どの親も、自分の子がそんな目に遭っているとは思わないだろう。自分の子に限っては大丈夫だろうと思うのが大半だ。自分のやり方、育て方は間違ってはいない、そう思うことだって。

だんだん自分の中の歯車が噛み合わなくなった。進学することに疑問を持って公務員試験は受けたけれど全滅だった。郵政、東京都職員、横浜市職員。
とにかく自分は親元を離れて自由に暮らしたかった一心だった。そして、新宿二丁目に行って、自分の思うままを謳歌するのだと、そう思っていた。

就職の願いもかなわずに、親と進学のことでケンカしたりもした。それでもなんとか新聞奨学生のかたちで東京の専門学校へ行く。初めての一人暮らしに嬉しくなったのも事実だ。憧れもあった。行くところがたくさんある。
自分のいたところからは遠かったけれど(葛飾区金町だったな)、あの新宿二丁目にだっていけるのだから。だけど朝から自分の手で働くのはしんどかった。
どうしてこんな思いをしなければいけないんだろうと思っていた。……そんな生活も長くは続かずに、自分の手で終わらせてしまった(しばらく前の日記にも書いたからここでは書かない)。

そして1年はどこにも行かずに無職の生活が続いた。親が白い目で見る中。そのときに親戚からワープロを借りて狂ったように文章や作詞を書いていた。楽譜なんかを見て、見よう見まねで歌も作ったりした。
オーディション雑誌も読んで送ったりした。だけど全滅。自分は絶対になるものだと思っていた。自信だってないわけではなかった。
早く職に就きなさいとか言われたけれど、その頃はそんなの嫌だった。たとえ世間で自分たちの年代で凶悪な事件が勃発していたとしても。

そして今は、仕事の愚痴を言いながらもなんとか今を過ごしている。もうすぐ5年になる。いろいろなことはあったけれど、それなりに過ごして来て、同級生にも「かなり長いよね」と笑われる。
そんな生活が苦しくとも楽しい。その中でインターネットも知り、ベイスターズが好きになって、たくさんの人に出逢って、Hなことも知って、こうして過ごすことができる。

確かに今、そういったハイリスク・ハイリターンの仕事もやりたいとは思う。そんな雑誌でそのような募集の広告に載っている金額に目が眩む。生活立て直しが急務だから。
でも自分の顔を見たらこんなの無理だろうなぁとも思う。どんな世間でもカッコイイ人を求めているから。だけどそんなことをしたら自分の周りからみんながいなくなりそうな気がする。
今はそれが怖い。前に進もうとして、前のめりで転んだままになる。人の態度が、変わらないとは思えないし思わないから……。

そんなことを考えることもなく出られてしまう人は、ある程度割り切っているのかなぁ。そんな話を雑誌でも見たから、きっとそうなんだろう。そこで運良く人気者にでもなれば少なくとも生活は保証されるものだ(と思う)。

確かに人にはもてはやされたいが、そのような強運がおいらにも欲しい。どんなふうになっても、自分であることに変わりはないのだから。ただ、自分の足場をしっかりと見ることだけを忘れぬようにしていこう。



明日の電車の中で、きっと読み終えてしまうだろう。読み終えてしまっても、また読み返してしまうのだろう。

どこかで、必ずね……。