小宮友根氏(東北学院大学准教授)によるラディカル・フェミニズムの解説

--------------------------------
KOMIYA Tomone@frroots

前にも書いたけど、教科書的な話をすれば、ラディカル・フェミニズムというのは
60〜70年代に生まれた第二波フェミニズムのひとつで、家父長制という視点から
男性による女性支配を捉えたのがその特徴。

リベラル・フェミニズムが公的領域における平等な取扱いを重視したり、
マルクス主義フェミニズムが資本主義階級による労働者階級の搾取を重視
したりしていたのに対し、ラディカル・フェミニズムは女性支配は法制度上
の平等や労働者階級の解放によって解消されるものではないと主張した。

「表面的な不平等について語るとき、それと同時にわれわれはもっと深い何かに
ついて語っているのである」(シュラミス・ファイアストーン)

なのでラディカル・フェミニズムにとっては、重要なのは社会に浸透している
男性と女性のあいだの支配的関係性を変えていくことだった。ラディカル・
フェミニズムにおいて私的領域における女性への暴力や、ポルノグラフィや
売買春等の性的問題に対する取組みが重視されてきたのはそうした理由による。

「ラディカル」というのはそうやって性差別問題を別の問題の一部として
理解しませんよという意味であって「過激な」という意味ではなく、
ラディカル・フェミニズムの視点自体は、さまざまな批判的検討を経ながらも
現在のフェミニズムの中心的位置に浸透しているといってもいいくらい。

こうした教科書的なことだけからも、「ラディカル=過激な」と思い込んで
2015年の現在に「リベフェミはいいけどラディフェミはダメ」とか言うのが
いかにおかしいかはわかる。「フェミニズムのうちどこまでがラディカル
・フェミニズムの範囲か」なんて問いには現在ではあまり意味がない。