「現に、スウェーデン女性の社会進出(約80%)も半分はパートである(もっとも、日本的パートではなく、労働時間短縮の意味が入る)。
それに進出は量とともに質も考えねばなるまい。しかし質的水準はまったく問われないのだ。実は女性の社会進出は先進国では皆大同小異なのである。

スウェーデンの政治家の女性進出はいわゆるクオータ制(割当制)という選挙制度のお蔭なのだ。だから女性の社会進出は大きく偏向している。
つまりその職種は特定部門(20種前後)に集中しているのだ(集中度がもっとも激しいのが公的福祉部門であり、ここにまた問題がある)。
これに対して男性の職種は160種前後に広く平均して分散している。

ということで、少し分析的に見ればたちまちスウェーデン女性の地位の高さなどは表面的なものであることがわかるのだ」

武田龍夫著「福祉国家の闘い スウェーデンからの教訓」中公新書、2001年  第4章「モデル国家の裏通り」