>>510

ここからは別の観点になりますが、監督は「ラディカルフェミニズム」と呼ばれる
運動の過激で攻撃的な側面も描きます。元々フェミニストの人ですからその主張
そのものは共感しているはずです。しかしその運動の過激さに違和感を覚えており、
そこも盛り込んだことは批判を受ける覚悟で行ったと思います。

また、僕が今回たくさん批判を頂いた「差別構造を無視した意見だ」は今回も適用
されると思います。そして監督が受ける批判の最も強いところはもしかしたら、
劇中で語られる「男性もまた社会によって差別され傷ついてきたのではないか?」
という部分かもしれません。

構造的な差別を受けた者は、その主張をある程度過激に発信せざるを得ない。僕も
その感覚はわかる(多分それは監督も)。

女性の権利が認められなかった時代が長いのは自明です。議論の余地はありません。

では男性は本当にいつも差別をする側で、権力者で、加害者なのか/だったのか、
得ばかりしていたのか。戦争で死ぬのは90%以上が男性(ただこれは「兵隊における
男女比を無視した数字の可能性あり」ではあるが、おそらく言いたいメッセージは
変わらない)、危険な仕事に従事して仕事中に死ぬのもほとんどが男性、DV被害は
7:3くらいで男性もそれなりにいるのにシェルターが全く無いなど

もちろん、女性の権利が、歴史的に政治的に物理的に暴力的に本当に長いこと抑圧
されていること、差別されてきたことは監督は(そして僕もそれなりには)よくよく
分かっています。それは構造的なものであり、未だにその長い歴史が持つ加害性が
尾を引いています。