>>257続き)

こんなものが、「たった1日の舞台挨拶の予算」で作れるハズもありません。
 
つまり、
「ミュージカルを作っていたから、舞台挨拶のクオリティー(お客さん満足度)が上がった」
というわけですね。
 
このへんは「ミュージカルの宣伝にもなるし」みたいな感じで、
「ミュージカル / 舞台挨拶」の国境線をサクッと越えられたのですが、
「ミュージカル / 歌舞伎」は、そうはいきません。
 
「やっぱり、ミュージカルと歌舞伎は、まったく別のモノを作らなきゃいけない。
 衣装を使い回すなんて、もってのほか」
……と思っていたのですが、先日、『スナック西野』にゲストで来られた市川海老蔵さんから、
「ミュージカルで作ったネタ、ひととおり全部ください」と、真っ直ぐな目で言われて、煙が晴れました。
 
「使いまわしはいけない」と思っていたのですが、各作品(各メディア)で、すべてゼロから作っていたら、
それこそ他作品との差別化を図れないわけで、絵本の素材を映画に使いまわし、
映画の素材をミュージカルに使いまわし(※実際に映画用に制作した楽曲を使用したりします)、
そうやって『えんとつ町のプペル』があります。
 
にも関わらず、「ミュージカルのネタを歌舞伎に使いまわすのはチョット…」と思っていた西野。
 
何がブレーキをかけていたのかを考えてみたのですが、
おそらくは「ジャンルの近さ(※どちらも舞台作品)」と、「スタッフの目」だと思います。
「あの衣装を、こっちの作品でも使うんだ…」という、ある種のガッカリを生んでしまうのではないか?
……と勝手に考えてしまっていたんですね。
 
でもでも、よくよく考えてみると、順番がミュージカルが先だっただけの話で、
たとえば1月の歌舞伎用(プペル用)に開発した舞台装置などをみたミュージカルスタッフは、
「あの舞台装置、借りれませんかね?」と普通に言ってくると思います。