>>456続き
 
■強くなるには「追い込まれる」ことが必要
 
そんな中、先日、仲良くしている後輩から「事務所が売ってくれない(頑張ってくれない)」という相談をされまして、
自分達とのギャップに愕然としたんです。 

繰り返しますが、僕らがミュージカル『えんとつ町のプペル』を作っても、コマ撮り短編映画『ボトルジョージ』を作っても、
「売ってくれる人」なんて僕ら以外に誰もいないんです。 
武道館でライブをするにしても、幕張メッセでライブをするにしても、自分達で小屋を押さえて、自分達で制作をして、
自分達で予算を集めて、自分達でチケットを売っています。
そんなこと、誰もやってくれません。
 
なので、「事務所が売ってくれないんです」と相談してきた後輩には「何を寝ぼけたことを言ってるんだ」と思いましたが、
ただ、よくよく考えてみると、僕が今「自分を売るのは自分しかいない」というマインドを持てている理由は、
何も、「僕がしっかりしていたから」なんかじゃなくて、「追い込まれた結果、強くなるしかなかった」というのが正しくて、
遡ってみると、25歳の時に「絵本作家になる」と言って芸能界を飛び出した時に、最初は誰も売ってくれなくて
(吉本興業は絵本作家をサポートする事務所じゃないので当然)、その時から僕は追い込まれていて、
自分でやるしかなかった。
 
今じゃ当たり前になりましたが、「オンラインショップ」という選択肢は当時じゃ当たり前じゃなくて、
でも、食っていかなきゃいけないから創業ホヤホヤでまだ誰も知らなかった「BASE」を使ってモノを売って、
「ネットでモノを売るなんて、詐欺師だ」と言われ(笑)、クラウドファンディングで活動資金を集めて、また批判され。
 
それらも、何か強い意志でもって臨んだわけではなくて、追い込まれていたから、そこにするしか無かったんですね。
 
そう考えると、強くなるには、やっぱり「追い込まれる」のが先で、
もし今、「俺、弱いな」と思っている人がいるとしたら、その原因は本人にあるわけではなくて、
「強くならないと終わってしまう環境にいないこと(追い込まれていないこと)」が全ての原因で、
「そこにいたら、いつまでたっても強くなれないよ」という言葉を贈らせていただきます。

(*終わり)