ケェケェケェと禿頭の特等生、いや特待生の前で言ってみた。
殴られた。なぜなら剃っていたわけでもなく、徐毛クリームを塗っていたわけでもなく、なんと正真正銘のハゲだったからである。若ハゲなのだろう。遠のいていく意識の中、若いのに可哀想ねぇと脳内の別人格が囁くのが聞こえた。
確かに言われてみれば以前から彼の頭頂部がいささか眩しかったのだが、彼は特待生なのだし後光が射しているに違いないと別段気にもとめなかったのである。
まさかこんな詰まらぬことで彼の逆鱗に触れてしまうとは思わなかった。理不尽である。
しかし驚くのはまだ早い。
廊下に放置され数時間ぶりに目覚めた私はさらに驚くべき事実を知ることとなる。
その前に保健室に連れて行ってくれなかったなんとも薄情で澆薄で不義理で不道徳なカスどもに文句を言ってやりたいが長くなるので自重する。僕ぁなんて寛容なのだろうか。
さて衝撃の事実とは、それは彼は人外の獣であったのだ。これは下手な比喩などではない。本当に人ではなかったのだ。彼は人の皮を被りのうのうと優等生に成り済まし人間社会に紛れ込んでいたのだ。
まったく鉄面皮も良いところだ(まぁ実際に後で彼を解剖にかけたときに皮膚が鉄を主体とした成分で構成されていたことが判明したのだが笑)
私はこれを聞かされたとき文字通り顎が外れてしまい言葉を発しようとしてもケェケェケェと言うほかなかった。