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https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201704140002-spnavi

早々と撤退した野球アカデミー

 インドネシアの野球アカデミーを取材したことがある。1年と少し前のことだ。富裕層が急速に増えている東南アジアは野球にとってのブルーオーシャン(新規開拓市場)であり、「アメリカ生まれのクールなスポーツ」、
「“アジアナンバーワンの富裕国”日本で人気のスポーツ」として、その富裕層を中心に競技者を増やしているとのことだった。首都ジャカルタには野球専用球場もつくられていたが、アカデミーの現実は、ほとんどの生徒が現地在住のアメリカ人、
日本人の子弟というものだった。
 このインドネシアアカデミーは、アメリカ人が経営するシンガポールのアカデミーの支店として運営されていた。それではと、そのシンガポールの「本店」を訪ねることにしたのだが、調べてみると、この東南アジアへの野球普及の橋頭堡
(きょうとうほ/新規開拓の足場とする拠点)は閉鎖されていた。2年程前までは、このアカデミーでチームを結成し、日本に遠征、独立リーグの四国アイランドリーグplusとの合同キャンプを行うスポーツツーリズムの計画も持ち上がっていたのだが、
算盤勘定が合わないとなると、早々と撤退したようだ。

〜中略〜

世界の野球普及に本腰を

 現在シンガポールは、東南アジア地域における野球の中心として機能しているようだ。しかし、「東南アジア野球」の実態は、現地人というより現地在住のアメリカ人の野球と言える。
ただ、冒頭で述べたインドネシアのアカデミーもシンガポールの本部とともに撤退し、野球をビジネスツールとして普及させる目論見は失敗していると言わざるを得ない。
 その一方で、日本人による草の根活動としての野球普及も、そのインドネシアやミャンマーで行われている。しかし、善意のみでの活動は継続性に疑問符をつけざるを得ない。東南アジア地域からは、
これまでWBC予選にフィリピン、タイが出場しているが、「野球の本場」であるアメリカ、日本、キューバで青少年の「野球離れ」がささやかれている今、これら野球先進国のトップリーグが手を取り合って
世界的普及に本腰を入れねばならない時期に来ていることを、シンガポールの野球場が語っていた。