【菅内閣の中小企業改革という名のデフレ化政策】

昨年、菅内閣発足以降、デービッド・アトキンソンの主張そのままに、「中小企業淘汰(彼らは「改革」と言っていますが)」の政策化が進められました。

 本来は、中小企業を守る立場にあるはずの中小企業庁に、11月11日、
「中小企業の経営資源集約化等に関する検討会」
 が設置され、中小企業のM&Aビジネスを「いかに速やかに立ち上げるか」についての議論が始まります。

 同研究会については、以下。

中小企業の経営資源集約化等に関する検討会 第一回
中小企業の経営資源集約化等に関する検討会 第二回
中小企業の経営資源集約化等に関する検討会 第三回

 同研究会には、オブザーバーとしてデロイトトーマツや日本M&Aセンター、ソリューションデザインなど、M&Aや投資ファンドの企業関係者がずらりと顔をそろえています。

 彼らのスキームですが、簡単に書くと、
1.コロナ禍で業績が悪化する中小企業を「放置」する
2.新陳代謝論、ゾンビ企業論などで、「政府の失政」により苦しむ中小企業に対する自己責任論をまき散らす
3.政府はM&Aビジネスが容易になる政策を打つ <<<今、ここ
4.経営不振に陥った中小企業にM&Aを持ち掛け、デューディリジェンスやコンサルティングで儲ける
 といったところでしょう。

 無論、彼らが「俺たちの禿鷹ビジネスのために犠牲になってくれ」などと「正直に」言った日には、国民から猛反発を受けます。 

 だからこそ、アトキンソンの、
「日本の中小企業は甘やかされている。優遇措置を受けるために規模拡大に否定的」
「日本の中小企業の生産性が低いのは、企業数が多すぎるため」
 といった出鱈目なレトリックに基づくキャンペーンが必要だったわけです。

『中小企業の規模拡大後押し 今国会に関連法案提出―政府
 政府は5日、中小企業向け低利融資や補助金などの支援策で、対象企業の範囲を拡大する中小企業等経営強化法などの改正案を閣議決定した。中小企業が優遇措置を受けるために積極的な規模拡大を行わない問題が指摘されており、支援対象とする企業の範囲を広げて中小企業が中堅企業に成長するのを促す。(後略)』

 閣議決定された法案の詳細は、以下。

【「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案」が閣議決定されました】

 M&A関連は、以下。

『• 中堅企業へ成長し、海外で競争できる企業を育成するため、以下の措置を講じる
1. 規模拡大を通じた労働生産性の向上
@ 中小企業から中堅企業への成長途上にある企業群への支援施策の対象拡大
A 中小企業経営資源集約化(M&A)税制
B 集約化手続の短縮(所在不明株の買取)』

 要するに、
「日本は中小企業が多すぎるので、M&Aで集約化して、生産性を向上させ、グローバルに競争しろ」
 という話なのでございます。