>>74
 
■作品の権利を持つor持たない問題
 
まぁ、そんな月並みな感想を並べつつ、同時に考えてしまったのが「作品の権利を持つor持たない問題」です。
 
いろんな形がありますが、基本、作品の権利って「制作費を出した人」が持っていたりします。
芸能事務所に所属していると、大体の場合は、作品の権利は芸能事務所が持っています。
当然、制作費を出した人は一番大きなリスクを背負っているから、その分、売れた時の取り分も大きくて、
よくタレントさんとかが「事務所にほとんど持っていかれた」みたいに言ったりしていますが、
基本、「ヒット作」というのは、そうそう出るもんじゃないので(基本、赤字なので)、
このあたりはタレントさんは実は守られていると思います。
 
まぁ、そういった「取り分」の話はここではどうでもよくて、僕が引っかかっているのは、
「作品の権利を自分で持っていないことによって、奪われてしまっているスピード感」です。 
僕らは自分達で『テイラーバートン』の制作費を全額出して、自分達で作品の権利を持っていたから
映画館で上映してみよう!と思って、こうしてすぐにチャレンジできました。
 
ただ、この権利が事務所預かりだったら、映画館でやってみたいと思っても、
「ちょっと上に確認してみます」から始まり、「ちょっと前例が無いので…」という足止めをくらってしまって、
そうこうしている間にどんどん遅れをとっちゃう。 
これだけ変化が早い時代において「遅れをとる」というのは結構致命的な気はしていて、
最近は『えんとつ町の踊るハロウィンナイト』のオンライン配信チケットを買っていただくための手を毎日打っていて、
そこでは全部自分達で「あれを出そう、これを出そう」と判断していて、思いついた次の瞬間には出せているので、
余計に思うんです。
 
「×映画館」「×配信」「×NFT」「×Netflix」「×○○」…自分達が生み出したコンテンツをどの棚に並べるか?
その最適解を最速で選べる人と、そうじゃない人。
ここの差はジワジワと広がっていきそうだなぁということを思いました。
 
発信の選択肢が増えた時代だからこそ、「権利を持つこと」について、
皆、もう少し向き合った方がいいんじゃないかなぁ?というオバサンのお節介でございました。