らき☆すた 陵桜学園 桜藤祭 IF-SS 5話目
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※ネタバレですのでご注意ください。
らき☆すた 陵桜学園 桜藤祭の
らきメモENDの後が気になってしまうこの頃。
もしも、あの後も話が続いていたら・・・というIFのSSを考えて
個人で書くのもよし、皆で書くのもよし。
自由に後味の良いストーリーを考えて書き込んでください。
もちろん、らきメモに限らずこのゲームに関っているものなら基本的にOKです。
・.txt、.html、スレに直接投下、形式はなんでもおk
※えちぃ作品について
・性描写(18禁)を含む作品につきましては、スレへの直接投下は避け、
.txt等に直して投下していただくようお願いします。
まとめサイトのほうにはきちんと保管しますのでご了承ください。
まとめサイト:ttp://www9.atwiki.jp/ryouohgakuen/
■前スレ:らき☆すた 陵桜学園 桜藤祭 IF-SS 4話目
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gal/1221314091/
■らき☆すた 陵桜学園 桜藤祭 公式サイト
http://www.vridge.co.jp/homepage/contents/products/lucky_ps2/
>>445
まぁ名前は微妙だが乙。
あまり草wwwは生やさないほうがいいぞ。
続きがんがれ。 キタ!規制解除キタ!これで書ける!!
どうも、木川龍二です。
3週間程前から巻き添え規制を喰らってて、
SSの投下ができませんでした。
規制が解除され、やっと投下できる状態になったので、
今夜にでも書き溜めされているSS文章を投下させていただきます。
よろしくお願いします。 お久しぶりです、龍二です。
やっとこさ巻き添え規制が解除されたので、
書き溜めていたSSを投下させていただきます。
前話までのまとめ。(多々、修正アリ)
http://ncode.syosetu.com/n0788f/
進行状況をお伝えするブログ。
http://ameblo.jp/26310
さて、今回投下させて頂きますのは、
「遠く、どこまでも近いモノ」です。
>>252の「*」欄に嫌悪を抱いた方は、スルーする事をオススメします。
それでは、少しの間お付き合い下さい。 「攻略開始。昨日キチンと言っておいたと思うんだけどね。」
攻略開始…?ああ、昨日のか。
確かに女の子に起こしてもらって、朝っぱらからその顔が見れるというなら、
好感度はリミッターを破壊してどこまでも伸びるだろう。
「でも…。攻略するのはこなたさんだよね?それなのになんで…。」
ちらっ、と、やまとさんを見つめる。
やまとさんは依然として顔をうつむけたままだった。
「いやはや、失敗だったね。まさか今日も皆さんおそろいとは。」
こなたさんが周りを見ながら苦笑してみせる。
他のみんなは、こなたさんと目が合うたびに顔をうつむける。
「「「わ、私は…。」」」
全員が一度に口を開き、そして全員が先を譲る。
そのようなどぎまぎした空間で冷静なのは、3人くらいのものだった。 「私は関係ないですからね?やまとに連れてこられただけだし。」
こうさんが口を開く。すると、やまとさんも口を開いた。
「わ、私はただ…、そう、そうよ。記憶を一緒に取り戻すって決めたじゃない。
あなたの家を見る事で、何か変わるかな〜、なんて思っただけよ。」
「あ、やまとさんはなんかツンデレっぽくなってるけど、
ただいきなりキミが起きたから焦ってるだけだよ。
ちょっとジャンケンで盛り上がっててね。
負けたからああいう状況になってたの。勘違いしないように!」
「意外と期待したのに、見事にフラグを両断してくれてありがとう、こなたさん。
で、なんでこなたさんがやまとさんに『さん』付けなの?」
「キミだって似たようなもんでしょ〜。」
確かに。まぁ、オレの場合デフォルトでほぼ全員に『さん』付けなんだが。
「あの…。私ってそんなに老けてみえる?」
いや全くそんなことはないのだが。 否定の言葉を口にだそうとする前に、こなたさんが言った。
「いや〜。前から『さん』付けだったしね?
苗字じゃなくて名前で呼んだのはこれが始めてだけど。」
それを言うと、こなたさんはムスッとした顔をする。
「とにかく、攻略は失敗。…全く、なんだろね、このハーレムフラグ。
劇にも結構影響するんだし、ちょっとぐらい空気を読んでくれてもいいのにね〜。」
そういえば、なぜ今日も全員が家に来たのだろう?
かがみさんも、つかささんも、みゆきさんも、みさおさんも…。
パティさんや、ひよりさんも、ここに来る理由など、ないだろう。
「「「あの…。」」」
こなたさんの言葉に答えるように、ほぼ全員が同時に口をあける。
(そりゃあ、10近くの集団の何人かがしゃべっても、
何人がそして誰が喋ったかなど、把握することは難しいだろう。)
「「「あ、どうぞ。」」」
そして、また同時に先を譲る。
なんだこの空間は…。空気が重い。耐えられない。
「ちょっとオレ、準備してくるから待っててくれよ!」
そういってオレは部屋から抜け出し、準備にとりかかった。 ……サトシ君は部屋から抜け出した。
きっと、この重い空気に耐えられなかったのだろう。
……はぁ。攻略開始!なんて宣言したものの、
いきなりこれじゃあ、攻略しようがないね。
「で、どうしてみんないるのかな?
劇の内容をシロウが総受けな内容にでもしたいの?」
みんなは首を振りつつも、何も言えないままでいた。
……みんな、私と同じなのだろうか?
劇。
これが私達の最後の記憶。
劇をやってから、その後がどうしても思い出せない。
でもその後に、すごく大切な何かがあったはず…。
それが、思い出せない。
みんなも一緒なのだろうか?
…みんなも……。
……劇の後………。 「劇の後だよ!ああ、完璧に思い出した!!」
オレは部屋から抜け出し、洗面所に来ていた。
昨日の朝、みんながオレを起こしに来たとき、
薄らかに劇の後の記憶を思い出していた。
それを、完璧に思い出してしまったのだ。
「…ってことは、みんなは記憶は消えてないんだし、
このことは覚えてるって事か…!?」
そうだとしたら、なんという怖い状況だ。
オレは、あの仲良しグループの殆どと劇の後に……。
「……いや、オレはそんな気はさらさらないんだ!!
そんなの、『前の』オレが勝手にやったことだろう!?オレは女こましじゃない!!」
自分に言い聞かせるように叫び続ける。
母さんが心配そうな声で話してくるが、のんきにお話できる状況じゃあない。
「…じゃあ、オレの部屋では今頃…?」
……修羅場ってヤツか…?
…『前の』オレの……バカ……。 今回は以上です。
全選択肢を通っている超やりこみ派の『前の』主人公に惑わされる主人公。
主人公だけ記憶が無く、代わりに劇のあとの記憶があり、
メンバーだけに記憶があり、代わりに劇のあとの記憶がありません。
修羅場とみせかけて微妙な位置。
それでも主人公は修羅場だと勘違いしてしまって…!?
ってな状況です。どんな状況だよ。
久しぶりに書いたもんで、文の成り立ちが不自然かもです。
そのへんは勘弁していただけると嬉しいです。
それでは、龍二でした〜。>w<ノシ 龍二が命綱か。お前がやめたら誰もいないから
とりあえず続けてくれ、頼む。
ついでに上げ もはや何度目の「おひさしぶりです」なのやらorz
どうも、通りすがりの執筆担当、俺です。
微妙に過疎りつつあるなか、龍二氏の存在はありがたいものです。
がんばってくださいね。
さて、日付的には昨日になっちゃうんですが、パティの誕生日なので記念SSをお持ちしました。
つ ttp://blogs.yahoo.co.jp/homurabe_2000/59088355.html
UP自体はなんとか昨日の日付の内にできましたw
題して「すぷりんぐ☆ぶるーむ」
他の作品とかもやってる関係もあってか、最近らき☆すた関連でネタが浮かぶことが少なくなりましたorz
誕生日ネタをやりきった後はさらにペースが落ち込む可能性大です。
まぁ、たまに「こんなヤツがいたなぁ」と思い出してくれれば、その頃合には出てくるかもしれません。
まだまだこのスレとはお付き合いする所存ですので、よろしくどうぞ。 乙です!お久しぶりですねえ〜 自分はあなたの作品好きですよ。 乙!!アンタの作品、大好きだw
龍二氏と同じくこのスレを支えていってくれ。 >>463
お久しぶりです〜。
ゲーム発売から早1年3ヶ月、モチベーションも安定しなくなるでしょうから
無理せず気の向いた時でいいのでまた書いて下さいね。 一年以上たっているのに話を考えられる人はすごい
ネタないのに >>464-466
乙コメありがとう御座います。
誕生日だとしてももうネタが枯渇しまくりで死活問題ですorz
ひょっとしたらお知恵を拝借するかもしれません。そのときはどうぞよろしく。
>>467
この状況下でもネタ停まらず書いてる龍二氏は素晴しいとしか。
今回のパティの誕生日ネタは、一部、別口で考えていた桜藤祭SSネタだったんですよね。
こなたメインでフルメンバー出してお花見するという。いろいろあって書けなかったんですが、誕生日ネタに困ったのでストックから引っ張り出してきたとw
実は長編でアテがないわけではないんですが、全力でクロスなんですよ…
電王の。
以前なぜかギャルゲ板にあった「らき☆すたの世界にモモタロスが乱入したら」スレに書き込んでいたネタを
もういっそ桜藤祭設定ベースで書いちゃうかとか思ってたんですが、その矢先に当該スレが消滅しちゃったんですよね…
さすがにネタがネタなのでここでやるべきか否かってのがびみょーなところではあるんですけどねw >>468そういえばふと思い出したんですが、前にあなたのらきすたSS書庫に「〜くらいまっくす」っていう全員ENDのやつがあったんですが今ありませんよね?何か理由があって消したんですか?答えていただけるとうれしいです。バカっぽくてごめんなさい >>469
あー、あれは元々ブログには掲載してなくて、HPへの公開に際して書き下ろしたモノなんですよ。
つ ttp://island.geocities.jp/homurabe_2000/ex.html
ご参考までに自HP・桜藤祭コーナー
つ ttp://island.geocities.jp/homurabe_2000/raki_index.html
トップページ
つ ttp://island.geocities.jp/homurabe_2000/
…また残ってる作品も再掲載の作業しないとなァ… お久しぶりです。
ゴタゴタとネタ詰まりで、前に言っていたバレンタインSSが停滞してしまいました。ホントすまんですm(_ _)m
それと質問なんですが、桜藤祭でループの初日が主人公の転校初日な理由って本編で書かれてましたっけ? 返答ありがとうございます。
それと今書いてるものがもうすぐ出来ますので出来次第投下させてもらいますね お疲れ様ですー。
久々に新作が来るということで軽くワクテカです。
お待ちしておりますぜ、霧波氏!
さて、当方もめずらしく短いスパンで新作書いてみました。
題して、くえすちょん☆ふろむ ゆー
つかさメインですよっと。
つ ttp://blogs.yahoo.co.jp/homurabe_2000/59223380.html
最近つかさと入力して変換すると一発で「士」と出たりするんですよね…
現状:ゆたちゃんメインで掌編×1本、こなたメインでコメディっぽいのを(短編〜中編程度)1本予定。
まぁ、求職中につき、どうなるかはぶっちゃけ未定ですがw(笑い事か GRENさん
読ませていただきました。ってか悶えさせていただきました(笑)つかさ可愛すぎッス!次も楽しみにしてますね(^-^)
さて、こちらも投下、の前に注意事項。
1、主人公の名前は真堂ゆう
2、厳密には桜藤祭シナリオのお話(ヒロインはちゃんといるけどね)
3、所々本編とは違うけどそこは笑ってスルーで(^-^;)
それでは投下します。タイトルはMEMORIES〜星桜とひとつの約束〜です 好きな人が出来た。
「これで時間が進むわ。もはやループすることはない」
時間のループなんてトンデモな事に巻き込まれながらも、俺は大切なあの子と何度も想いを重ねあった。だから…、
「ループしていた時の記憶は消えてしまうわ。恐らく、今夜中には……」
そう言われた時も、俺達の絆は消えないって信じてたんだ。そう、
「そして、時間の抵抗の影響であなた達2人の関係も…、確実にリセットされることになるわ」
悲痛な面持ちをした永森さんに言われるまでは……。 「なっ!?」
「えっ…!?」
突然言い渡された事に、俺は驚きを隠せなかった。隣にいる彼女、泉こなたもショックが大きいのかうつむき茫然としているみたいだ。
「ど、どういうことだよ!せっかくループすることもなくなるっていうのにっ!」
「ゆ、ゆうくん!?落ち着こうよ!」
「落ち着いていられるかよっ!やっと…、やっとここまできたってのに一体どうし…」
グイッ
パンッ!
「いい加減落ち着きなさいよっ!」
頬に痛みが走る。かがみさんが顔を自分の方に向かせビンタをしたのだ。
「永森さん、痛がってますよ」
そうみゆきさんに言われて、いつの間にか自分が永森さんの肩をかなり強く握っていたことに気づいた。
「ご、ごめん。俺……」
「大丈夫よ。気持ちは分からなくもないから」
永森さんの肩から手を離し、目をつぶり深く深呼吸をする。………うん、大分落ち着いたな。
俺は改めて、永森さんに質問をした。
「なあ永森さん、どうして俺とこなたさんの関係がリセットされちゃうんだ?」
「理由は2つ。1つはあなたと泉さんとの関係がループ中に起きたことだからよ」
「一体どういうことよ?」
「泉さんと真堂くんが関係を持ったのはループの最中、そしてループ中にあった出来事の記憶が消えてしまう。だから、泉さん達が付き合ったって事実まで無かったことになってしまうってことよ」
「そして2つ目。これはみんなにも関係することだけれど、彼とみんなとの接点がループ中の出来事しかないからよ」
「……もしかして、こなたさんだけでなく私達もゆうさんを忘れてしまうという事ですか?」
「察しがいいわね」
「えぇ〜っ!?どうして〜!?」
「ループは、始まりがゆうさんの転校初日で終わりが桜藤祭の花火です。つまり私達は、ループ中以外のゆうさんと会ったことはないということになります。だから、ゆうさんと私達はお互いに面識がほとんどないクラスメート、という間柄になってしまうという事ですよね」
「…ええ、その通りよ」
一連の説明を聞いて、みんなは絶句しているようだった。
「そんな…。せっかく、せっかくここまで頑張ってきたのにっ!こなたさんの事も、みんなのことも忘れちゃうなんて…っ!」
「ねぇ永森さん、どうにもならないの?」
「せめて、ゆうくんとこなちゃんだけでもいいから覚えておく事って出来ないのかな?でなきゃ2人ともかわいそうだよっ」
「…ごめんなさい、こればっかりは私にもどうすることができないの」
「そう、ですか…」
落胆するみんな。泣いているんだろうか、時折鼻をすする音も聞こえる。
ようやくみんなと前に進められるはずだったのに。悔しさや悲しさで頭の中がいっぱいで、俺はただただうつむいて拳を握り締めていた。
どれほどそうしていただろうか。不意に、
「大丈夫だよ」
と、声と共に握り締めていた手が誰かの両手に包まれていた。隣を見ると、目に涙を溜めながらも笑顔のこなたさんがいた。
「私、ゆーくんのこと絶対忘れないよ」
俺の手を包んでいたこなたさんの両手に力がこもっていくのが分かる。
「もしゆーくんが私との記憶をなくしちゃっても、またゆーくんに好きになってもらえるように頑張るから」
「こなた…」
「もしみんなとゆーくんがお互いの事覚えてなくても、私が絶対にまたみんなが仲良くなれるように頑張るから」
「こなちゃん…」
「今までの出来事を思い出せなくても、今よりたくさんの楽しい思い出を作れるように頑張るから」
「泉さん…」
「だから…わぷっ!」
俺はこなたさんを抱きしめ、優しくキスをした。
「んっ……、はぁ。ゆーくんいきなり過ぎだよ」
「こなたさん、ありがとう。」
抱きしめた腕に少しだけ力を入れた。忘れないように、離れないようにと想いを込めて。
「俺も忘れないよ。ループ中にみんなと体験した事も、今あるこの想いも。時間の抵抗だろうがなんだろうが全部ぶっ飛ばしてでも手放したりしない。こなたさん、大好きだよ」
「うん…。私も大好きだよ、ゆーくん」
その時、星桜が光を放ち始めた。
「な、なんなのっ!?」
「どうやら、そろそろお別れみたいね」
「お別れ?」
「船が飛び立つ準備が出来たのよ」
「もう行ってしまうんですね…」
「えぇ。ループが解けた以上、イレギュラーである私がいると問題が起きるかもしれないから」
永森さんから球状の光が出てきた。あれが今まで永森さんの中にいた人なのだろう。
「泉さん、真堂くん。私からは何も出来ないけれど…、あなた達ならきっと大丈夫。そんな気がするわ」
そう言うと、永森さん(光)は星桜の中に入っていった。そして、
「うわ〜、綺麗〜!」
星桜の花びらが光を纏いながら舞い散り始めた。
「幻想的ですね…」
「そうね。ひとひらひとひらが光を放ってまるで雪みたい」
みんな、その光景に見とれているようだった。そんな中、こなたさんが口を開いた。
「ねぇ、ゆーくん。約束、していいかな?」
「約束?どんな?」
「もし今日のこと2人とも覚えてたらさ…、今度初雪が降ったときもこうやって手を繋いで星桜の前にいよ?」
そう言いながら笑顔を浮かべていたけれど、こなたさんの手は震えていた。やっぱり不安なんだろう。俺は、震えているこなたさんの手を強く握り出来うる最高の笑顔を浮かべた。
「うん、約束だよ。でもそこは‘もし’じゃなくて‘絶対’ね。さっきも言ったでしょ。俺は忘れない、万が一こなたさんが忘れても絶対に思い出させてあげるからさ」
「…うん。ありがと、ゆーくん」
俺は舞い散る桜の花びらを2つ手に取り一枚をこなたさんに手渡した。
「これ、持っておこうよ。今日の約束の証ってことでさ」
「うん」
俺とこなたさんは花びらを握り締めながら散っていく星桜を見続けた。
星桜の花びらが残り少なくなってきたとき、俺はやたらと頭がぼーっとし始めた。疲れや眠気とはまた違う、言うなれば頭の中が真っ白になっていく感じだ。他のみんなもそうなのか、不安がっていた。
「なんなのこれ、頭がぼーっとする…」
「ふぁ〜…立ったまま夢見てる気分だよ」
「恐らく…これが時間の抵抗なんでしょう」
花びらが減るにつれて五感も薄れていくのが分かる。少し離れた位置にいたせいか、かがみさん達はもう見えない。俺は力を振り絞って、隣にいるこなたさんと向き合い抱き合った。
「ゆー…くん」
「こなた…さん」
次第にこなたさんの輪郭が薄れ、声も途切れ途切れにしか聞こえない。それでも、抱き合った感覚だけは手放さないようにありったけの力を腕に込めた。けれど、それすらも感じなくなってしまった。
真っ白な世界の中、俺は意識がなくなる間際にこなたさんの、
「大好き」
と言う声と笑顔が見えたような気がした。
「……んぅ」
目を覚ました俺は体を起こし、時計を見る。時間は…いつもより少し遅いくらいかな?それにしてもやけに体がだるい。風邪でもひいたかな?
まぁ、そんな事も言ってられないんだけど。なんたって今日は桜藤祭、クラス合同の劇に使う大道具の最終チェックもしなければならないし。さっさと起きなきゃな。
「よっとぉ!……ん?」
気合いを入れて立ち上がると、開いた手から何かが落ちた。
「これ…桜の花びら?どうしてこんなのを…?」
頭を捻ったところで答えが出るはずもなく、俺は花びらをゴミ箱に入れようとした……が、
「ん?」
不意に桜の花びらが光を帯びた気がした。
「気のせい、かな?……まぁいいや」
俺は家を探して蓋付きの小さな空きビンを見つけると、その中に花びらを入れた。
「これで良しっ……て、何してんだろ俺は」
自分で自分のしたことにツッコむってのも変だよなぁ。まぁ、出どころが不思議だし不思議なパワーでも宿ってそうだからお守り代わりにでも持っておこう。制服のポケットにそれを入れ時計を見る
「うわやべっ!こんな時間かよっ!」
俺は急いで支度をし、家を飛び出した。気がつけば、朝のだるさはいつの間にか消えていた。 以上です。
多分、ってか確実に読んだ方は「なんじゃこのシメは〜っ!」と思われるでしょうがこのMEMORIES、二部構成もしくは三部構成を考えて書いてるんです。始めに言うのマジで忘れてました(^_^;)
一応第二部は終盤まで書けてるんですがネタ詰まりの可能性を考えて第二部「MEMORIES〜この白い雪と〜(仮)」の投下予定は未定ってことでm(_ _)m
でわ、感想待ってますノシ いきなりビンタとはwww
さすがかがみはウザいなwwwww それは確かにw
でも切なくていい話だったと思います。乙でした 感想ありがとうございますm(_ _)m
>>491さん
古今東西、錯乱気味の人にはビンタっていうお約束にのっとってみただけでそこまでの他意はないんですけどね。途中までビンタ役はみゆきさんの予定でしたし(^_^;) いてくれると書く気になるんだがなぁ……そんなこと言いつつ居なくても書いてるんだけど
編集は誰にでも出来るらしいが、俺は無理だ…パソコンがないからな エンディングの後日談的なもの書いてるけど、やっぱ難しいな
SS定期的に書いてる人尊敬する お疲れ様です。
ひよりんの誕生日のことをすっかり忘れていた不良プレイヤーです。
ともあれ、遅ればせながら記念SSをお持ちしましたのでご賞味くださいませ。
つ ttp://blogs.yahoo.co.jp/homurabe_2000/59514850.html
題して「すけっち☆すいっち」
思えば、桜藤祭ネタだけでもう30作近いのか…思えば遠くに来たもんだ(トオイメ GJ! なんて甘いんだ…好きだぜこういうの 乙でした! 今日はこなたの誕生日だな。
今日中にすべては無理だが、続きを投下するぜ。
前に投下したのいつだっけ……orz 家に帰り、夕飯をとってお風呂にも入り、部屋に戻って、PCを立ち上げる。
今後の雷堂くん攻略のための参考資料というコトで、エロゲでも……。
そう思ってた時、部屋のドアがノックされる。
「お姉ちゃん、ちょっといいかな?」
ドア越しから、ゆーちゃんが遠慮がちな声で呼んでいた。
幸いまだエロゲは起動前だったので、ゆーちゃんを部屋に招き入れる。
「ごめんね、こんな夜遅くに。」
「ううん、どーせいつも徹夜するから大丈夫だよ。
それで、どうしたのゆーちゃん?」
「うん……あのね。葛葉先輩って、彼女とかいるのかな……?」
えッ……!?まさかゆーちゃん……!? 「今日ね、クラスの子に紹介して、って頼まれたんだ。」
あ、そういうコトか。
ゆーちゃんがライバルだったら、どうしようかと思った。
病弱で思わず守ってあげたくなる妹系萌えキャラを地で行くゆーちゃんと、ヲタ丸出しな私……。勝負にならないね、私の負け的な意味で。
「一応いないと思うよ。そんな話訊かないし。」
うん、訊いたコトない。
そもそもいたら困る。
「そっか、いないんだ。よかったね、お姉ちゃん♪」
「ふぇッ……?」
「だってお姉ちゃん、葛葉先輩のコトが好きなんでしょ?
夕食の時も『雷堂くんが、雷堂くんが』って、葛葉先輩の話ばかりしてたと思うんだけど。」
……してたかも。
そういえばおとーさん、なんか面白くなさそうな顔してたような。
「一応ね、その子には『今はいないけど、ちょっと厳しいと思う』って伝えとくから、安心していいよ。」
むぅ……、ゆーちゃんにまでバレてるというコトは、岩崎さんやひよりん、パティ、アニ研繋がりで八坂さんにまで伝わってると考えた方がいいな。
……特に八坂さんあたりは面白おかしく友達に伝えてそうだ。 ※
「はっくしょん!」
『こう、風邪?』
「ううむ、誰か噂してるのかも。泉先輩あたりかな?」
『徹夜ばかりして少し体調崩してるんじゃないの?
あんなよくわからないマンガばかり描いてないで、少しは規則正しい生活送った方がいいわ。』
「なに?やまと心配してくれてるの?」
『別に。それで、その泉先輩と葛葉って人の話の続きは?』
「おおっ、気になるかね?それでね……。」
※
それから、何日か経った後の昼休み。
「あー、超おなか減ったし♪♪」
「こなたさん、微妙にネタが古いよ……。」
隣の席から的確なツッコミを入れてくれたのは、私の好きな人……葛葉雷堂くんである。
「お昼にしようよ。もうすぐかがみも来ると思うから、机くっつけて。」
「はいはい。」
周りの机を動かして並べてると、お弁当を手に持ったつかさとみゆきさん、やや遅れてかがみもやってきて、いつもの仲良し5人組によるお昼タイムが始まる。1日で最も楽しい時間だ。
そこに……。
「お〜い、葛葉ぁ〜。お前に客だぞ〜。」
教室の入口からクラスメートの白石くんが、声を張り上げて雷堂くんを呼ぶ。
「客?誰だろう……。
あ、ごめんねみんな。ちょっと行ってくるよ。」
そう言って雷堂くんは席を立つと、廊下の方に歩いていく。
廊下に視線を向けてみると、見慣れない女子生徒が俯き加減で立っていた。
はっ!もしやこれはッ! 「告白、ね。」
ボソッとかがみが呟く。
「あっ……。」
頭をハンマーで殴られたような衝撃が私の体を突き抜ける……。
手に持ったチョココロネからは、チョコがトロリとはみ出て、そのまま制服のスカートに垂れ落ちる……。
「うにゃッ!?チョコがッ!」
叫んだところで手遅れ。
すかさずつかさとみゆきさんがウェットティッシュを差し出してくれるが、スカートにはチョコの跡がベットリと付いてしまった……。
「あは……あはは……、何やってんだろ、私……。」
自虐的に笑う。
私が告白を先延ばしにしてたから、他の娘に先を越されてしまった……。
我ながら、なんて馬鹿なのだろう……。
こないだかがみが言ってた「ぼやぼやしてると他の娘に先を越される」という言葉が、とうとう現実になってしまった……。
「初恋は実らない、って本当だったんだね……。」
さっきの娘、女の私から見ても結構可愛かったな……。 「……まだ彼があの娘と付き合う、って決まった訳じゃないでしょ。
今ならまだ間に合うわよ。追っかけて『ちょっと待った』コールして来なさい。」
ちょっと待ったコールって……。
「……かがみん、今時ねるとん何て誰も知らないと思うよ?」
じゃあなんで私は知ってるのかというと、言わずもがなおとーさんの影響。
「う……うるさいわね。ラノベよ、ラノベ!ラノベにそんな展開が……。」
「まぁ、そういうコトにしときましょうw」
多分、今のはかがみ流の遠回しな励ましだったんだろうな。
「ありがと、かがみ。少し元気が出て来たよ。」
「べ……別にお礼を言われるようなコトしてないわよ!」
「んふふふ……ツンデレなかがみ萌え♪」
「誰がツンデレだ!」
「おー!鬼だ……。鬼がおる!!」
「こぉ〜なぁ〜たぁ〜……!!」
少し調子に乗りすぎたせいか、かがみが怖い顔で拳を握り締めていた。
「うぇッ……!?逃っげろ〜!!」
かがみの拳の制裁から逃げるように、私は席を立って教室外に出る。
かがみを怒らせたから逃げ出しました、って風に見えるよね? ・
・
・
しかし、勢いで教室を出たものの、果たしてどこに行けばいいのか。
「よう、チビッ子じゃん。どしたんだ?一人でさー。」
「柊ちゃん達は一緒じゃないの?」
「あっ、みさきちに峰岸さん。」
どうしようかと思案していたところで、峰岸さんとみさきちに声を掛けられる。
「うん、ちょっと……ね。」
誤魔化すように言葉を濁す。
「そーいや、さっき葛葉の奴が見知らぬ女と中庭の方に行くの見かけたぜ。」
「中庭!?」
となると、星桜の樹のあたり……?
「急いだ方がいいんじゃない?あの雰囲気だと、きっと……。」
「ごめん峰岸さん!また今度ね!」
私は、挨拶もそこそこにダッシュで中庭に向かう。
空腹で全力疾走はキツいけど、このまま流れに任せて後悔するよりはマシ!
この時だけは自分の身体能力に感謝! ……日付変わるし、さるが恐いし、キリがいいから今日はここまでにするさー
また間が空くかもしれんが……なんくるないさーw GRENさん乙です。毎回悶えさせてもらってます(笑)
>>513さん乙です。続き期待してますね(^-^)
俺もなんとかして早くMEMORIES書き上げなければ(-公-;) 皆様、お久し振りです。
以前『純愛シリーズ』を投下していた「ゆう」と申します。
長らく間を空けてしまってすみませんでした。
前回投下から約半年経ってしまいましたが、
出来ましたら、またここで投下させて頂きたく思います。
では、お詫びは後にして、まずは投下で罪滅ぼししたく思います。
今回も例に洩れず、
・ゲーム主人公設定
・ただし、ゲーム内容はあまり出ない
・ループの記憶をほとんど忘れている
と、なっております。
では、投下させて頂きます。
題名は「純愛〜みさおの記憶〜」になります。
それでは、よろしくお願いいたします。 「…みさお…」
「お、おまえ!? 何でこんなとこいんだ!?」
目の前にいる見覚えのある顔に、日下部みさおは顔を赤くしながら慌てる。
「みさお。俺、みさおが好きだ」
「…はぁぁ!? い、いきなり何…」
だが、そこまで言ってみさおは黙り込んでしまった。
ドキドキする心臓の鼓動に紛れて、喜びが見え隠れしている。
それだけではなく、みさおは何か大切な事を忘れている気がした。
「…なぁ、アタシ…」
みさおが言葉を発しようとすると、
目の前の男がみさおを優しく抱き締めた。
「なっ! なにすんだ!」
「みさお…」
自分の名前を呼びながら、その相手はゆっくり顔を近付けてくる。
(…あれ? この感じどっかで…)
「って、それどころじゃねぇ! やめろって!」
「…ダメか?」
みさおが抵抗すると、相手が哀しそうな顔をして見つめてくる。 「…あ、うぅ…」
その顔に、何故かみさおはそれ以上抵抗出来なかった。
「みさお…。大好きだ…」
そう呟きながら、二人の距離がどんどん短くなっていく。
(〜〜ッ! ――や…)
「やっぱダメだぁっ!」
掛け布団を蹴飛ばして、ガバッと身体を起こす。
「…んぁ? …あ〜…、夢かぁ…」
夢で良かったという安堵と、どこか残念な気持ちがごちゃ雑ぜになり、みさおはベッドに突っ伏す。
「…何でおまえが出てくるんだよ…、○○…」
みさおは、そう呟きながら、ゆっくりとベッドを降りて部屋を出て行った。
着替えも終えて部屋でボ〜ッとしていると、
携帯が音を鳴らして電話の着信を知らせる。
相手が誰かを確認すると、みさおは携帯をとり電話に出た。 「もしもし、あやのかぁ? どしたんだ?」
「うん、お菓子作ったからどうかなって。食べる?」
電話を掛けてきたのは、みさおの親友峰岸あやのだった。
「おう! 食べる食べるぅ! アタシも暇してたからすぐ行くぜ!」
「うん、じゃあ待ってるね」
電話を切ると、家にあったペットボトルのジュースを片手に
あやのの家へと駆け出して行った。
「あ〜や〜のぉ♪ 来たぜー」
「いらっしゃい、みさちゃん♪」
玄関まで出迎えたあやのに連れられ、楽しげな声のするリビングへと向かう。
「あれ? 誰か来てんのか?」
「うん、柊ちゃんと妹ちゃん、それと高良さんが来てるよ」
「お、柊来てんのか」
リビングへと入ると、机に山盛り置いてあるお菓子を囲んで、
柊かがみ、つかさと高良みゆきが楽しそうにお喋りしていた。 「…お菓子の量ハンパなくね?」
「妹ちゃんと作ってると、気付いたらこんなに…」
うずたかく2メートルはあろうかと言うくらい積まれているお菓子を前に、
3人は将棋崩しをするように慎重にお菓子を取っていた。
「なんで一ヵ所に積み上げんだっ! 小皿に分けるかなんかしろって」
「最初はそうしてたんだけどね? 柊ちゃんが早く食べたいからって…」
「峰岸っ! 余計な事言わなくていい!」
お菓子の山の向こうから、かがみが声だけで抗議してくる。
「なんだよ柊〜♪ 食いしん坊だなぁ〜」
「はわわわ…、ごめんね日下部さん」
「つかささん、日下部さんはかがみさんの事を言ったのでは?」
食べる手を緩めない――、むしろ高速化していくみゆきにやんわりと突っ込まれ、
つかさはお菓子でパンッパンになった頬を赤らめる。
「そか、『柊』じゃわかんねぇか」
そこまで言って、何か掛け合いに物足りなさを感じた。 「…あれ? チビッ子は? それに○○もいないな」
キョロキョロと辺りを見渡しながら、誰にともなく尋ねる。
お菓子の影に隠れてしまっているのかと思ったが、そうでもなかった。
「あの二人ならそろって遊びに行ってるわよ?」
「なんでも、イベントがあるそうで、
朝からお出かけされているそうです」
二人の言葉に、みさおは表面上気にした素振りを出していないが、
心のどこかがザワついていくのを感じた。
「…ふ〜ん、そうなのか。こんなに美味いお菓子が食えないなんて、可哀相にな」
そう言いながらお菓子を一つ掴んで口に放り込む。
本来なら甘い口当たりが広がるはずが、
何故かみさおには『甘い』と感じられなかった。 ――その頃イベント会場では――
「はい、○○くん」
「? 何? この紙切れと…、お金」
会場入口で何やら話し合っているこなたと○○がいた。
「イベント戦略図と実弾(軍資金)だよ。夏コミなんかに比べたら小さいけど、
大手サークルも参加してるから。油断してると…、死ぬよ?」
「え? ここ戦場? 俺兵士?」
「似たようなものだね。――では、これよりブリーフィングを始める!」
「…はぁ」
――ズビシッ!
「痛いっ! なんでチョップすんだよ!」
「返事が違う! 『イエス・サー!』だっ!」
「…い、イエス・サー」
雰囲気に酔ったのか、ブリーフィングと名付けられた
壁サークルパシリルートの説明は30分近くかかった。
「以上だ! 何か質問は?」
「…ありません」
「良かろう。では作戦開始! 諸君の健闘を祈る!」
「諸君って、俺だけ――」
そう言おうとした時、後ろから地響きのような歓声が上がる。
驚いて振り向くと、イベント参加者であろう人達が
片手を突き上げて盛り上がっていた。 「こういうイベント参加する人達って、結構ノリ良いからね〜♪
○○くんも負けてらんないよ?」
「…はは…、ぜ、全力を尽くすよ」
「何かあったらすぐに連絡してね? 助けてあげるよ♪」
「ああ、こなたさんも何かあったら連絡してくれよ?
すぐに駆け付けるから」
○○がそう言うと、こなたは顔をサッと伏せる。
ほんのり染めた頬を隠して、そのまま会場へと走って行った。
「気合い入ってるなぁ。…よしっ! こなたさんを失望させないようにしないとな」
○○は気合いを入れると、人の渦巻く会場へと足を踏み入れて行った。
――数時間後――
そこには鬼の形相のこなたと、正座している○○が会場入口の休憩所にいた。
ただし、こなたはベンチの上に立ち、○○は床に正座している。
「○○二等兵…、もう一度事情を聞こうか…」
「え、え〜と、壁サークルに歩いて向かってたら
何やら人の壁に押し込まれて、気が付いたら入口に戻されて…」 「…で?」
「もう一回突撃しようとしたら、赤いサンバイザーみたいなものを被った暑苦しい人に
『お客様は神様だぁ〜!!』って…、…なぜか…、殴り飛ばされて…」
「……で…?」
「……今まで、気絶してました…」
最後は消え入りそうな、か弱い声で呟く。
最初こそベンチで横たわる○○を見て心臓が張り裂けんほどビックリしたが、
寝ているだけだと分かった時は目と鼻と口をアロンアルファでとめてやろうかと思った。
だが、本気で申し訳なさそうにする○○に、
こなたはすっかり怒りが消え失せていた。
「…仕方ないなぁ…。あんなに入る前に言ったのに! 油断すると死ぬって!」
「…返す言葉もない…」
「…楽しみにしてたんだよ? 壁サークルの本…」
「……」
「絶望した! 一番のお楽しみがない戦果に絶望した!」
頭を抱えながら、こなたは地面に平伏す。
「ご、ごめんって…。…え〜っと、…そうだ! これからどっか遊びに行こうよ! 俺が奢るからさ!」 しどろもどろになりながら○○が提案すると、どんよりオーラをまとっていた
さっきまでとは打って変わって元気になる。
「ホント〜♪ じゃあじゃあ〜、ケーキバイキング奢ってもらおうかな!」
「ず、随分元気になったね…?」
「オタク心と秋の空ってね! ほらほらぁ! お詫びにしっかりリードしてよね♪」
そう言いながら、こなたは○○の手を掴んで走り出す。
「おわっ! って、そんなに急がなくても…」
「時間は待ってくれないのだよ〜? 早く走りたまへ!」
半ば強引に○○の手を引きながら、二人は雑踏の中へと消えていった。
すっかり夜も更けた頃、シティホテルから○○とこなたが出てきた。
「いゃ〜、流石にホテルのケーキバイキングは凄いね!」
「…あぁ、種類も値段も桁違いだったな…」
輝かんばかりの笑顔をしたこなたとは対照的に、
○○はすっかり軽くなった財布を眺めて涙ぐんでいた。 「…遠慮しないんだもんな…」
「今日満たされるハズだった心に比べたら、全然足りないけどね!」
「…それを言ってくれるなよ」
「むっふふ〜♪ これでしばらくケーキ三昧だねぇ(=ω=.)」
「…バイトしなきゃ…」
さらに肩を落としながら、○○がトボトボ歩いていると、
視界の中に手が差し出される。
それを根元までたどると、こなたが猫口のまま手を差しのべていた。
「? どうしたの?」
「しっかりリードしてもらうって言ったじゃん?
家に帰るまでちゃんと手を引いてもらおうかな〜ってね♪」
「あぁ、そうか。分かったよ、じゃあ帰ろうか」
差し出されたこなたの手を引きながら、
○○は駅までの道のりを歩いて行く。
「シティホテルから出て来た若い男女…。ひよりんが見たら喜びそうだねぇ〜♪」
「色気より食い気だらけの一日だったくせに、何言ってんだよ」
「むぅ、照れ隠しだったかも知れないじゃん…」
「ホテルでの会話は『あれ取って』『コーヒーお願い』の二個だったな」
「…ぐむ」 そんな会話をしながら歩いていると、
前方から聞き覚えのある声がしてきた。
「一体どれだけお菓子作ってんだ!
食い尽くすのにこんな時間になってんぞ!」
「ご、ごめんね日下部さん」
「日下部っ! つかさを責めないでよ!」
「大変美味しかったですよ?」
あやのの家でようやくお菓子を食べ終えたみさお、かがみ、つかさ、みゆきだった。
「あれ? ○○くんじゃない。こなたも一緒?」
「やっほ〜かがみ〜ん♪ 皆は何してたの?」
「峰岸さんの家でお茶会してたよ〜。こなちゃん達は?」
「あぁ、俺達は――」
説明しようとする○○を遮って、こなたが口を挟む。
「今までホテルに居たんだ〜♪ いやぁ、すっごく『良かった』なぁ〜♪」
やけに『良かった』を強調してこなたが言った。
思春期真っ盛りの女子高生だ。『ホテル』『良かった』から
連想したものに、あるものは顔を赤らめ、あるものは放心してしまっている。
みさおは、こなたの言葉を聞きながら辛うじて自分を保っていた。 (…ホテル? また、ど〜せチビッ子がデタラメ――)
そう思いながらふと見ると、しっかりと繋がれた手が目に入る。
視線に気付いたのか、○○は慌ててこなたとの手を離した。
「ほ、ホントにホテル行ってたんだ?」
かがみが恐る恐る聞くと、こなたは満面の笑みで答える。
「もっちろん! それはもう夢のような――」
「ち、違う! いや、違わないけど違う! 皆が考えてりような事は無かったって!」
慌てて○○が否定する。かがみ達は興味津々といった感じで話をしているが、
みさおには先程から何も聞こえなくなってしまった。
(そか…、あの二人そういう事だったんだな)
(…別にいいんじゃね? アタシには関係ねえし――)
そう心の中で否定しても、みさおの中には
得体の知れないザワつきが広がっていた。
それはあっと言う間に全身を包んだかと思うと、
胸の辺りを痛い程切なく締め付けていく。 ――上手く呼吸が出来ない――
――胸が焼けるように辛く、痛いくらいに切ない――
『これ以上ここに居たくない』
そう思ったみさおは、捲し立てる様に告げる。
「も、もう遅いからアタシ帰る――じゃ、じゃな」
誰にも喋らせる間を与えずに、みさおは足早に消えて行った。
身体が熱かった。
胸だけじゃない。目も、耳も、手も、顔も。
みさおの全てがどんどん熱を帯びていった。
その熱が限界に達した時、頬に一番熱い雫が流れ落ちた。
「――うぅ…」
その一粒を皮切りに、涙が止めどなく流れ落ちてくる。
足早に歩きながら、みさおは泣いていた。
頬を撫でる風が、涙の跡を冷ましていく。
だが、次から次へと流れてくる涙が、それを再び熱くしていった。
(…とまんねぇ。な、なんで、だよ…)
涙を拭いながら歩くみさおの脳裏に、桜藤祭での場面がフラッシュバックする。 ――四苦八苦しながら、突然の代役に一生懸命な○○――
――舞台で役になりきる○○の横顔――
――咲き誇る星桜の木の下で感じた○○の温もり――
(――あぁ…、そか…。アタシ、何で忘れてんだろ…)
涙の熱によって、心の底から沸き上がる暖かい気持ち。
(――そっか…、アタシこんなに…、こんなに○○が好きだったんだ…)
(だから、いつも、夢で、見てたのか…)
(…大切な想いを、絶対、忘れないように…)
急ぎ足で家に着くと、みさおは声を上げて泣き出した。
悔しくて、哀しくて、寂しくて。
何より、誰よりも大切な○○への想いを、
今まで忘れていた自分が許せなくて。
――もっと早く思い出していれば、○○と手を繋げたのは自分かも知れないのに――
――○○と一緒に遊べたのは自分かも知れないのに――
――○○と結ばれたのは、自分かも、知れないのに…――
そんな思いがみさおの心を引き裂いていく。
――もう時間は戻らない――
そんな絶望的な現実が、みさおを暗く、切なく包み込んでいった。 ――翌日――
「日下部がお休み?」
「うん…、みさちゃん調子悪いからって…」
「そう言えば、昨日も帰る時様子がおかしかったのよね」
「帰る時? 何かあったの?」
「あぁ帰りに○○くんとこなたにあったのよ。そしたら日下部が急に帰っちゃって…」
(…何かあったのかしら?)
「私達もビックリしたけどね。いきなりこなたが
『ホテルで良い思いした』なんて言い出すもんだから」
「ホテル?」
「そ、なんかホテルのケーキバイキング行ってたって」
(…二人でデートしたのが羨ましかったのかな…?)
「あ〜、でも日下部は全部聞く前に帰ったから、
もしかしたら…、え〜っと、…その…、ア、アダルトな方向?
そんな感じに勘違いしてるかも…」
ようやくあやのは理解した。と同時に『何とかしなければ必ず悪い方向に向かう』、そう思っていた。
――キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン――
朝のHRの予鈴が鳴り響く。
「柊ちゃん、先生に保健室行くって伝えてくれる?」 「ん? 峰岸もどっか調子悪いの?」
「…ちょっとね」
そう言い残すと、あやのは隣りのクラスへと足早に向かった。
予鈴が鳴り自分の机についていた○○の前に、あやのが静かにやってきた。
だが、その顔にいつもの穏やかな笑みは無く、
威圧感を感じる程真剣な顔をしていた。
「峰岸さん? どうしたの?」
「○○くん、ちょっといいかな? お話があるの」
いつもの声質と違い、言葉の端々にも感じられる圧力に、教室中が静まり返る。
「…うん、いいよ。みゆきさんごめん、先生には早退って言っといて」
○○はみゆきからの返事を待たず、教室から出て行くあやのの後を追った。
気持ちいい青空と、朝の澄んだ空気が流れる屋上に、あやのと○○がいた。
「○○くん、みさちゃんお休みなんだって」
「日下部さんが? 昨日は元気そうに――」
そう言いながら、○○は引っ掛かりを感じる。 (…元気? 違う、元気とかじゃなくて――)
「…『日下部さん』なの…?」
瞬間的に入った思考状態を、あやのからの言葉で中断する。
「…それって、どういう――」
「――『みさお』――じゃ、ないの?」
一言ずつ、○○に届くようにハッキリと言葉にするあやの。
――『みさお』――
そう聞いた時、○○の頭に断片的な映像がフラッシュバックする。
――フォロー……あんがと。そんだけ、んじゃ――
そう言いながら、バツが悪そうにしている顔。
――んじゃ、いくぞ。セリフ忘れたとか言うなよ?――
体育館で二人だけの世界に集中している顔。
そして…
――好きだから! おまえの事好きだから!――
顔を赤くして、想いを残す事無く、懸命に伝えようとしている顔――
フラッシュバックが止んだ時、一体どこにあったか分からない程、みさおへの想いが溢れ出してくる。
(…そうだ、そうだよ。――俺は――!)
「…思い出してくれた?」
あやのの言葉に、○○は顔を上げて頷く。 「…峰岸さんは覚えてたの?」
「うん、全部。二人しか知らない告白のシーンまでしっかりと♪」
「…なんで知ってんの?」
「恐らくみさちゃんも、つい昨日まで覚えて無かったと思うの。
でも、その想いまでは消せなかったハズだから、きっといろんな形で
みさちゃんに気付かせようとしてたんじゃないかな?」
「あれ? 聞いてる?」
「だから、想いを取り戻した今、みさちゃんは
昨日の出来事を勘違いしたまま、きっと自分を苦しめてるの」
「もしもし?」
「本来なら私が干渉するような事じゃないんだけど…」
「ねぇ、会話してくれよ…」
「――○○くん」
「はい」
穏やかな感じでもなく、威圧感とも違う、祈りに近い雰囲気に○○は圧倒される。
「――みさちゃんを、助けてあげて…」
みさおを思う気持ちは恐らく誰より強いのだろう。
異性に向ける気持ちとはまた別に、あやのもみさおが大切なのだ。
あやのからのひたむきな友愛を受けて、○○は力強く頷いた。
「――あぁ、任せて」
そう告げると、○○はみさおの家へと駆け出して行った。 みさおは、カーテンを閉め切った部屋で、ベッドの上に膝を抱えて座っていた。
その目には大きな隈が出来ている。
目を閉じると、昨日の出来事が鮮明に浮かぶ。
――繋いだ手、幸せそうなこなたの顔――
それらが目を閉じる度に頭の中で再生され、結局一睡も出来なかったのだ。
無視して寝ようと試みたが、想いを取り戻したみさおには
直視するに耐えられない光景だった。
(何で今頃…、バッカじゃね…)
自虐的に自分を責める。
夢に○○を見る度に疑問にこそ思ったが、深く考える事は無かった。
○○と会う度に落ち着かなかったが、それを『好き』だと認識しなかった。
(…全部…、遅すぎたんだな…。はは…、ホント、馬鹿みてー)
枯れ果てたと思える程流した涙がまた溢れ出す。
何度目か分からない後悔をしていると、来客を知らせるチャイムが鳴り響く。
(…郵便か?)
そうこうしていると、再びチャイムが鳴った。
荷物であるなら出ない訳にもいかず、みさおはパジャマのまま玄関を開けた。 走りながら、○○は考えていた。
(どうすれば…、どんな言葉を掛ければみさおに届くだろう…)
みさおが苦しんでいる理由の見当はついていた。
だが、それをどんなに細かく、分かりやすく説明しても
こなたと遊んでいた事実は変わらず、
自分の行動を正当化して弁明しているようで嫌だった。
(――違う。伝えるべき事はそんな事じゃない!)
息を切らせながら、○○はたった一つの事を伝えようと決意する。
しばらく走っていると、何度か見た事のある家へと辿り着いた。
膝に手をついて呼吸を整えると、○○はインターホンを押した。
みさおはドアを開けたまま固まっていた。
(あれ? 今日平日だよな?)
(時間的に1限が始まってるし)
(――あ、アタシパジャマ着たままじゃん…)
目の前にいる○○を眺めながら、あらゆる思考がみさおの頭を駆け巡る。 「…みさお…」
○○から呼ばれて、みさおは思考を中断すると、
じわじわと現実感が襲ってくる。
「お、おまえ!? 何でこんなとこいんだ!?」
昨日から止まらなかった溢れんばかりの想い。
その対象者が目の前にいる事と、パジャマ姿が相俟って、みさおは顔を真っ赤にする。
「聞いてくれ、みさお…。俺、みさおが好きだ」
「――ッ!」
「桜藤祭の時、星桜の木の下で言った事は全部本気なんだ」
「……」
「友達とかじゃない。こなたさんにも、かがみさんにも、
…こんな気持ちにはならない。…俺は、みさおが、大好きなんだ」
「………」
「……言いたい事はそれだけ。…本音を言えば、もっと話したい事は沢山あるけど、今はこれだけ。
どんな気持ちよりも、一番大切で、一番大きな俺の想いを知って欲しくて…」
そう言うと、○○は困ったような笑顔を浮かべる。
「今日は…、帰るよ。明日、学校で会おうな」
そう告げて帰ろうとする○○を、みさおは背中の服をキュッと摘んで引き止める。 「…待てよ…。自分ばっかり言いたい事言いやがって…」
うつむいていて表情は分からないが、言葉の端々に怒りを感じる。
○○はゆっくり振り向きながら、みさおの手を軽く握る。
「…怖いんだ。今までみさおへの気持ちを忘れてたんだよ、俺…。
そんな俺の事、みさおが好きで居てくれるのか…。それを知るのが、怖いんだ…」
みさおは、○○の言葉を下を向いたまま聞いていた。
「…だから、今日は帰――」
「アタシ言ったよな? 殴る時は殴るって」
みさおが遮るように言い放つ。その表情は未だ窺い知れない。
「…目ぇ閉じて歯ぁ食いしばれ…」
怒りのせいか、声を震わせながらみさおが呟く。
○○は、みさおに許して欲しい一心で、目を閉じて顔を強張らせる。
――ちゅっ――
少しして感じられたのは、ふわりとした女の子の優しい薫りと、唇に触れた柔らかい感触だった。
○○が驚いて目を開けると、目に涙を浮かべながら睨むみさおの顔があった。 「…みさお…?」
「…どうしていいか分かんねぇんだ…」
「……?」
「お前に名前を呼ばれるのが嬉しくて…。好きだって言われんのが嬉しくて…」
「……」
「忘れられてたのが哀しくて…、でもアタシも忘れてて…、
それに、思い出してくれたのがまた嬉しくて…」
「…うん…」
「全部ごっちゃになってわかんねぇんだ。
…でも、たった一つだけ分かってる事があったから…」
言葉を続けながら、みさおは涙を流していた。
拭うのも忘れ、真直ぐ○○を見つめながら告げる。
「…その気持ちを、行動にしたんだ。…お前が好きだって、気持ちを…」
みさおは、握られていた手をギュッと握り返す。
次々と溢れる気持ちが少しでも伝わるように
愛しさを込めて、強く、強く。
その手を○○もまた強く握り返し、みさおの身体を抱き寄せる。
「ごめん…、ごめんな、みさお…。忘れてて…、ごめんな…」
「…もう、良いってヴァ…。それ以上謝ると怒るぞ」
○○の胸の中からみさおが脅す。
しかし、到底迫力は無く、ただその可愛らしさに○○はより強く抱き締める。 「…もう、離さないから…。ずっと、俺の横に居てくれるか?」
「…聞くまでもないだろ。――ま…、今度こそ長い付き合いに出来りゃ良いな」
「…あぁ、ずっとずっと一緒だ」
○○の鼓動に抱かれながら、みさおは悔しそうに呟く。
「ちぇっ、何かアタシばっかり喜んでんな」
「ん? …じゃあさ、もう一回キスしてくれる?
さっきのは一瞬な上に、目を閉じてたからよく分かんなかったんだよ」
「…ったく、しょうがねぇなぁ…」
○○からの申し出に頬を染めながら頷くと、みさおは○○との距離をゼロにする。
「…ん…、んぅ…」
少し長く繋げた唇を、名残惜しそうに離す。
「…こ、これでいい――うむぅ!?」
唇を離して一息つく間もなく、○○が再び唇を重ねた。
「…んぅ〜…! くちゅ…、ちゅ…」
かなり濃厚なやつをされて、みさおは○○を睨む。
「――ぷはっ! な、なにすんだっ!
あ、あああんな濃いのすんなよっ!」
「ご、ごめん…。ほら、桜藤祭の時は出来なかったろ?」
「…でもよぉ…」
「気持ち良くなかった? …イヤだった?」
「…………良かったけど……」 みさおはポツリと呟くと、ずっと引っ掛かってた事を問い質した。
「そう言えばさ、『良かった』で思い出したけど、この前チビッ子と、ホテルに居たんだよな…?」
「うん、帰りに会った時だよね?」
「…あれさぁ、チビッ子と何してたんだ?」
「あれ? あの時はこなたさんと一緒にケーキバイキングに」
「ケーキバイキングぅ? 何、お前そんなん好きなのか?」
「あぁ、違う違う。こなたさんの付き添いで行っただけだよ」
みさおは喜びと脱力感に満たされていくのを感じた。
「ごめん…。もう行かないからさ」
「…いいよ、ケーキバイキングくらい…」
「違うよ、もう他の子と遊びなんか行かないって事だって」
「当たり前だっ! 今度は本気で殴んぞ!? …本気で、泣くぞ…」
怒りと、願いの込められた言葉に、○○はみさおの頭を撫でながら誓う。
「うん…、二度と泣かせたりしない。――みさおは、笑った顔が一番可愛いんだからな」
「――ッ! …バカヤロ…」 想いは、記憶の元に構築される。
だが、一度出来上がった想いは、記憶ではなく心に依存する。
これから先、何を忘れようとも、二人の想いが消える事は無い。
みさおがみさおである限り。
○○が○○である限り。
「なぁ…? ○○…」
みさおはゆっくりと腕を○○の背中に回し、自分の心と想いが不変である事を伝えるよう、目一杯の笑顔を向けて告げた。
「大好きだぜ!」
FIN 以上で本編の投下を終わります。
では、ついでではありませんが、引き続きオマケの投下を行ないます。 あえて突っ込みたい
こなたよ、楽しみにしてた壁サークルは自分で回れ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています