https://news.yahoo.co.jp/byline/sugiyamashigeki/20191128-00152749/

中島翔哉と香川真司に見る「自由度の高いサッカー」の幻影


1-4で大敗した先のベネズエラ戦。ピッチ上に両軍が交錯する姿をスタンドで俯瞰したとき、
違和感として最も目に映ったのは中島翔哉のポジショニングだ。4-4-2的な4-2-3-1の3の左に
いた時間は半分にも満たなかった。与えられた左のポジションを嫌うかのように真ん中に進出。
そこで少々強引なドリブルを始める場合もあった。

 チーム内でコンセンサスが図られているなら話は別だ。中島が内に入ったとき、スッと入れ替わるように
外に開く選手がいるなど、監督の指示に基づく連携プレーになっていたのなら構わない。
しかし中島が動いて空になった左をカバーする選手は見当たらず、監督から指示が出ている様子は見られなかった。

 よって日本の左サイドはサイドバック、佐々木翔ひとりになる時間が多くを占めた。
相手が日本の左サイドを突きやすい状態、つまり穴を、日本は自ら作り出していた。

中島の台頭と呼応するように代表チームから去って行った香川真司も、自由度の高いサッカーが生んだ産物と言える。
2014年ブラジルW杯。その初戦、対コートジボワール戦は、香川の中島的な動きが敗因に直結した一戦だった。
香川が伸び悩んだ原因のひとつとも言える。中島とその姿はいま、重なって見えている。