>>218続き)

ここで知っておいた方がいいのは、
「大手に出資してもらうことの最大のメリットは『制作費の確保』じゃない」ということ。
お金を用意するだけなら、ぶっちゃけ、自分で死に物ぐるいで掻き集めるか、
地元のお金持ちのお爺さんに出して貰えばいいんです。

大手に出資してもらうことの最大のメリットは、「出資分を回収しようとする大手の宣伝力」です。
ジブリ作品に出資した日本テレビさんは、本気でジブリ作品を宣伝するし、バンダイさんもそう。
これが「大手にお金を出してもらう」ことの最大のメリットです。

権利を一般の方に分散させてしまうと、当たり前ですが、大手はその権利を買いません。
そうすると待っている展開としては「自分達で宣伝する」になるわけですが、そうなると、
お金を回収することはできても、身内ノリの域を越えない。

世界に出てみるとすごくよく分かるのですが、たとえば、ブロードウェイ一つとっても、
バッキバキの村社会(日本の比じゃない)で、彼らは、自分達にメリットがない作品は
コミュニティーの中には絶対に入れない。
「日本で売れたから、今度はブロードウェイで」みたいな感じのステップアップ夢物語は存在しなくて、
「いかにブロードウェイ村に入り込むか?」が重要になってくる。

エグい話をすると「誰に投資してもらうか?」が重要になってきます。
投資家は投資分を回収しようとするので、村の重役(裁量権を持っている人間)に口利きをするので、ブロードウェイでは、
「そういう投資家を引っ張ってくる為に、どういう立ち振る舞いをするべきか(どういうチーム編成にするか?)」
という議論が今日もおこなわれています。

当然、一般の方が権利を分散して持っている(すでにアチコチでグッズも出ているし、今後も出続ける)作品に、
ブロードウェイの投資家はお金を出しません。

映画にしてもそう。
海外の配給会社は「独占権」を買っているので。