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(「矛盾社会序説」に対するAmazonサイトでのあるレビュー)

「非モテ男性」=被害者の議論はおかしい (お気に召すまま, 2018年11月26日)
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R2SCL0KDNF08DF/

本当はかわいそうなのだけれど、そう思われていない「かわいそうランキングが下の人たち」
が存在するという、重要な問題提起をしている。だが、労働と収入の問題が人生のリスクに
結びつくという議論は正しいとしても、著者にジェンダー・バイアスがあるのだろうか、「かわ
いそうランキングが下の人たち」は男性に多く、女性に少ないという誤った議論になっている。
5章「非モテの叛乱」の時代?、6章「ガチ恋おじさん」、はとても変。性的魅力に乏しい男性は、
彼女ができにくい、結婚しにくいという話だが、それは女性にとっても同じである。「ブス」に
相当する男性語がないことからも分るように、容姿がより多く重視されるのは女性である。
モテない男性がモテない本当の理由は、性的魅力が乏しいのではなく、ちゃんと働いて稼ぐ
能力が乏しいからであり、本書の全体的主張からすればそうであるはずなのに、そこだけ
ねじれている。ホリエモンが「女は金についてくる」と豪語したように、金を稼ぐ能力さえあれば、
「キモいおっさん」でもモテないことはない。著者は、恋人がいない男性、結婚できない男性が
いるのは、女性が選り好みするからで、女性が悪い、フェミニズムが悪い、と言いたいようだが、
それは違うだろう。性的魅力のなさで損をしているのは、むしろ女性の側である。前田正子
『大卒無業女性の憂鬱』から分るように、女性は「家事手伝い」という職業範疇(?)があるので、
「引き籠り」の実態が不可視(=本書で言う「透明」)になっているが、本書の見立てとは違い、
女性の「引き籠り」も多い。