異性と関わりたくない…ハラスメントが拡大する「快適な社会」の代償
(御田寺圭, 現代ビジネス, 2018-12-20)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58951

現実化する「ハラミ会」

2018年11月ごろのことだ。インターネットで突如として「ハラミ会」なるワードが大きな話題と
なった。「ハラミ」の単語から連想されたかもしれないが、焼肉を楽しむ同好会のことではない。

ハラミ会の正体とは、『モトカレマニア』(瀧波ユカリ著)という漫画のワンシーンに登場した
「ハラスメントを未然に防ぐ会」のことだ。女性と食事や酒の席を設けてうっかりセクハラをして
しまうことをなくすため、女性を交えての会合そのものを行わない男性会社員のグループが、
そのように自称している。

「ハラミ会」のメンバーである男たちの過剰反応ともいえる滑稽な姿は、「セクハラに敏感な
社会」を皮肉ったフィクションのように受け止められたようだ。しかしこれはけっして笑いごと
ではなく、いま実際に社会はフィクションを追い越しつつある。

現代社会では、人々はあまり深い関係でない他者のことを、社会的・経済的な観点から
「リスク」とみなすようになってきている。異性に対する意に添わない声かけが、往々にして
「ハラスメント(嫌がらせ、加害)」として回収されうるものとなってしまったことは、その典型的
な事例のひとつだろう。

「他人とコミュニケーションをとったばかりに、意図せず加害者になってしまうリスク」を避ける
最善の方法は、「そもそも他人とお近づきにならないこと、他人とコミュニケーションをとらない
こと」だ――そう考える人が現れるのも無理はない。冗談でいっているわけではなく、本当に
「他人(とくに異性)と関わるとロクなことにならない」という時代がやってきつつある。

(以下省略)