>>91続き)

あれだけ毎日一緒に遊んでいた梶原君との会話が無くなり、
ついに、目の前からいなくなってしまった日のこと。
新聞で「キングコング活動休止」の文字を見た日のこと。
どうすればいいのか分からずに、全ての個人活動を止めて、何ヶ月も家に籠った日のこと。
あまりにも惨めで、コンビニに入ることすら億劫になっていた日のこと…。

僕は、まだあの日の思い出に決着をつけていない。
胸の奥の奥の変な隙間に、ずっと挟まったまんまだ。

大阪の元町の交差点にあるマンションの小さな一室で、
どうすれば梶原が帰ってくるかを必死で考えていた。
テレビをつければ、窓を開ければ不安が入ってくる部屋で、
どうすれば、またキングコングを再会できるかを必死で考えていた。
19歳の時にかわした梶原との約束は、まだ果たせていなかった。

あの不安でしかなかった日のことを、一人で震えていた日のことを、
キチンと作品にしようと思って『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』を書いた。

ここから、美術の開発や、キャラクターの開発があって、コンテを描いて…と作業は続く。
というより、まだ始まったばかりだ。
完成は2年後とか? …いや、まだ分かんない。