『菅政権の中小企業政策の狂気(前編)』
2020-09-24

現在の日本は、コロナ恐慌下にあり、政府に求められる経済対策は「財政政策による恐慌対策」です。

 安倍政権末期には、経済成長率「統計史上最悪のマイナス」の効果もあり、まだしも消費税廃止・減税や、粗利補償、さらなる定額給付金の「議論が始まる」機運がありました。

 が、安倍総理の突如の辞意表明により、全ては吹き飛びました。(未だに、安倍総理辞意表明からひと月が経過していないのです。信じられます?)

 大規模経済対策の機運は吹き飛び、今後、深刻化していくコロナ恐慌を受け、逆に「構造改革」が推進されていくことになります。

 コロナ危機により、企業の経営が悪化した。ならば、政府がやるべきことは財政出動による需要創出以外には「ない」にも関わらず、
「企業の業績が悪化しているのは、各種の規制で企業が守られており、怠けて投資しないためだ。企業の新陳代謝が必要だ。ゾンビ企業は潰せ!」
 という、無慈悲かつ頭のおかしいレトリックで、競争激化による日本経済の「供給能力潰し」が進んでいくことになります。

 特に問題になるのが、繰り返していますが「中小企業政策」です。

【事実】
 日本の中小企業は、デフレという需要不足(市場不足、仕事不足)であるが故に、生産性向上の投資をしない。企業の生産性が伸び悩む結果、国民の実質賃金は低迷。

 上記を、

【虚偽】
 日本の中小企業は、中小企業基本法を始め、各種の規制に保護されているから、生産性向上の投資をしない。ならば、中小企業基本法を改訂し、保護を奪い取り、最低賃金を強制的に引き上げれば、潰れるべき企業が潰れ、国民の実質賃金は上向く

 という嘘のレトリックに変え、古臭いサプライサイド政策(構造改革)が、菅内閣により猛烈な勢いで進んでいくことになるでしょう。

 と、思っていたら、やはり来ました。

『中小基本法、見直し着手 生産性向上へ再編促進―企業淘汰の懸念も
 菅義偉政権は中小企業基本法の見直しに向けた検討に着手する。税制上の優遇措置や補助金を受けられる中小企業の定義を変え、再編や経営統合を促す。生産性を向上させ、最低賃金の引き上げにつなげる狙いもある。ただ政府内では、性急な改革で税優遇などを失えば、企業淘汰(とうた)を誘発しかねないと懸念する声も出ている。
 中小企業は国内企業の99.7%を占める。基本法は中小企業の定義を業種別に定めており、例えば製造業は、資本金3億円以下または従業員300人以下。該当する企業は税優遇などを受けられるため、この定義から外れないよう規模拡大に動かないとの指摘がある。定義見直しで阻害要因を取り除けば、再編が進むという考え方だ。(後略)』