キヤノンEF85mm F1.4L IS はシグマ85mm F1.4 Art に全てのカテゴリで後れを取っている
http://digicame-info.com/2018/03/ef85mm-f14l-is-7.html

解像力は、中央は開放で既に37lpmmを超える良好な画質(良像の基準値は30-32lpmm)で全く不満は無い。
この開放の解像力は、ツァイスのMilvus 1.4/85よりも少し高い。
絞ると解像力は更に高くなりF4で48lpmmに達する。
ピークの解像力はMilvusとほぼ同じだが、Otusには劣っている。
しかし、シグマ85mm F1.4 Artは開放でもピークでもキヤノンを上回っている。

隅の解像力も開放から許容範囲内(約32lpmm)で、ウィークポイントは無いが、ここではキヤノンは、シグマやツァイスMilvusに後れを取っている。

軸上色収差は、このような高価な新型レンズとしては今一つで、開放時だけでなく、F2に絞っても目に付く。
軸上色収差はMilvusやシグマの方が良好だ。

倍率色収差は開放時にピークになるが、ピーク時でも中程度のレベルには達せず、低いレベルを維持している。絞ると倍率色収差は非常に低いレベルまで減少する。

フォーカスシフトは全く見られない。

歪曲は、+1.30%の糸巻き型で、シグマとOtusがほぼ歪曲ゼロなのと比べると、ここではキヤノンは弱い。
正直言って、フルサイズ用の大口径の85mmでこれより歪曲が大きいレンズは思い出せない。

コマ収差はかなり目立ち、1段絞ってもまだ目立つ。
これがキヤノンがシグマArtとツァイスMilvusより周辺部の解像力が劣っている理由の1つだ。

非点収差は2.3%でごくわずかだ。
シグマは1.7%、ツァイスMilvusは3.1%で、ここではMilvusが一番悪いが、それでも3本とも非常に良好に補正されている。

玉ボケは、内部がとても均一で縁取りも見られず全く問題が無いが、画面の隅では口径食が見られる。

周辺光量落ちは、開放で54%(-2.24EV)で、シグマの49%よりは高いが、Milvusの66%よりはずっと低い。
F2に絞ると33%(-1.13EV)、F2.8では14%(-0.45EV)に改善し、F4では9%(-0.26)で完全に解消する。

逆光耐性は残念ながら、シグマArtとツァイスMilvusよりも悪い。
劇的と言うほど悪くはないが、逆光では非常に多くのゴーストが出る。

AFは静かだが、ノイズレスとは言えない。
AFは最短から無限遠まで0.7-0.8秒でそれほど速くはない。
AF精度は、屋外のテストではあまり感心しなかったので、スタジオで詳細にテストしたが、完全にピントが合っているのは29%で、若干ピントが甘いのが30%、ピントを完全に外したのが2%で、これは高価なLレンズに期待していた性能ではない。

キヤノン85mm F1.4L IS は、シグマ85mm F1.4 Art に全てのカテゴリで後れを取っていて、ツァイスMilvusとの差はそれほどではないが、Milvusの方が良好だ。
しかし、キヤノンは、他にはない非常に効果的な手ブレ補正を搭載しており、ライバルよりも鏡筒のサイズが小さく軽量だ。

良い点:中央の素晴らしい画質、隅のとても良好な画質、倍率色収差がわずか、非点収差が無視できるレベル、AFが静か、非常に効果的な手ブレ補正。

悪い点:軸上色収差が目立つ、歪曲がライバルよりも大きい、逆光耐性が今一つ、周辺光量落ちが大きい。