7/4(水) 7:00配信
 【カザン(ロシア)3日】国際サッカー連盟(FIFA)ランキング61位の日本は2日(日本時間3日未明)、同3位のベルギーに2−3で逆転負けを喫し、初の準々決勝進出を逃した。激闘から一夜明け、ベースキャンプ地の当地に戻った。
5日の帰国も決定。日本協会の田嶋幸三会長(60)は今月26日の理事会で次期監督を決める意向を表明した。ベルギー相手に善戦した西野朗監督(63)の続投論が広がっている。

 残酷なコントラストをしばらく眺めるしかなかった。倒れ込む日本をよそに、歓喜の輪を広げるベルギー陣営。
後半ロスタイムの最後のワンプレーで逆転負けを喫し、西野監督の強運もここに尽きた。

 「最後は本気のベルギーに勝てなかった。あそこまで覆されるとは思わなかった。
これがW杯なのかと。何が足りないんでしょうね」

 MF本田が蹴ったCKを相手GKに捕球されると、そこから速攻を浴びて被弾。「延長も考えていた。
スーパーカウンターを受けるとは」。後半にMF原口とMF乾の連続ゴールで2点リードを奪うも、逃げ切れずに3失点。
試合後のロッカールームでは裸のまま虚脱している選手に「シャワーを浴びろ」と声掛けするのが精いっぱいだった。

 FIFAランク3位の強敵に押し込まれ、CKに逃げること10回。シュート24本を浴びた。「追い詰めたが、やはり勝ちきれない」。
それでも、W杯2カ月前の就任で2大会ぶりの16強入り。1対1の強さ、縦への速さなど前任のハリルホジッチ監督の良い部分は継承し、「位置取り、ボールスピードの変化、連係がよくなれば1カ月でもチャンスは膨らむ」。
日本本来の俊敏性やパスワークを植え付け、期待薄の“おっさんジャパン”の躍進に結びつけた。

 列島も“手のひら返し”で熱狂した。コロンビアに4年前の雪辱を果たす「サランスクの奇跡」に始まり、選手交代がズバリ的中の切り札・本田の3大会連続ゴール。
世界的に物議を醸したポーランド戦終盤の“時間稼ぎ”。そして劇的な終幕−。主将のMF長谷部は「開幕前は皆さんに期待されていなかった。
恐れていたのは無関心。こういう戦いをして誇りをもってくれたのでは」と安堵(あんど)する。

 「また4年後、今日をもって託したい」という西野監督は今大会限りで任期満了だが、続投への機運が高まっている。
日本協会上層部には、2大会ぶりの優勝を目指す来年1月のアジア杯(アラブ首長国連邦)までは続投要請すべきだとの意見が広がっている。
DF長友が「このチームで行きたい。西野監督と前に進みたい」と話すなど、選手の信頼は厚い。

 一夜明けた3日、取材に応じた西野監督は去就について「ノーコメントで」と回答を避けた。田嶋会長は次期監督について20日の技術委員会で検討した上で26日の理事会で決定したいと明言。
「西野さんがやるのか新たな外国人が来るのか、そういうことは一切白紙」と言うにとどめた。

 5月の技術委員会では1次リーグ3連敗も想定し、西野監督の続投は議論にすら挙がらなかった。“身内”も予期しなかった快進撃。
西野マジックの第2幕を選手も、ファンも待っている。