有志で旅行に来た中高年グループが、はぐれた仲間の捜索を警察任せにしたまま“置き去り”に
しようとする事例が木曽署管内で相次いだ。同署は「迷子とはいえ命にもかかわることもあるのに…」と、
怒り心頭だ。

 6日昼すぎ、埼玉県からマイクロバスで南木曽町の妻籠宿を訪れた農業仲間のグループ11人の
うち、60歳の男性1人が行方不明になった。木曽署は警察犬も出して捜索。

 夕方近くになり、仲間が「岐阜県内の温泉地で宴会の予約があり10人で行きたい。仲間の捜索は
警察で」と言い出した。署員がたしなめると、一行は代表者だけを残して温泉地へ移動していった。

 不明男性が保護されたのは同日午後7時すぎ。交通量の多い国道19号を酔って歩いているのを
見たドライバーが通報した。

 7月17日昼すぎにも、バスで木曽町から木祖村へ向かう三重県内の「歴史探訪教室」約60人の一行が、
「仲間(79歳男性)が木曽町内ではぐれた」と携帯電話で同署に届け出た。「警察で見つけてタクシーで
木祖村によこしてほしい」と言う通報者に、署側は少なくとも1人が同町へ戻るよう指示した。

 不明男性はまもなく署員に発見された。待ち合わせ場所を間違え、本来の集合地点とさほど離れていない
場所で仲間を待っていた。署の幹部は「有志のみの旅行なら、常に仲間同士で所在の確認をし、迷子が
出たら皆で捜索に協力すべきだろう」と指摘する。

 同署管内では今夏、御岳山で自由行動中に仲間とはぐれた高齢者が転落死したり、行方不明になったり
するケースも2件続いている。

 (森木幹哉)
http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20090909/CK2009090902000007.html