【DS】ノーラと刻の工房 霧の森の魔女 Part36 [無断転載禁止]©2ch.net
新しい刻をつくる。新たな物語をつむぐ。
世界樹の迷宮チームと初期アトリエシリーズの開発者がコラボした
アトラスプロデュース、新生マイスターRPG
■スタッフ
・プロデューサー：小森成雄 ・企画、シナリオ原案：吉池真一
・キャラクターデザイナー：日向悠二 ・サウンドコンポーザー：なるけみちこ
■公式サイト
http://noora.atlusnet.jp/
■攻略wiki
http://wikiwiki.jp/noora/
■前スレ
【DS】ノーラと刻の工房 霧の森の魔女 Part35
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次スレは>>980が立てる。無理なら代役を指名する事。 2階を漁ったら日記が出てきた
前に住んでたおばあちゃんの物だろうか
中には日々の生活のこと、採取場所で取れるもの、加工のレシピなど事細かに書いてあった
住民から頼まれる依頼など、今と殆ど一緒だ
昔から変わらないなあと自然と苦笑する
早くに見つけていたらもっと手際よく依頼をこなせたかも知れない…
ある時期を境に、日記が『パンを棚に並べた』『パンを棚から出した』の繰り返しになった
ちょうど今頃の季節からだ
不思議に思って読み進めたがいつまで経っても内容は変わらず書かれた日付だけが進んでいく…
日記の中のパンの出し入れは今から2年前になっても続いていた
ありえない その頃には私はもうこの家に住んでいたはずだ
しかし日記の日付は止まらない
春が来ても夏が来ても家から、いや2階から一歩も出ずただひたすらにパンを並べている…
日記は昨日の日付で止まっていた
後には何も書かれていない 気味が悪いにもほどがある
怖くなって本を閉じたところで、頼まれていた依頼を思い出した
そうだ、今日もやることが山ほどあるのだ
さっきのことは忘れよう ケケのイタズラかもしれない 後できつく叱っておこう
気持ちを切り替えてから依頼の期日を確認するためメモを取り出した
確かウッコ包帯の依頼が期限間近だったはずだ 案外時間がかかるから手際よくこなさなければ メモ帳が腐ったようにボロボロになっていた
カバーの革は破れ殆ど残っておらず、板紙がむき出しになっている
なぜ？いつの間に？
驚いて中を開くとページは濁った茶色に染まり、文字は判別できないほど色褪せていた
混乱と恐怖で震える指先を紙に押し当てると、生気の無い乾いた感触が神経から脳まで這いずり全身に鳥肌が立った
夢ではない でもこの奇妙な感覚は何だ？
クラクラした頭を集中させ、目を凝らしてメモの文章を読み取った
メモされていたのは酒場の依頼だ
頼まれていたウッコ包帯 報酬も自分の記憶から何も変わっていない
だが期限が何十年も前になっている
そんなはずはない
つい数週間前にダビーさんから頼まれていたはず…
じゃあこのメモは何だ？
どうしてこんなにボロボロになった？
さっきまでただ日記を読んでいただけなのに？
さっきまで？
その前は？
ここは2階
あるのは自分と、棚と、パンだけ
私はいつからここにいた？
私はここで何をしていた？
頭が痛い 霧に覆われたように目の前がかすんできた
振り払うように顔を振ると、視線の先にさっきの日記があった
見ていると段々と息が荒くなり、得体の知れない恐怖が込みあがってくる
『それを開いてはいけない』
頭の靄の中から微かな警鐘が響く
でも、どうしても確かめたい
知らなければいけない気がする
靄からの声を無視し震える手でボロボロのページを開いた
日記の中の最後の依頼
パンの出し入れに憑りつかれる前にこの部屋の主が頼まれていたのは
ウッコ包帯――― ―――いつの間にか床で寝ていたらしい
所狭しと並べられた、パン棚の隙間から見える2階の窓の外は薄曇りのままだ
外に出るのはまだ危ない 嵐が過ぎ去るまでパンを棚に出し入れしてやり過ごそう
ここ数日同じ作業しかしていないが、もうちょっとの辛抱のはずだ
晴れたら庭の片づけをしよう
ケケやメロウは無事だろうか
それが終わったら、ルッツとカルナさんを連れて大廃墟に行こう
期限間近の依頼があるのだ
ウッコの花を、取りに行かなければ 
