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■ファンタジーの裏で…

今回、あらためて思ったのは(今さら感がありますが)、
「ヒットコンテンツは『掛け合わせる素材』になる」ということです。

現在、好評を博している「副音声付き上映」を展開する『HELLO!MOVIE』は、
元々、目や耳が不自由な方にも映画を楽しんでいただけるように開発された“無料”アプリです。
「その機能をまるまるコメンタリーとして使っちゃいましょう」というのが今回の企画なわけですが、
それもこれも、「作品のヒット」が前提なんですね。
アプリ内のコンテンツを開発するにはそれなりのコストがかかります。

この他にも『えんとつ町のプペル』の関連商品がいくつか出ています。トイレットペーパーとか、洗剤とか。
『えんとつ町のトイレットペーパー』は予想を遥かに超える売れ行きで、追加生産に追われています。

問題は、『HELLO!MOVIE』にしても、洗剤にしても、トイレットペーパーにしても、
これらは「映画が公開する前から準備を進めていた」ということ。
ヒットが決定してから企画に着手したわけじゃないんです。

これがメチャクチャ大事で、たとえば『えんとつ町のトイレットペーパー』は
通常のトイレットペーパーよりも単価が高いのですが、それでも売れています。
つまり、ブランドになっているので、薄利多売競争に参加しなくてもいい。
商品の品質が良いのなんて当たり前なんだから、品質で勝負しちゃダメ。

コラボ商品の基本ルールとして、「一つのジャンルに1企業」があります。
『えんとつ町のプペル』が、他の、トイレットペーパー会社と組むことはないんです。
ファンタジー作品は「ブランド」であり「宗教」で、競合との差別化を図る付加価値そのものです。