が取れた氷をがりがりと噛み、空になったグラスをカウンターに音をたてて置いた。
音を聞きつけてカウンターの中の女が「お代わりしましょうか」と広能ゴルゴの前にやってきた。
「ああ、お願いしますけ」
この店はごくたまにやってくる。カウンターだけの小さな店でカラオケも置いていず、古ぼけたテレビがカウンターの隅にあって、しかしほとんど消したままであった。
したがって独り客が多く、静かにゆっくりと酒と話を交わしあいながら日々の慰安を求める、そんな店だった。
そんな雰囲気が広能ゴルゴは気に入って、ここに来る時は極力極道者の匂いを消す。地味な色合いのポロシャツにデニムかチノパン、ローファーあるいはスニーカーを履いてサングラスも外していた。
もちろん光り物も装着せず、時計はごついロレックスでなくカシオあたりの安物のデジタルをはめていく。財布は長財布ではなくこれも安革の折財布をパンツの後ろポケットに入れる。
マスターとその関係が今一つわからない30代とおぼしき女が店を切り盛りしている。彼らは必要以上に客に関わってこない。話しかけた時だけ愛想よく控えめに応対するその奥ゆかしさも好もしい。
地味すぎる店だから、自分と同じ筋者客も来ないとみえて、胡散臭い客を見たことなど皆無だった。だからこそ余分な神経を使わずに済む。
今宵の客は広能ゴルゴ一人だった。
「お客さん、お退屈でしたらテレビ点けますか」とカウンターの中でグラスを磨きながら、初老のマスターが声をかけた。
「ああ、頼みますけん、チャンネルなんぞなんでもええですわ」
マスターがオンにしたテレビから、9時のNHKニュースの映像が出てきた。
「・・・温泉客でにぎわう熱海温泉でまたも暴力団同士の争いが起こりました。
今夜午後7時、温泉街の中心にあるクラブ『ホットシー』から稲原組系暴力団出水組組員が店から出てきたところ、店の前を走行する一台のセダンから数発の銃弾が撃たれ、クルマはそのまま伊豆方面へ逃走。
撃たれた組員は病院に緊急搬送され心肺停止のまま医師たちの治療を受けております。神奈川県警は現場を中心に2キロにわたって規制線を張り、厳重警戒体制に入り交通隊員による検問をおこない逃げたクルマの行方を追っています。
現場から堀越アナウンサーが伝えます。堀越さん・・・」
広能ゴルゴはスツールを倒して立ち上がり「なんじゃと!どうなっちょるんじゃ。カチ込んだのはどいつじゃ!」と大声で叫び、つい、やくざの地を出してしまったのであった。
0751名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/29(月) 10:19:22.14
長編ゴルゴてものすごいご都合主義な展開なんやね
0752名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/29(月) 14:14:51.88
明石組内では既に、「襲名式が終わるまで稲原組と揉め事を起こすな」という通達が出ており傘下の組にも徹底させていた。
この銃撃事件は跡目問題とは関係が無く、全く偶発的に起こったものであった。すなわち、個人的に稲原組系出水組組員と
金銭の貸し借りでトラブルを起こしていた、東京・荒川区に本拠を構える伴組の組員の犯行であった。事件後、伴組長自ら実行犯を連れて
荒川署に自首したことで大事に至ることはなかった。

伴組は、あの伴宙太を親分に担ぐ小さな組である。宙太ゴルゴは道楽のデコトラ三昧で伴自動車工業の経営を行き詰まらせ、
ヒューマゴールデンイーグルに株式を買い占められた挙句、花形モータースに買い取られたのであるが、宙太ゴルゴはその後、持ち前の
横暴な気性と柔道で鍛えた腕力で小さいながらも組を立ち上げ、クルマの違法改造などをシノギに細々と身を立てていたのであった。

事態は事なきを得たように見え、梶原ゴルゴは水面下で白木葉子ゴルゴと式会場の手配を整えている。全ては一徹ゴルゴ、いや梶原ゴルゴ
の思惑通りに進んでいるかのようであった。

しかし山守ゴルゴはこの発砲事件を見逃すはずがなかった。伴ゴルゴと言えば、一徹ゴルゴの指導を受けた教え子である。これを利用しない
手はない。
「伴なんぞには知恵言うもんがまったくないけ、しょうもないまねしおるわい。じゃが裏で一徹が絵描いちょるゆうことになってみぃ、
稲原が一徹を的に掛ける大義名分になろうが。そうなりゃ明石組も一徹派と稲原派に割れて打本どころじゃのうなるわぃ。そうなったとこで、
打本のボンクラにどないもならん恥かかせて引退させちゃれぃ。そうすりゃ広島は村岡も打本もみんなワシのもんじゃ、のう、のう、
やさしいお父ちゃんじゃのう」とホステスの股ぐらに顔を突っ込みながら卑猥な嬌声を上げる山守ゴルゴであった。

こうして、「伴が一徹の指示で反・稲原として動いたと」の怪情報が、「ご都合主義」と言われながらも、まことしやかに囁かれだし、
一徹ゴルゴとその背後に控える梶原ゴルゴに対する稲原ゴルゴの信頼は大きく揺らぎ始めたのである。
0753名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/29(月) 18:16:00.23
>>701
駄仁夫の走狗よ、もう駄仁夫にゴマするつもりでわしにゴチャゴチャ絡むのはやめとき。
わしに難癖を付ける事によって駄仁夫にゴマすってるつもりやろけど、駄仁夫って単なるアホやで。
そんなゴマするような価値のある人間やない。
ええ加減に目を覚まして、もう田舎に帰り。
アホに必死で付いて行ってどないすんのや。
意味のないことをすな。
0757名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/30(火) 05:38:02.06
委 寒  カ
員 い  ス
会→ね→ダ→
時 時  二
代 代  時
      代

次の政権を握るのは!?
0758名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/30(火) 08:46:14.98
↑そがいなもん、わしに決まっちょるけんのう、なあ、とおちゃんは金持ちじゃけ、金の玉を二つ持っちょるけんの、がはははは。
とホスちゃんの股ぐらから顔を出してニヤケる山守ゴルゴ
0759名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/30(火) 09:38:29.40
>>757
委員会、寒いね、ダニはともかくカスが「政権の座」にあったことなんかいっぺんもないでwww
あのカスはそれを勘違いしてスレを仕切りたがるクセが抜けきってないんや。
みんな大人やから適当に遊ばせて踊らしてただけや。
2ちゃん時代にそれで脚光を浴びて、そんなしょうもない栄光にすがりたいから、いらんこと書いては叩かれる、情けないただのハゲオヤジやがなw
0761名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/30(火) 12:00:12.88
>>753
この人まだこんなこと言ってるんだな。
「じゃダニオって誰よ、走狗は誰よ」って訊いても答えはないしね。
この人がよく「駄仁夫がちょっかいかけるから」文句を言わざるを得ないってゆうけど

ちょっかいにいちいち乗る方がおかしい。
それを承知で乗るのは結局カマッテさんですね。

と断言せざるを得ないんよ。
0763名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/30(火) 17:52:09.37
>>761
ちょっかいに乗るわしにはゴチャゴチャ難癖を付けるけど、ちょっかいかけてくる駄仁夫とその走狗
0764名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/30(火) 17:58:30.80
>>763
続き
駄仁夫とその走狗には何も言わないこの矛盾についてはどう思う?
最初に手だしした駄仁夫には何も言わないで、応じた私にばかり難癖をつける不条理についてどう思う?
まっ、無視だろうけど…笑笑笑
だってお前も駄仁夫の走狗だからな 笑笑笑
0765名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/30(火) 18:35:52.45
>>764
ちょっかいに乗るあなたがすべて悪い。以上。

それがこのスレの結論です。
これ以上こういう不毛な議論はなし。わかりましたね。
0766名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/30(火) 19:50:10.82
熱海・稲原組の広間には道具を持った組員が集結していた。
「伴組のやつらが稲原に喧嘩売ってきやがった!今から殴りこみに行くぞ!」と号令をかける井沢ゴルゴ。
「兄弟、組を挙げての喧嘩は親父の許可がいるぜ。それに伴の後ろには一徹が付いてるじゃねぇか」と、再考を促す石河ゴルゴ。
しかし、「親父もくそもあるかい。一徹?上等じゃねぇか、一徹のタマ、取っちまえ。だいたいあの野郎が明石組とウチとの間を出たり
入ったりしてるからこういうことになるんじゃねぇか!」と井沢の憤怒は一層激しく燃え上がった。
一行はダンプに乗り込み、一路、東京は荒川区の伴組事務所へと向かった。

伴組でも井沢の動きは察知されており、拳銃や日本刀を手にした組員たちが迎撃態勢を整え、今や遅しと井沢らを待ち構えていた。
4尺近くあろうか。床に立てた長い鞘付きの日本刀の上に両手を組み、彼らの一番奥にどっかと腰をおろしているのは宙太ゴルゴである。
「井沢とかいうガリガリ野郎、煮ても焼いても食えまい。犬にでもくれてやるわ」と一文字に結んだ口元に決意が現れている。

戦いの火蓋を切って落としたのは、井沢組が投げ込んだダイナマイトの爆音であった。脱兎のごとく稲原組の若衆が伴組事務所に押し入る。
銃声が何度も鳴り響いた。激しくぶつかりあう井沢たちと伴組。
「おまえら手だしするな」伴が日本刀を抜き鞘を放った。相手は井沢ひとりである。
「井沢、てめえ、いい根性してるじゃねぇか、ぐふふふふ」

そのときであった。一徹ゴルゴが駆け付けたのである。
「待て!伴。その人と喧嘩をしちゃいかん」
「星の親父さんじゃありませんか、じゃがこの男、この伴宙太に楯突く以上、生かすわけにはいきませんぜ」
「おまえさんの気持ちは分かる。じゃが相手は天下の稲原組。これ以上の喧嘩はやめい。若衆を止めるのじゃ!」
一徹ゴルゴの介入で乱闘は収まった。双方とも数人ずつ撃たれたり斬られた者がいる。
「怪我人を病院へ運んでやれい。それから伴、一緒に来い。井沢さんと仲直りするんじゃ」
伴組と稲原組は五分の手打ちであった。格の違いを考えれば断然、伴組に得がある手打ちであった。
稲原ゴルゴ、横山ゴルゴがこの事態を見逃すはずはなく、井沢ゴルゴは破門されたのである。
さらにふたりは事の責任を問うため一徹ゴルゴを呼び出したのである。
一徹にとって稲原はホットシーで面識があるが、横山は初めてである。
「一徹さん、喧嘩を止めてくれたのはありがてぇ。感謝しよう。だけどな、稲原と伴じゃ貫目が違いすぎる。五分ってわけにゃいかねぇなぁ」
と横山ゴルゴ。「それにだ、あんた、明石さんとこにもちょくちょく顔出してるって話じゃねぇか。いってぇどういう腹なんだ?この際
はっきり聞かせてもらうってわけにゃいかねぇかい?」
  ― 続く ―
0767名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/31(水) 09:54:53.41
>>765
何だよ、何だよ。理論的に勝てないと見ると、ゴリ押しかよ(笑笑笑)
まぁ、駄仁夫の低レベルさからみて、駄仁夫の走狗のレベルってそんなもんだわな。
しかし、ほんまに笑ってまうわ。
論理で勝てないとみた時の断末魔の叫びだな。チンピラにお似合いだわ 笑
0771名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/31(水) 20:12:59.10
横山ゴルゴには押しも押されもせぬ剛健さがあった。極道の世界でずっしりと、十分深く、太く根を張った侠がもつ風格である。
広能ゴルゴや岩井ゴルゴら近年のゴルゴ達にはない重みである。それには一徹ゴルゴもある種の畏敬の念を抱かざるを得なかった。
「横山さん、それに稲原さん。このたびは伴のやつが大変な間違いを起こしてしもうた。あれはかつてのわしの教え子じゃ。
ワシからも謝る。どうか勘弁してやってはもらえぬか」
ちらっと横山と顔を見合わせると稲原が言った。「一徹さん、伴とあんたの関係がどうであれ、ともかくあんたは堅気だ。堅気のあんたが
やくざの喧嘩で謝ることはありません。どうか頭をあげておくんない。ウチも井沢が組の許可なしに突っ走った喧嘩です。幸い、お互い、
大した怪我人が出たわけでもない。この喧嘩、いったん梶原の親分に預ってもらうわけにゃいきやせんかね?」
「稲原さんがそう言われるなら、ワシもそう望むところです。梶原の親分にお任せできれば、それに越したことはありませぬ」と一徹。
何か言いたげな横山であったが、稲原の横顔を伺って言葉を発することはなかった。
「それから稲原さん、明石組さんの襲名披露のことなんじゃが…」ここぞとばかりに一徹が踏み込む。
「ぜひ梶原の頼みを受けてやってはもらえまいか。これはあんたを関東一の侠客と見込んでの話なんじゃ。もしあんたがこの程度の頼みを
断る器しか持ち合わせておらんお人じゃったら、ハナから梶原の親父もあんたに媒酌人を頼んだりはしまいて。どうじゃろうか」
「…、わかった!引き受けよう。そう梶原の親分に伝えてくれ!」と投げ捨てるように稲原が答えた。
「ありがたい。これで関東、関西とも丸く収まりそうじゃわい。じゃ、わしはこれで失礼しますが、よろしいかな?」と一徹。

一徹が帰った後のことである。稲原ゴルゴは横山ゴルゴの言葉に聞き入っていた。
「稲原、おめぇも人が良すぎるぜ。伴との喧嘩、梶原さんに預けちまって。もともと伴は梶原さんとこの出だぜ。知らねぇのかい?
まぁ五分の手打ちはねぇにしてもだ、シマ切り取るのは無理だろうよ」。
「それにだ、おめぇ、一徹って男のことも知らな過ぎるぜ。世が世なら、ミスタージャイアンツは一徹だったとしても少しもおかしかねぇ。
あの男の目は星を目指す男の目だ。天下を取ろうって気がない堅気さんが、なんでわざわざおめぇに会いにくるかい?気をつけろよ、
一徹は必ず梶原と組んで、いや、梶原の跡を取って、明石やおめぇに挑んでくるぜ」

と、世間のいざこざに戸惑いながらも続いて行く長編ゴルゴのカキコであった。
0772名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/10/31(水) 21:34:23.26
>>770
だからそういちいち噛みつきなさんな。
挙げ足をとるなって。
駄仁夫とその走狗にもそのぐらいの勢いで、物を言って欲しいもんだわな 笑笑笑←居酒屋じゃないよ。
0773名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/01(木) 07:53:35.85
稲原が師と仰ぐだけあって、横山ゴルゴの言葉ひとつひとつには千鈞の重みがあった。
それを思い出すと稲原・横山コンビとの会談を終えた後、稲原のシマでの襲名披露を納得させた安堵感に陰がさしてきた。
おそらく横山ゴルゴは今頃稲原に叱責まじりの入れ知恵を吹き込んでいるに違いない。
どこの世界に自分の縄張りで、世間が反目と見ている組織の襲名披露をやらせるバカがいるか。稲の代紋が泣いているぜ。関東やくざの物笑いの種にされてしまうぜ・・・
一徹ゴルゴは考える。
世間的には明石組の強引ともいえる関東進出に危惧を抱いている東京や横浜の組はごまんといる。
西日本が「菱の傘」の下にいることをもって、組織維持とシノギの担保を得ているのと同じことが、関東各組織にも言えることではないか。
強大な「稲の傘」をさしてもらって、「汎稲原体制」の一員となり安全保障としている組も多いことだろう。
彼らが集団安全保障を名目に稲の代紋を押し立て、大同団結すれば箱根から先は攻めあぐねるどころか、むしろ関ヶ原あたりまで押し戻されてしまう可能性が高い。
明石組傘下一門約1万人の組員を数えるが、たちまちのうちに霧散瓦解され、明石組本体もへたをすれば元の神戸の港湾荷役だけを糧とする地方の一小組、初代の頃と同じ規模に縮小してしまう。
そうなればあの老獪で小狡い山守ゴルゴが、盃外交なんか知ったことじゃないけんの、と言わんばかりに逆に虎視眈々神戸に乗り込み大阪や京都まで触手をのばすに違いない。
弱い相手には徹底的に強く出る。そのためには昨日の友さえ平気で斬り捨てる。
山守こそ冷酷なリアリストかつマキャベリストであり、現代やくざのお手本みたいな男である。
義理と人情や侠客としてのプライドなんぞ一銭の得にもなるまあて。そんなもんにこだわっちょったら銭儲けはでけんわ。
とうそぶく山守の哄笑が聴こえてきそうである。
田舎クラブの芋ホステス相手にスケベオヤジぶりを見せて間抜けさと弱みをはばかりなく見せているようで、その実山守ファーストの姿勢はまったくブレていない。
わしにとっての本当の敵は横山ゴルゴと山守ゴルゴじゃわい。一挙にこの二人を殺るしかないか。
広能だの岩井だの稲原だのに拘泥していては頂上には登れまいて。
長屋に戻り、渋茶を啜りながら懐手を組み、天井をにらみつけながら熟考を重ねる一徹ゴルゴであった。
0775名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/01(木) 11:41:20.82
明石組はしかし、梶原ゴルゴの話を稲原ゴルゴが了承したものとみなし、岩井ゴルゴの四代目襲名披露を決行したのである。
場所は熱海の白木コンチネンタルホテルであった。媒酌人は不本意ながらも稲原が務めることとなり式は無事終了した。
明石組、稲原組とも小競り合いがあるとはいえ、これほどの規模になると双方とも組を挙げての全面抗争には発展させたくないのである。
襲名式を終え、湯に浸かって緊張を解き、相模灘に遠く伊豆諸島を望むホテルのインペリアルスイートのバルコニーで風に当たりながら、
若い者に持ってこさせた生ビールのジョッキを片手にタバコをふかす岩井ゴルゴには万感胸に迫るものがあった。
「山崎一家の時代から何度も跳ね返されてきたのがこの熱海や。ついに明石組はこの地を踏んだのや。先代が、そしてこのワシがどれだけ
この日を待ち望んだことか…。これは明石組にとって歴史的な一歩や…」
「親分、梶原さんからお電話です」若い者の一言が容赦なく岩井をつかの間の休息から過酷な現実へと引き戻した。
苦々しく受話器を受け取ると梶原らしき声がした。岩井は梶原とは面識が無い。
「がんちゃんか?式は無事に済んだかい?今からそっちの部屋行きてぇんだけど、いいかな?ちょっと大事な用なんだけど」と梶原。
「いきなり馴れ馴れしいやっちゃ。わしを誰や思とんねん」と思いながらも、
「梶原さん、今回の件では色々お世話になりまして。ほんまやったらこっちが先、お礼に伺わなあかんとこでけっけど、梶原さんは
今どこに…」
「わしもこのホテルに泊まってるんだけど、今夜のうちに東京に戻りてぇ。今からそっち行くよ」
「そうでっか。わかりました。お待ちしてますよって。へい」
「おい、背広出せ。着替えるぞ。おまえらもや」と若衆に命じる岩井ゴルゴ
暫くして梶原が訪ねてきた。連れの若い者がゴルフクラブのケースを担いでいる。てっきり道具と勘違いした岩井の部下が懐に手を入れる。
「待て待て、そんなんじゃねぇよ、これ、襲名祝いに。もっといいやつ持ってるかも知れねぇけど」とあいさつもそこそこに梶原。
岩井が若いものに顎で合図して確認させたところ、リンクスマスターモデルのクラブセットであった。
「これはまた結構なモンもろうて。ありがとうございます」
「いいっていいって。それより四代目、襲名おめでとう。用事ってのはな、がんちゃん、ウチの伴知ってるだろ?縁組してやってくんねぇかな」
「伴…を、でっか?」
この男は何を考えているのだろう。稲原と喧嘩した伴組を傘下に収めることは、明石組関東進出にとっては好都合である。しかし稲原との
関係はもつれる。
「ま、考えといてくれ、俺、今日は帰るからさ、また電話するよ」と出された水割りのグラスを一気に飲み干しポンと置くと梶原は言い
残して部屋を後にした。

梶原には、一徹とは違った野心があった、
これまで黒幕として日本の表裏両面で暗躍した自分である。しかし、自分は極道ではない。極道でないがゆえに自由であったが、侠としての
価値が見過ごされた側面があるのもまた事実である。自分を継ぐ者には、堂々と代紋を掲げさせ、極道として名実ともに日本の覇権を取らせたい。
そこへたまたま一徹ゴルゴが稲原ゴルゴと岩井ゴルゴを引き合わせる機会を作った。一徹ゴルゴにも野心はあるが、自分の跡を継ぐ者としては年齢的な問題があると梶原は考えていた。
といって、花形ゴルゴや矢吹ゴルゴ、伴ゴルゴはまだ若すぎる。
岩井ゴルゴが盤石の基盤を築いた上で、伴ゴルゴが五代目として跡をついでくれるのが理想である。これが梶原ゴルゴの思惑であった。

戦いによって最初に流されるのはいつも若者の血である。そしてそれは、ついに報われたことはない
0776名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/01(木) 12:17:28.02
>>2
「松本か」って?
いったい、どういう意味?「松本」やで。
ちょっと気になる。
宜しくご教示願います。
「松本」やで、「松本」な。
0777名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/01(木) 13:50:28.83
しかし、よく続くね…長編ゴルゴ、一人であるいは二入で
書いているのか知らないけど、これだけの文章だから読
ませることは読ませる。飽きるまで続けてください(笑)
0778名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/01(木) 13:56:40.12

>>1ゴルゴの末尾が「ゴルゴ」で終わっとろうが。
それをええことに、>>2ゴルゴが お笑いタレントのゴルゴ松本を引き合いに出して
洒落たつもりじゃないんかのう…
と回答するゴルゴ
0779名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/01(木) 17:40:01.53
>>778
えっ、すまん。よく分からん。
わしみたあいなアホでも分かるように、噛み砕いて説明してくれや。
ゴルゴ松本は知ってるんやけっどな。
778さん悪いけど、もうちょっと分かるように頼むわ。
0780名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/01(木) 18:44:16.77
↑そやから、>>1>>2をつなげたら「ゴルゴ松本」になるやろ?
>>2は、これがおもろい冗談でバカ受けすると勘違いしたわけや。
どうせその程度や。そない気にせんどき。
0781名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/01(木) 20:09:33.18
たまに銭湯に行く。
勃起した陰茎を潜望鏡に見立て、仰向けで湯に浮く。
「せんすい〜か〜ん」と叫びながら少しずつ移動するのが好きな俺だ。ゴルゴ
0782名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/01(木) 21:27:53.37
ゴルゴ松本か。懐かしい。「命!」ってギャグ。いのちをおもちゃにしたから消えちゃったのかねえ。命は大切にせねばと身勝手なことをほざくゴルゴ
0783名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/01(木) 21:34:01.10
>>781
何や、チンチン坊主かいや。糞しょ〜むな。出てくんなや!
0785名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/01(木) 22:46:01.49
>>783
あんたさあ、人のレスにいちいちケチつけんなよな。だから嫌われるんだよ。駄仁夫がどうだつっても誰も聞いてくれないのはそこなんだよ。
0786名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/01(木) 22:50:11.10
追加。>>780さんにお礼ぐらいいいなよ。丁寧にあんたの質問に答えてくれてるじゃない。子供でも「ありがとう」ぐらい言うよ。バカじゃないの?
0787名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/02(金) 03:00:12.46
>>786
780は駄仁夫、お前は駄仁夫の走狗。
わしに関わるな、ゴマすり坊主よ。
0788名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/02(金) 03:53:08.19
>>787
780は駄仁夫… わしゃ駄仁夫たらいうモンとは別人じゃけ。
どう解釈しようがこんなの好きにすりゃええがの。事実は事実じゃけ言うとっちゃるわい。
0790名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/02(金) 07:12:47.47
明石組四代目襲名式が、あろうことか稲原組の膝元である熱海のホテルで敢行された、というニュースはあっという間に裏社会に激震を走らせた。
すでに噂として、しかしまことしやかに囁かれていたが「菱も稲穂もメンツがあるわな。まさかそれはないで。なんで菱が関東まで出張らなあかんねん。タチの悪い冗談はためにならんで」とは明石組の二次団体の組長が実話誌の記者の取材に答えたものである。
警察もそれは同じであった。予想だにもしなかったことであり、見事に裏をかかれてしまったわけである。
ことは警察の威信にかかわることであり、もろくもそれが崩れ去った現実がそこにあった。
警察庁長官は神奈川県警本部長以下暴対担当幹部を呼びつけ、全員首を洗って処分を待っていろと、長官室で怒気も露わにして言い放った。
長官は長官でしばらくもしないうちに国家保安委員長、そして総理に大目玉を食らう羽目になるはずだ。すでに長官は進退伺いを制服の胸ポケットに用意していた。
さて襲名式の直後に話を戻そう。式場となった百畳の大広間は後片付けに忙しい業者関係者でごった返していた。
そのうち作業服に身を包み、作業帽を目深にかぶった数人の男たちが、大広間の各所からある物を回収していった。
ボーイや仲居たちが忙しく立ち働く中、そんな彼らに注目するものは誰もなかった。
男たちの一部は梶原ゴルゴと岩井ゴルゴの部屋に出向き、室内電話の受話器と部屋内のコ
ンセント部分を素早くこじ開け小さなコイン電池状のものを取り外す。
部屋でもホテル関係者が男たちの様子を見ることなしに見ていただけで誰一人注意深く観察する者はいなかった。
男たちが不注意だったのは、岩井ゴルゴの部屋の玄関柱と冷蔵庫の間にそのコイン電池状のものを一つ落としていったことである。
部屋掛のボーイが部屋の入り口がこれを見つけて「なんだろう、これ」と同僚らに見せた。
物を子細に見れば小さな穴が無数に開けられている。「イヤホンかなにかじゃね?」と一人がいうと「イヤホンならコードが付いてるよ」と、もう一人が首をひねる。
結局、それはフロント裏にいるホテル支配人のもとへと届けられた。支配人はそれを手のひらに乗せてしげしげと眺めているうちに顔が蒼ざめていった。
「盗聴器だよ。これ。たしかに岩井様のお部屋にあったのだね」と届けたボーイに確認した。首肯するボーイ。
ボーイにこのことは他言はならないと命じ、「えらいことになった」と支配人は東京にある白木コンチネンタルホテル社長室に通じる直通ダイヤルを押したのである。
0792名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/02(金) 09:34:51.95
長編ゴルゴの作者1号が、またしても凝ったネタを織り込んできたので
次のストーリー展開に思いをめぐらせながら庭を眺めると
薄紅の秋桜が秋の日の 何気ないひだまりに揺れている長編ゴルゴ作者2号
0793名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/02(金) 10:01:02.01
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0794名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/02(金) 10:49:47.31
>>787
駄仁夫がらみであんたに忠告めいたことを書けば走狗だゴマスリ坊主だと。あんたにそんなこといわれる覚えはないからな。自分が書いたこと忘れんなよな。
0795名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/02(金) 19:56:39.49
白木グループの総帥・白木幹之介と、その孫娘であり、白木コンチネンタルホテルズのCEOである白木葉子が暮らす大邸宅は東京、武蔵野の雑木林を切り開いて建てられた。東京ドーム3個分の敷地を有し、プールはもちろん、乗馬コースやテニス
コート、自家用ヘリポートまで備えている。熱海からの直通電話はすぐ葉子ゴルゴへと渡された。髪を後ろに回し、白いドレス
を華やかに、優雅に着こなす葉子ではあるが、秘めたプライドの高さと芯の強さはまさに権勢を誇る女王の風格を漂わせている。
内容を聞いた葉子は、とっさの判断で、電話ではなく直接報告に来るように支配人に伝えた。
警戒心が強い葉子は、支配人からの直通電話すら盗聴されている可能性をも葉子ゴルゴは排除しなかったのである。
支配人の報告では、何度調べても宿泊室から見つかった盗聴器は岩井ゴルゴの部屋の1つのみであった。梶原ゴルゴの
部屋の電話にも仕掛けられた痕跡かもしれぬ工具の疵とも見て取れる跡があったが、断定はできないとのことであった。
明石組内部には山広ゴルゴや加茂田ゴルゴら、四代目問題で岩井ゴルゴを快く思わぬ連中がいることも、単なる富裕層の娘ではなく、
白木グループを統率する立場として幅広く見聞のある葉子は知っていた。
「この盗聴が単なる明石組の内紛で終わるなら問題はないわ。けれど、もし、梶原先生も盗聴されていて、その身に何かあるような
ことはあってはならないわ」葉子は、梶原にだけは盗聴事件について伝えたのである。
「そうか、知らせてくれてありがとな。ま、気を付けるよ。だけど岩井と聞かれちゃ困るような話もしちゃいねぇよ、安心しな」
葉子にとって、話す前からそう答えられると分かっていた梶原ゴルゴの一言であった。

しかし梶原は急いだ。伴を岩井の若衆にするという既成事実を早く作ってしまうべきだと考えた。要らぬ噂が先行して物事がうまく
運ぶことはない。盗聴した小賢しい者を探し出すより、むしろ正面突破を臨む…。梶原特有の男気がそうさせた。

一方、町屋の長屋では、胡坐の上で腕組みをし、目を閉じて梶原ゴルゴと岩井ゴルゴの客室での会話を何度も聞いている男がいた。
盗聴は一徹ゴルゴが一徹軍団を動かして行ったのである。日本最大の暴力組織の一大イベントを一斉に盗聴するという、
日本の民間組織では考えられない鮮やかなミッションであった。しかし一徹には明石組襲名式の立役者の座を梶原に奪われた想いが未だ払拭できない。
録音された会話のどこに梶原の本心があるのか。一徹ゴルゴは探ろうとしていた。
「稲原組の若衆にはあの丈がおる。そして、岩井組とは伴…。いったい梶原の親父の本心はどこにあるのじゃ。覇権を争うライバルとして
自分の子らを競わせる…。しかし丈はあの気性からして、鉄砲玉で終わるか、よくても若頭止まりの才覚しかあるまい。伴は…」
一徹が目を開いた。「伴だ。梶原の本命は、明石組五代目・伴宙太に違いない…。梶原が世に送り出したキャラクターの中で、
他界した力石ゴルゴのほかには、伴以上に人望の厚い人間はおらんじゃろう。胆力は無論、捕手として培った知力とマネジメント力は極道の
頂点を極めても不思議ではない逸材ではないか…」
一徹ゴルゴは再び目を閉じ、黙想に入った。次の問題は、誰より覇者の座を狙う己自身の身の処し方である。

同じころ広島では明石組4代目襲名と、近いうちに行われる縁組で関東進出が安定しそうだという憶測が流れた。山守は窮地に立った。
打本組を支援する余力が、再度明石組に生じたからである。
流町の行きつけのスナックで、「山守殺るいうんなら今で…」とポツリと呟いた広能に「え。すんません。なんか言われましたか」と聞き
返され、「い、いや、なんでもないですけん。で、どうなっちょりますか日本シリーズは?」と誤魔化しながらも、
「あとがないんじゃ…あとが」と、グラスの中で氷が揺れるのを見つめる広能であった。
0796名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/03(土) 10:29:33.59
「わしも山守のことは言えんわい」
一徹ゴルゴは独りごちてほろ苦く笑った。自分を友として信じてくれているらしい梶原ゴルゴを裏切るのも同然の盗聴行為である。
その目的がおのれの野望の実現というのだから、山守ゴルゴとどこがどう違うのか。
かつて俺は魔送球の一件で川上哲治に巨人軍を追われた。
「走者を威嚇するような一塁への送球は卑怯すぎる。球界の紳士たる巨人軍のプレイにふさわしくない」と彼は弾劾したものである。
物心ついた頃から飛遊馬ゴルゴを肉体的に痛めつけてまで過酷な訓練を施し「巨人の星となれ」と命じたのも畢竟巨人から排斥した
川上や球団へのちんけな復讐に過ぎなかった・・・
遠い昔の感傷と悔恨の念がないまぜになった思いを断ち払うのように一徹ゴルゴは首をふり、空になり茶渋がこびりつく湯呑み茶碗
を長火鉢に置いて立ち上がった。
「こうなれば毒食らわば皿まで。どうせなら日本の裏世界の星となるまでよ」と不敵に笑い、かねてからの野望達成が、おのれの男子
の本懐と決めた覚悟を再確認したうえで、梶原ゴルゴが伴ゴルゴを岩井ゴルゴの膝下に押し込めようとしていることへの対策を講じた。
伴宙太の弱点は彼が「情の男」であるということだ。彼はとかく心意気が思いこみとなって暴走する癖(へき)が往々にしてあった。
だからこそ飛遊馬と花形の二人に会社を乗っ取られたのである。
夕日に照らされた甲子園球場のマウンド上でひしと抱き合う飛遊馬と花形、その二人の友情に感動して俺は立ち尽くしたまま涙を流し
た・・・
あの夏の高校野球決勝戦の思い出こそ俺たちの友情の証ですよ、と聞いているこちらが恥ずかしくなるようなことをいい年をして口に
するようなバカである。
おまけにこの図体ばかりがでかい純情男はいまだに明子に惚れておるようだわい。これをなんとか利用できんものか。
明子はれっきとした花形ゴルゴの妻。そこへ横恋慕させて、しかし嫁いだとはいえ可愛いわが娘に指をふれさせず、不倫も同然のふ
るまいに誘い込み、これを煽りに煽る。
自分の会社を乗っ取った経営者の妻にリベンジで手を出すような男に盃を下ろした梶原ゴルゴは大恥をかくと。これで梶原ゴルゴは
当分おとなしくせざるを得んじゃろう。
「一石二鳥とはこのこと。フフフフ、笑いが止まらんわい。さて一段落したことだし、ひとっ風呂浴びてこようか」
と、浴室が3つもある娘婿の邸宅の一隅に豪華な和室を与えてもらいながら、依然町屋にある長屋が忘れられず、特に最近は考えを
巡らせることが多い一徹ゴルゴにとって、独りで誰にも邪魔されずに考え事に耽るのにここは格好の場所であり、頭を酷使した後の銭
湯で広い湯船に浸かること彼には何にも代え難い至福のひとときであった。
0797名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/03(土) 10:30:05.25
風呂桶に石鹸とタオルをぽんと入れて、下駄に素足を突っ込み、立て付けの悪い引き戸をガタガタと音を立て開ける。
隣のおかみさんに「ちょっと湯に行ってくるよ」と声をかけて、長屋の路地を抜けて大通りに出た。
しばらく歩いていると自分をつけてゆっくりと転がせているクルマの気配を感じる。
免許を持っていない一徹ゴルゴにその車種はわからないにしろ、振り向いて見た全体のフォルムからしていかにも高そうなクルマだと
いうことはわかった。
彼は立ち止まりクルマを凝視する。
後部座席が開いて一人の女が出てきた。テーラードスタイルのカシミアコートにブラックレザーパンツが細身の身体によく似合い、コーチ
のサングラスをかけ長い流れるような黒髪をかきわけたその女はどこかの令夫人風。
「お久しぶりね。星さん」口元に笑みをたたえて女は言った。
「はて。このあたりではめったに見かけない貴婦人のご様子じゃがどちらさんでしたか」
「これは失礼しました」
女はサングラスをとり、素顔をさらして小さく頭を下げた。
「白木です。お忘れでしょうか。白木葉子」
「おお。黒眼鏡のままじゃわからんかったが、なるほど白木さんじゃな。こちらこそ無沙汰をしておりました」
「同じ雑誌でご一緒していた頃はなかなかお目にかかれませんでしたが、大変失礼な言い方ですが同じような下町にお住まいの方として、
うちの丹下さんよりもはるかにダンディでジェントルマンな方と憧憬おりましたのよ」
「いやいや、わしの娘の明子も白木さんみたいな女性に生まれたかったなどとよく申しておりましたな」
「おほほほ。星さんもお上手ね。実は星さんに折り入ってお話がありますの。梶原先生のことで。お食事でも楽しみながらで如何でしょうか」
笑顔を絶やさぬままでも、葉子の瞳に強い意志が現れていた。「梶原先生のことといえば覚えがあるでしょう」と言わんばかりの視線に一徹
ゴルゴは内心の動揺を隠すのがやっとであった。
「梶原さんのことでとな。なんのことかわかりませんが、懐かしいお名前に昔話に花でも咲かせましょうか。お供いたしましょう」
精一杯の虚勢を張りながら、どうぞ奥にお乗りくださいと招いている葉子の手のひらに背中を強く押されているような気がしながらも一徹ゴル
ゴはロールスロイスファントムの深々としたバックシートに尻を沈めたのであった。
0798名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/03(土) 13:18:14.01
葉子ゴルゴが案内した先は、銀座四丁目交差点の大時計を正面から見下ろすフレンチレストラン「ティエリーマルクス」であった。
銭湯にいくはずの一徹ゴルゴは裸足に下駄履きという、普段とあまり変わらない服装であったが葉子の口利きで特別室へと案内された。
ソムリエがワインを注ぎに来ると、「一徹さんは花形さんとよくここに来られるそうね。花形さんから聞いたのよ」と葉子ゴルゴ。
「いや、満君とは明子も一緒に一度か二度来ただけじゃが、どうしてそれを…」
葉子は答えずにギャルソンと何やら話している。
「花形コンツェルンと白木グループといえばかつての二大財閥。政財界のパーティで、そのトップ同士に交流があっても不思議はあるまい…」
料理はすでに注文してあるらしく、ギャルソンが退くと暫く銀座の夜景を眺める葉子ゴルゴ。その葉子ゴルゴの話とはいったい何なのか…
「私も男に生まれればよかったわ」唐突に葉子ゴルゴが切り出した。
「一徹さん、あなたが欲しがっているものは、梶原先生と同じね。私にはわかる。かつて矢吹君と力石君を見てきた私には分かるの」
何とも意味深いがいきなり核心をつく発言に、一徹ゴルゴのこめかみに汗が一筋流れた。
ギャルソンが最初の料理を運んでくる。最初はフォアグラ。ペアリングは白ワインである。
「だけど、あのふたりと違うのは、梶原先生も一徹さん、あなたももう大人。お互いの面目を汚すようなことはしないでほしい」
梶原の邪魔をするな、とい言外の意味であろう。一徹ゴルゴは言い返した。
「葉子さん。どうやら全てをお見通しのようじゃ。じゃが、これだけはこの星一徹、譲るわけには参りませぬぞ。覇を競うなら日本一。
それは勝負の世界に生きる男なら、誰もがおのずと目指す道なのじゃよ」
2品目は鶏肉のムースをパン生地で挟み、その上にたっぷりとキャビアが流してある。これを泡の濃いシャンパーニュで合わせる。
「ふふ。勘違いしないで。何も、一徹さんに夢をあきらめてと頼んでるんじゃないの。同じ夢を追う梶原先生と協力して欲しいのよ。ふたりで成し遂げた
からといって、夢の価値が半減するということはないわ。むしろ倍になるんじゃないかしら」
「失礼じゃが、おっしゃる意味がよくわからんのじゃ…。もう少し具体的に話してはもらえぬか」
焼きホタテ貝のカルダモンソースを見ながら一徹は戸惑っていた。ここが吉野家なら相手が葉子でも自分のペースで話ができよう。しかし次々と
食い慣れぬ料理が出てきては会話もおぼつかない。だいたいフランス料理は食材がぐちゃぐちゃの訳わからない状態が多いので一徹は嫌いであった。
「伴さん。岩井という人の若衆杯をもらうわ」ここで葉子ゴルゴが言葉を切った。「男の世界に深入りするな」丈ゴルゴに窘められている気がしたのである。
「一徹さんは、野球選手時代に伴さんのコーチとして指導にあたられたのね」
「うむ、飛雄馬の大リーグボール3号打倒のためにな」「もういちど、伴さんを指導して頂けないかしら。これは梶原からのお願いなの」
「なんですと!」リゾットの小皿から目線を上げた一徹ゴルゴが意表を突かれたように答えた。
「梶原先生は、本来なら力石ゴルゴさんに5代目を継いでもらいたかったそうなの。でも彼はもういない。次に考えたのが伊達直人ゴルゴ。でも
あの人は慈善事業で子どもたちに夢を与える大事な役割がある。それで、弟の真樹ゴルゴさんとも相談した結果、伴さんを擁立するってことになったの」
葉子はそういうと、アマダイの鱗焼きを口に運び、ギリシャワインのグラスに手を伸ばした。
「伴ゴルゴさんはまだまだこれからの人。それは一徹さん、あなたが一番よくご存じのはず。あの人に、日本の首領として足りないところを、一徹さん、
あなたに叩きこんで欲しいの。野球選手時代にそうだったように…。ただし今度は、後見人という立場でね」
「な、なんと。このワシにもう一度伴を鍛えよと、そう梶原ゴルゴは考えておったのか…」一徹ゴルゴはもはや言葉も出ない。
「お話はそれだけよ。私は梶原先生とお話しがあるからこれで失礼するわ。お料理、どうぞ楽しんでいってくださいね。
メインのアイスランド産の仔羊に見向きもせず、葉子は席を立った。残された一徹は羊の肉の向こうに広がる銀座の夜空を唖然として眺めていた。
「梶原め、仕組まれたわい。岩井ゴルゴの若衆、伴組組長の後見人とは…、この一徹、見縊られたもんじゃわい」
「おーい!ワインなんぞ要らん。日本酒とコップを持ってこい!」店内に一徹の大声が響いた。
0799名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/04(日) 21:05:53.15
>>759
キミはずぅっと前から「仕切る」って言葉を使ってるね、
よっぽど「仕切る」ってフレーズが好きみたいだなww
もうこれからは、「仕切る」って言葉はなしでねwww
0801名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/05(月) 10:47:58.00
>>800
ワッチョイの事か?
vipperとワッチョイの戦いも西の空ではかなり噂になった。
しかし、名無しさんの取り計らいで円満解決した…。
もうvipperとはもめるんじゃねぇぞ。
0802名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/06(火) 02:03:08.32
準備運動よーし!
さぁ!おっぱじめるか!
(祝)スランプ脱出~~( 〃▽〃)
今日はゴルゴ部長と慰安会…
いつものやらされるのかなぁ……

「youデュエットしちゃうyo!二人のアイランド!!ミュージックスタート!」
夏、夏、夏、夏ココナッツ~~♪愛、愛、愛
アイランド~~♪」
ゴルゴ部長
「茄子、茄子、茄子、この茄子~~♪
はい、はい、はい、はい、入らんど~~♪」
0803名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/06(火) 02:06:22.76
私「……ゴルゴ部長歌上手いっすね…」
G「知ってるから~~じゃーアレ歌うかぁ」
社交辞令ぶっちぎりで歌い出すゴルゴ部長
0804名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/06(火) 02:22:30.91
じゃー俺の十八番いってみるか!
だんだん調子にのるゴルゴ部長
「アタックNo1だ!」
G「苦しくったってぇ~~♪悲しくったってぇ~♪……コートの中身は性器なのぉ♪」
………ゴルゴ部長このまま酔いつぶれて寝て欲しいと社員一同願うのであった…
0805名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/06(火) 02:31:37.00
冷える社員…熱いゴルゴ部長…
私「そ、そーいえばゴルゴ部長の愛車
カローラUでしたよね?思い入れがあるんですか?」
社員マイクを握らせないよう必死だなっ
G「話せば長くなるが…簡単に言うと…」
ホットするのもつかの間
G「昔なカローラUのコマーシャルソングでな……」
え……(゜ロ゜)
G「カローラUにぃ~~乗ってぇ~♪買い物に
出掛けたがぁ~履いてないのに気づいて~
そのままモザイク~~♪」
社員一同↓
https://i.imgur.com/zLn7YpP.jpg
0807名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/06(火) 09:26:46.79
長編ゴルゴ、終わりかよww
0808名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/06(火) 10:40:20.63
プライバシーが丸裸になってしまったのでどこへ行ってもスマホで撮影され
かえってファン以外にも認知されたゴルゴ
0809名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/06(火) 21:58:43.01
認知してよ、と責める女がいりゃぁ、こんな貧乏くさい団子屋の二階なんぞに厄介になりませんよってんだ!
余計な一言でおいちゃんはもとより帝釈天参道一帯より処払いを食らっちまった寅ゴルゴ
0810名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/08(木) 09:34:08.93
「処払いいうて、テキヤじゃろうと博打うちじゃろうと、ワシらうまいモン食うてマブいスケ抱くために生まれてきとるんじゃないの」と
寅ゴルゴに詰め寄る大友ゴルゴ
0811名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/08(木) 14:13:05.67
大友のツテで村岡組にわらじを預け、村岡ゴルゴから「旅の。これつけとけや」と
時計をもらい、若頭の松永ゴルゴから「ええもんもろたの。これスイス製の何十万
もするもんじゃい。うちのおやっさんはの、ああいう腹の太いお方よ。おぅっ」と肩を
叩かれて「冗談言っちゃあいけないよ、これは俺たちが『カドは一流デパート、
赤木屋白木屋黒木屋さんで、舶来の背広着た紳士にください頂戴お願いします
と100万200万下らない品物が今日はそれだけくださいとはいいません、せめて
1万いや8千円で』ってべちゃくってよ売るようなシロモンだよ。はばかりながら
この車寅次郎、何年もそんな売やって粥をすすってきたんだ、おにいさん、人を見
てモノを言いなよ」
とこれまた余計なことを言って広島から所払いはおろか、追っ手までかけられる
始末になった寅ゴルゴ
0812名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/08(木) 17:08:44.35
>>807
挑発をすな。黙って書かせとけ。疲れさせたらええんや、疲れさせたら…、
誰も読んでへんのになぁ、しんどいやろに。
0814名無しさん@お腹いっぱい。
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2018/11/08(木) 19:56:44.41
資金繰りに苦しい朝日印刷のタコゴルゴのために買い出しに行ったはよいが、
「ここらの犬は躾けがなってないんだよね〜うるせぇったらありゃしない」
「なにやtってんだい、みんなも食って食って」と、不味そうに肉を頬張るタコゴルゴに、
「い、いえ、社長のために買って来た肉ですから…」と遠慮する博ゴルゴ
0815名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/08(木) 20:04:06.76
>>813
その手の嫌がらせ、好きやね。そんなんばっかりやがな…。
「某SNS」と、ぼやかしてしか言えんわな。実際、わしが登場するようなSNSなんてないからなぁ笑笑笑←居酒屋じゃないよ。
と、ええ加減同じパターンの匂わせ行為に辟易とするゴルギョ
0821名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/09(金) 10:37:24.80
ぬしさん綺麗だよ愛してる
0822名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/09(金) 10:48:19.81
ゆーじんさん荒らさないで
0823名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/09(金) 13:53:27.11
びくびくとレスの流れを盗み見て、
これくらいなら書き込んだら大丈
夫かなとおどおど書いてちょっかい
かけるカスオのいじらしさに泣ける
ゴルゴ
0824名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/09(金) 16:17:38.59
嫌がらせという形だけでも相手になってもらっているうちが花じゃないか。
それじゃ「日本一の嫌がらせられ男になったるわ」と腹を決めるのがほんとの男じゃないか。
0825名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/09(金) 19:52:32.16
白木葉子ゴルゴと銀座で会った帰り、京成に乗り換えるため上野でメトロの駅の階段を上り、地上に出た一徹ゴルゴの頬を冷たい秋の夜風が撫でた。
一徹ゴルゴは、その胸中に無念と困惑が入り混じった、言いようのない想念を抱いたまま、ふらふらと雑踏の中を歩き続け、ふと、ガード下の
入り組んだ奥にある、二間間口の赤提灯の暖簾をくぐった。自分と同じ年代の、初老の親父が一人で切り盛りしている小さな店で、馴染みと思しき
客ばかりである。酒をコップに注ぎ、そのコップを、ステンレスを取っ手の形に曲げた金物で受け、燗をする。肴はモツ煮込みである。
こうして飲んでいると、我が子の学費を稼ぐために日雇い労務者として馬車馬のように働いた日々が懐かしく、また愛おしく思い出される。
酔いがほどよく回るまで、浮かんでは消える懐かしき時代の記憶に心を委ねていた一徹ゴルゴであったが、いつまでもそうはしておれぬ。
全国制覇という己の野望が一徹ゴルゴを現実へと引き戻した。それは、自分を世に出した梶原ゴルゴとどう向き合うのかという難しい判断を意味していた。
白木ゴルゴは今夜のうちにこの自分に話したことを梶原ゴルゴに伝えるに違いない。イコール、梶原ゴルゴは、白木ゴルゴの申し出を自分が承知したと
解釈するであろう。行動が早い梶原のことである。明日明後日にでも伴ゴルゴを呼び出し、そして岩井ゴルゴに使いの者を出し、杯事の話を進めるに違いない。
伴ゴルゴが杯を受けてから、後見人を断っては自分と梶原ゴルゴとの間に禍根を残す。それに、どう考えても伴ゴルゴは明石組を背負う器ではない。
明石組の関東進出の拠点にされるだけである。そうなると襲名式で世間に親密さを誇示した稲原組との関係はまたもや悪化する。明石組の関東進出が
困難になれば、利するのはこれもまた自分の宿敵、山守ゴルゴである。今にも山守ゴルゴの嘲笑が聞こえてくるような気がした一徹ゴルゴは腹を括った。
「早めに相談したほうがよさそうじゃの。明日にでも梶原先生のところに出向くとしよう。気が進まぬがアポだけでもとっておくとしようか」
時には酒の力を借りねばならぬこともあると、店を出た一徹は電話ボックスで受話器を取ると、梶原ゴルゴの携帯番号をプッシュした。
梶原は新大久保の事務所にいた。一徹ゴルゴの推察どおり、白木葉子ゴルゴからの報告を受け、岩井ゴルゴに電話する直前であった。
「もしもし、一徹ですが」
「なんだ、一徹っちゃんか、どうしたの今どこにいんのこんな時間に?」
質問には答えず、一徹は続けた。
「先生にお話がありましてな。明日、伺いたいとおもうんじゃが、いかがじゃろうか」
0826名無しさん@お腹いっぱい。
垢版 |
2018/11/09(金) 19:53:25.57
翌日、一徹ゴルゴは梶原の事務所を訪ねた。一徹ゴルゴはもはや平常心である。伴ゴルゴの杯の話をなかったことにした場合、岩井ゴルゴには指の一本
も出さねばなるまい。そして何より、梶原ゴルゴの出方によっては、自らの指揮で今やグリーンベレー並みの実力組織となった一徹軍団をもって、
梶原ゴルゴ暗殺もやむなしと考えていた。

「で、用事って何だい?一徹っちゃん。こうしてわざわざ来るなんざこれまで一度もなかったことだ。言ってみなよ」と梶原ゴルゴ
「伴のことじゃが、先生、将来をどうお考えかは白木のお嬢さんから聞き申した。ワシの意見も聞いてはもらえぬかと思って来たんじゃよ」と一徹ゴルゴ
「はっきり言わせてもらいます。伴は、このワシが後見人になろうとて、そこらのちんけな組長ならともかく、日本一の首領の器ではありませぬ。
世に偽りのリーダーは数多とおろうが、真のリーダーは育てるものではなく、リーダーとして生まれてくるもの。ところが伴はそうではない。そのことは
生みの親である先生自身がいちばんよくご存じのはず」
「一徹っちゃんの言ってることはよく分かるんだよ。俺もあいつは非情になりきれねぇところがあると思ってる」
「梶原先生、極道の世界に関心がおありのようじゃが…」と一徹が言いかけた時であった。梶原が胸のポケットから盗聴器を取り出してテーブルに置いた。
「これ、一徹っちゃんのだろ?まずいよこんなことしちゃ。俺だからシャレで済むけどさ、岩井にも仕掛けたって話じゃない。まずいよな〜」
この一言で一徹ゴルゴは窮地に立った。事態そのものに、ではない。そんな姑息な真似をしたことが梶原ゴルゴに知れたことが一徹ゴルゴを萎縮させた。
「ま、伴と岩井の杯の話は水にして俺から詫び入れとくから、辛気臭い話はこれぐらいにしてステーキ行こうよステーキ」と食事に付き添う羽目になったのである。
梶原ゴルゴは一徹ゴルゴの先を読んでいた。既に伴ゴルゴには岩井ゴルゴとの杯の話は中止と伝えたうえで、稲原から遠い広島へ逃げる手筈を整えてやった。
伴は今頃新幹線の中である。岩井ゴルゴにも詫びの電話を入れてあった。岩井としても、伴は扱いにくい存在と考えていたらしく、明石組全体としての
戦略を練る立場に納まった以上、稲原ゴルゴと無益な波風を立てられなくなったのである。

広能ゴルゴは広島・流れ町の地味なスナックで一人グラスを傾けていた。一見、堅気の職人風情である。
伴という人間がこの火薬庫のような広島にやってくる。この男が山守につくか、自分につくか。いずれにしても荒れそうな気配である。
「広島の喧嘩いうたらトるかトられるかしかありゃせんのでぇ…」
全国一千万人の長編ゴルゴファンの熱い声援を受けて呟く広能ゴルゴであった。
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