>>887続き)

もう死んじゃったのですが、昔、「Mr.ボールド」という名前のスットンキョウな一輪車芸人は
僕のことを「ルーキー君」と呼んでくれて、空き時間にご飯に連れてってくれました。
ボールド師匠の口からは他人の悪口とエロイ話しか出てきませんでしたが、
それが「師匠、ほんとバカですね」と突っ込ませてくれる隙を作ってくれました。

中田ボタン師匠は、うまく楽屋に馴染めない僕を御飯に連れ出してくださって、
エロイ話をたくさん聞かせてくださいました。
「師匠、今、こういうのが流行ってて……」という話をすると、
「難しくて、よく分からん。そんなことよりも……」とエロイ話を再開する始末。どうしようもありません。

先日、劇場でアホの坂田師匠とすれ違った時に、「おお、西野! お前、背、伸びたなぁ」と言われました。
伸びてません。 #アホにもほどがある

ビットコインが流行った時は、ほぼ全芸人がビットコインにハマりました。
テレビで「億り人」の報道を見て、「後に続け!」となったそうです。
「そもそも、テレビで情報を仕入れる情報弱者をカモにするビジネスモデルなので、
 今すぐ辞めた方がいいですよ。そもそも損切りとかできないでしょ?」
と説得を試みたのですが、皆、目が『¥』マークになっていて、まるで聞きません。
まもなく全員、爆死しましたが、それをネタにして、笑わせてくれました。

芸人は、バカなくせにプライドが無駄に高くて、本当にバカで仕方ないけど、
ですが、その芸人に救われて今があります。

『映画 えんとつ町のプペル』なんて観る人が観れば分かると思うのですが、
テンポ間から何から、あれは明らかに「芸人が作った映画」なんです。
#志の輔師匠の口上しかり

ステージの上や、舞台袖や、楽屋で、バカな芸人さん達と過ごした時間がなければ、
あのような作品は生まれていません。
そして僕はまだ、その恩を芸人さん達に返せていません。