「墓を見つけたときは、やっと娘に会えたとの思いだった」−自らの手で命を奪った娘の遺骨を
墓から持ち出したとされる父親の初公判が13日、千葉地裁で開かれた。
仮出所後、8年間にわたり墓を探し続け、「自分のそばで供養を」と犯行に及んだ。

 墳墓発掘遺骨等領得の罪に問われたのは、新潟市江南区の薬剤師、田家泰幸被告(51)。
検察側の冒頭陳述などによると、田家被告は2000年3月、娘=当時(5)=を殺害。
自らも自殺を図ったが死にきれず、懲役5年の実刑を受けた。

 04年3月に仮釈放。前妻から娘の墓の場所を知らされていなかった田家被告は、
分骨の話が立ち消えたこともあり、「線香をあげたい。自分で供養したい」と休暇を利用し県内の
墓地を探し始めた。約8年後の12年9月、白井市内の墓地で発見。
被告人質問で田家被告は「やっと娘に会えたと思った」と涙ながらに当時の心中を吐露した。

 さらに「墓前のコップが欠けており、しっかり供養されているのか疑った。自分のそばに置いて
供養したくなった」と犯行に至った動機も明かした。「記念品を入れたい」と偽り石材店に墓を壊させ、
遺骨を無断で持ち出した。遺骨は砕いて北海道釧路市の墓地で保管していたという。
 検察側は論告で「娘や遺族の気持ちを無視した身勝手な犯行。娘への未練のためには法を
曲げることをもいとわない姿勢は悪質」と厳しく指摘。懲役1年を求刑した。
対して弁護側は「8年間、娘に会いたいと思い悩んできた。被告は生涯をかけて娘を供養し、
社会のために働きたいと反省している」と温情判決を求めた。判決は20日に言い渡される。

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