マウントの開口を大きくするということは、"大きいことはいいことだ"的なザックリした話ではなく、
レンズ設計を追求するのにメリットがあるからに他ならない。
光学設計者はレンズ構成図(断面)を見て、光がどのようにレンズを通っていくかを読み取り、「美しい」「美しくない」と判断するという。
"美しい"とはどういうことかというと「光学的に素性がよい」ということで、下記3点が主な判断基準だそうだ。
・絞りの前後で光学系の対称性が高い
・光線の屈折がゆるやか
・大きい玉と小さい玉がバランス良く並ぶ
では、大口径マウントが素性のよいレンズ設計の助けになる実例を見ていこう。
先の3点から、「光を大きく曲げると強い収差が発生する」というのを念頭に置いてほしい。

小口径マウントで設計を進めた場合、径の小さいマウントが光束を邪魔しており、
凹レンズを最後部に入れて、撮像面の周辺まで光が届くようにしなければならない。
まず、この急な広げ方が収差を発生させる。そして、バランスを取るように前側のレンズも調整する必要が出てくる。
すると構成枚数は増えるし、レンズ鏡筒は長く大きくなるし、
そもそも上記理由からレンズ構成の素性が良くない。これが「悪循環」に陥った状態だ。
そこで大口径マウントを使った場合、
基準レンズの前から3枚目を撮像面側に下げて径を大きくすれば素直に収差補正ができる
マウント口径は十分にあった方が、光学的に素直なレンズを設計しやすいということが感じられるはず。

キヤノンは当初、APS-Cミラーレス「EOS M」シリーズのEF-Mマウントで35mmフルサイズを実現することも検討したが、
目指した性能が出ないなど、満足のいく結果が得られなかった

https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/1158578.html

目指した性能が出ないなど、満足のいく結果が得られなかった。


結論

キャノンにはソニーほどの開発能力がありません。