ジェンダー、性差別といった問題は一般的に女性の抑圧という視点から論じられ、
男性解放論はほとんど聞かれない。本書は、現代は男性こそが抑圧され、支配されていると主張する。

男性は女性に比べてより危険で過酷な仕事につくことを要求される。女性は結婚により家庭に入るという選択肢もあるが男性にはほとんどそれは用意されていない。

デートにいくときは男性が支払うことが期待され、結婚生活においても男性がより多く支出するという考えが一般的であるため、男性は自分の意思に反してでもきつい仕事にしがみつき、ストレスと過労から健康を害することになる。

さらに、女性をエスコートし、誘い、性的関係を迫るのは男性であるという文化的コードがあるために、男性は常に自ら危険な交渉を買ってでなければいけない。

実際には女性が誘っていても、少なくとも表面上は「拒否する」という意思表示を繰り返すため、そのプロセスでしばしば、セクハラ、レイプといった嫌疑をかけられる。

国や制度、社会規範によって保護された女性に対し、男性は、軍隊や危険な作業に駆り出され、嫌な仕事を続けることを強制され、家では女性の言いなりになって、
追い詰められる。そうした生きる範の狭さ、生きづらさが、男性の平均寿命の低さに表現されているのだという。

実際アメリカでもっとも長寿なのが白人女性、次に黒人女性、そのあと白人男性、もっとも短命なのが黒人男性で、実に15才ちかくもの差がある。