>>56続き)

そこで西野が目をつけたのが、「0→1」の創作ではなく、現実世界の二次創作です。

たとえば、『えんとつ町』。
ありがたいことに『映画 えんとつ町のプペル』は、まもなく観客動員数が100万人を突破します。
ものの3週間で、絵本の売り上げを超えてしまうのですから、映画というのはつくづく巨大ビジネスです。
今回の映画のヒットにより(※この10倍はヒットさせます)、『えんとつ町』の認知は拡がったと思います。 

おそらく今、“映画を観た子供達”が、お父さんが運転する車でコンビナート(工場夜景)を横切った時には、
「えんとつ町だー!」という声をあげていると思います。
コンビナートを今から作ろうと思ったら、ものすごーく時間がかかってしまいますが、
コンビナートを二次創作することによって、
現実世界に存在するコンビナートを『えんとつ町』にすることができて、
可処分時間を獲得することができる。

あまり目立ってはいませんが、この冬、『えんとつ町』は一気に拡大したと思います。

ときどきディズニーもその手をを使うことがあって、
タイのコムローイ祭り(※ランタンを空に上げるやつ)を見て
「ラプンツェルみたい!」と言っている子供は少なくありません。
あれなんて、まさに「現実世界の二次創作」です。

基本的にはその発想で、現実世界の景色に(c)を付けていく。

「アニメーションを現実世界に再現するよりも、
現実世界に手を加えてアニメーション内に再現することによって、
現実世界そのものをテーマパーク化した方が拡大スピードが速いんじゃね?」
というのが西野の考えです。

『チックタック ~約束の時計台~』には満願寺を描いているのですが、
絵本を読んで満願寺に来られるお客様は今日も「本物だ〜!」と寺の山門前で写真を撮られるそうです。