日本の女性の生活満足度や幸福度が、なぜ男性よりこれほど高いのかについての定説はないようだ。というより、その事実自体が、日本は根強く男性優位社会であるという一般的な通念と矛盾するので、看過されてしまっている。

私の考えでは、幸福度の女性優位が、日本ほどではないが、韓国、台湾、香港といった東アジア諸国でも共通である点を考え合わせると、相続や選挙権に関する制度的な男女平等が各国で戦後実現したのと平行して、
現代では、かつての儒教道徳から女性がかなり解放されたのに対して、男性の方は、男は一家の大黒柱、あるいは男はか弱い女性を守らなければならないといったような古い道徳観になお縛られているから、こうした結果が生じていると思う。
男への期待感が大きいだけに、それだけ幸福度を感じにくくなっているというのが私の見方だ。