横の繋がりのない、バラバラな状態に両班階層が陥っていたことが、
王権が強力な専制をふるうのに恰好の条件をつくり出していたのである。

大院君はさらに横の繋がりを執拗に断ち切って諸勢力の分散をはかる一方、
自らへの縦の忠誠を徹底して強化し、10年にわたる個人的独裁を可能にしたのである。

この方法は、ずっと後に、李承晩や金日成がとったやり方とまったく同じものである。

横の繋がりを分断し、すべてを一点に向かう縦の流れとして組み立てる権力構成は、
戦後の韓国・北朝鮮にそのまま受け継がれ、韓国ではいまなお政界、官界、財界から
各種民間団体に至るまで、一貫してみられるものである。

呉 善花『韓国併合への道』文藝春秋