父親からしたらこんな感じかしら?

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私の息子は子供の頃からあらゆる能力が低く、努力を嫌い、いつも自分より優れている周りの人々を憎み嫉妬していた。

まだ言葉を覚える前から他人を陥れたり、欺いたり、泣くことで大人の力を借り己の無能力に直視せず相手を黙らせることで不満を解消するのが息子の生き方だった。

努力して達成感を味わう喜びを感じたことはおそらく一度もない。
他人を利用して騙し、奪い、傷つけることで劣等感から来る不満を解消するのが息子にとっての「満足」であった。
息子がニヤニヤと満足げな不気味な笑みを浮かべているとき、必ずその影で純潔が汚されていた、私はそのぶん息子を殴っていたと思う。

何度も正しい道を示してきたつもりだ。しかし、最後は横暴な父の被害者だと開き直り、逃げ込んだ東京ではHIVに感染し、仕事も何一つ務まらず自分勝手に破産した。
私はそれ以来息子に正しい道を示すことを諦めた。
しかし、親として何度も未納の家賃の支払いに応じた。
何ヶ月分も。
息子は東京で何をやっているのだろう。
しかし息子はその金をスポーツ観戦やミュージシャンのライブ鑑賞の為に使い込み、嘘をついて善意の大家さんを訴え金を騙し取ったと聞く。
妻を引き止めたが、夜逃げした部屋の片付けに私は行かなかった。
きっとこれが私の人生の底を打ったと、確かにその音を聞いた。

しかし、それでも息子の如何様師としての悪達者ぶりは酷さを増した

病気を理由に怠け、施しが足りなければ嘘をつき、他人が羨ましくなれば陥れることが当たり前になったようだ。
自宅へはたくさんの善意の訴えの電話が鳴るようになった。
大人を騙して相手を怯ませる手口は悪辣さを増したようで、
コンビニバイト先では弱いもの特有の陰湿な嫌がらせやいじめも行っていたようだ
女性を相手にいやがらせをし、反撃を受けて子供のように泣いたという。
情けなさの至りである。

現在、息子の悪癖は長じて債務不履行、生活保護不正受給、詐欺、脅迫、名誉毀損、傷害致死、殺人予告の罪として現れ始めている。

私は自分でも驚くほど、それらを通知する電話口では平常心でいられた。

あいつならやりかねない。

私にできることは、あいつからこの家族を守ることだけだ。