―そうですね。

落合「10年前、僕らはジャック・マー(中国のEC大手「アリババ」の創業者)のことをバカにして笑ってたんですよ。グレート・ファイアウォール(中国政府によるネット検閲システム)の内側で、Amazonの真似をしてるだけだ、すぐになくなるだろうって。
でも、その頃に日本と中国のGDPは逆転して、今はもう中国のGDPは日本の2倍です。AmazonやFacebook、Googleに次ぐ巨大なITサービスを、すでに中国は国内でいくつも抱えているんです。
あの当時、彼らがAmazonやAppleに勝っている要素はひとつもなかったのに、10年で大きな産業を作り上げた。このことを僕らはちゃんと反省しないといけないと思います。
今の日本は、放っておいて「世界で通用するもの」がすぐに出てくるほど、豊かな状態ではない。「世界で通用しない」と嘆くんじゃなくて、「世界で通用させる」ために、10年かけて育てればいいんです。
しかし、それを東京でやろうとすると人口規模も都市規模も大きすぎて、排他的になり過ぎちゃう。そう考えた時に、福岡には希望があると思います。
東京に比べて適度に保護的な環境が整っている福岡から、日本を再興させるスタートアップが生まれてくることも、あるかもしれませんね。」