日本代表は4日(日本時間同)、W杯ロシア大会の事前合宿地であるオーストリア・ゼーフェルトでの合宿2日目を行った。
メンバーの平均年齢が高いことに対する批判の声もある中で、MF香川真司(29=ドルトムント)は、年齢は関係ないことを強調。4年前に戦った元コートジボワール代表FWドログバの例を出し、実績や経験値こそが重要と訴えた。
 その名前を口にしたのは突然だった。「ちょっと意地悪なことを聞くようですが」。
メディアから今回のW杯メンバーに経験のある選手、つまり年齢の高い選手が多く選出されたことについての批判に対する受け止め方を問われた時だった。
 「4年前のドログバじゃないですけど」
落ち着いた声で、香川は切りだした。
 「そういう選手が試合に入って、彼らは息を吹き返した。実績のある選手、経験のある選手は絶対に、重要になってくると思う」
 「4年前のドログバ」――。その存在感の大きさは、まさに自身や日本代表が忘れることのできない強烈なものだった。
14年のブラジル大会。コートジボワールと1次リーグ初戦を戦った日本は、本田の得点でリードしていた。ところが後半17分、ドログバの途中出場がスタジアム中の空気を変えた。当時、36歳。
だが、その存在に気おされたイレブンは一気に2点を失い、負けた。先発だった香川は次のギリシャ戦で先発落ちの憂き目を味わった。
ドログバと香川。ともに攻撃の中心選手ではあったが、4年前は代表にもたらす結果が違った。
重圧に苦しんで崩れた苦い経験。17〜18年シーズン開幕前、ホワイトボードを購入して自宅に置き、長期的なテーマとして「プレッシャーを楽しむ!」と書いた。
2月上旬に左足首を痛めて長期離脱したが、5月30日のガーナ戦は後半開始から出場。本大会でも前回対戦時のドログバのように、試合途中で流れを変える「JOKER」の役割を求められる可能性もある。
西野監督からは「中盤での独特なセンス、感覚も戻ってくると思う」と期待されている。
2大会連続で背負う10番。「その番号に誇りは持っている」と言う。その上で「(メンバー入りは)一人一人が勝ち取り、監督が決めたこと。
十二分の誇りを持ち、選ばれたメンバーで戦っていくだけ。年齢は関係ない。若い選手が出てくるに越したことはない。ただ、実績や経験は強みがあるんじゃないですかね」。
 4年前のドログバと今の香川。
代表に影響をもたらす経験値は共通している。29歳の円熟期。香川にしか出せない色で、サムライブルーの空気を一変させる。