>>897
久真八志(くまやつし) @okirakunakuma  返信先: @fuyu77さん

厳しい評価ですね。勧めた身としては申し訳ないですが、一応、私が評価する理由も述べて
おきます。まずドキュメンタリーの評価にあたって、対立する両陣営を公平に描くかどうか、
私は重視していません。それでは報道なので。ドキュメンタリー映画は監督の主観(偏見も
ある)を表現してよいです。

この私のドキュメンタリー映画観は森達也さんの著書「ドキュメンタリーは嘘をつく」に大きく
影響されています。「ドキュメンタリーは現実を正しく描くべきである」というよく言われるテーゼ
に反論する内容となっています。

ドキュメンタリーも表現である以上、他の創作物と同様で、まず制作者の表現したいことが
表現されているかが評価の基準になると思っています。ですので情報を正しく伝えられて
いるかを、ドキュメンタリーの評価の軸として採用しません。ここが環さんと私で見方が異
なっているポイントかなと思います。

もちろん対立する両陣営を公平に描かないことで、制作者が表現したいであろう内容と
齟齬をきたしているような場合は批判の対象となると思いますが。例えば制作者が公平
に描いているとアピールしているのに、内容は偏向しているとか。「レッドピル」はその例
には当てはまらないかと。

「レッドピル」がフェアな取材姿勢を装っていたか。私は、監督自身が自分の生い立ちや
キャリアについて語り出し、ビデオ日記で自分の表情を見せ続けた点から、そうは思いま
せん。あくまで「私を見よ」をアピールしていた。フェアさをアピールするのに、一人の人間
の内面を見せる手段はとらないかと。

さて、私の解釈では、「レッドピル」は、男性運動の擁護というよりも、(米国の)現在のフェミ
ニズムへの疑念と批判に軸足がある映画なのだと思います(ネガキャンという印象はある
意味正しい)男性運動家たちのネガティブな部分を見せなかったのも、男性運動を描きたい
と思っていなかったからでは。
(つづく)