>>980続き)

なので、美術セットはお客さんが焦点を絞った先にギュッと固めて、
あとは照明(光はどこまででも伸びる)との合わせ技です。

僕たちのチームは「『大きい』は正しい」というバカみたいなスローガンを掲げるぐらい
大きいもの(巨大な何か)を愛しているのですが、
「大きな空間に、(予算内で)中途半端に大きいものを作ってしまうと、小さく見える」
という地雷にも気を使っていて、美術セットと、照明演出の割合や、
予算をかけるポイントなどを、そこそこ丁寧に話し合っています。

「生バンド」も同じで、武道館クラスの会場になってくると、
豪華にしようと思って入れた「生バンド」が、「生バンドがいないスペース」を際立ててしまい、
結果的にショボく見える…という事故を起こしてしまいます。

これを言うと、劇団四季の人達にしこたま怒られるのですが、
浅利慶太さんが演出した長野五輪のオープニングなどは、この地雷を踏んでいます。
大きな競技場に、大きな身体のお相撲さんを出して、「お相撲さん小っさ!」を生み出していました。

それでも、視覚的な派手さを目的として「生バンド」を入れるのであれば、
数百名ほどのビッグバンドを入れるといいのかもしれません。
いずれにせよ大箱は「視界の面積」で空間を設計することが求められます。

さて。話はここからです。