男子・男性はどうしたらいいか

(中略)

今、大事なことは、男子・男性が、女子・女性の一定の社会的進出のなかで、
男女共同参画社会は「女性中心的な社会」(山本弘之)だとか、「女災社会」
(兵頭新児)だとか嘆くことではないでしょう。ましてや、自虐的に「オレたち
こそが被害者だ!」などと叫んで、女性の社会的進出を揶揄したり、女性を
敵視したりすることではないでしょう。

むしろ、女性との対話のなかで、ジェンダー不平等のもとでお互いがこうむ
っている被害や加害を率直に語り合うことをとおして、お互いの状況を理解
し共有し合うことが必要でしょう。そして新しいジェンダー規範を模索しな
がら、お互いがもっと楽に安心して生きることができるジェンダー平等な
ホームや社会を構想していくことが求められているのではないでしょうか。

(池谷壽夫・了徳寺大学教授、「男性問題から見る現代日本社会」p.6-8より)


男性問題から見る現代日本社会(池谷壽夫ほか編、はるか書房、2016/10/01)
https://www.amazon.co.jp/dp/4434224107/


池谷壽夫(いけや ひさお)

1948年静岡県生まれ。横浜市立大学文理学部哲学科卒業。名古屋大学大学院
文学研究科哲学専攻博士課程満期退学。博士(社会福祉学)。高知大学教授、
日本福祉大学教授を経て、2013年より了徳寺大学教養部教授。哲学・教育哲学
の視点から、ジェンダー・セクシュアリティと教育の問題、とくに男子問題に取り組
んでいる。著書に「ドイツにおける男子援活動の研究」、「大人になる前のジェン
ダー論」「こんなに違う! 世界の性教育」など。