「ゴーン氏事件」と「竹田会長事件」への日仏当局の対応の大きな違い
 このように考えると、ゴーン氏事件と竹田会長事件には、多くの共通点があるが、犯罪の嫌疑の程度、起訴された場合の有罪の可能性という点では、竹田会長事件と、ゴーン氏の特別背任事件との間には「決定的な違い」がある。

 ところが、両国の司法当局の対応は逆だ。日本の検察当局は、ゴーン氏を「退任後の報酬の支払の約束」に関する有価証券報告書の虚偽記載の罪で成田空港到着後にいきなり逮捕し、30日以上にわたって身柄拘束をした上に、特別背任罪で逮捕・起訴し、
ゴーン氏は、逮捕後58日経った今も東京拘置所で勾留されている。一方で、3年以上前から東京五輪招致をめぐる贈収賄事件の捜査を行ってきたフランス当局は竹田会長の逮捕も行っておらず、慎重に捜査を進めている。

 以上のように両事件を比較すると、司法手続の適正さ、公正さという面で、日本の検察当局のやり方がいかに異常なものかが一層明白となる。フランス当局側が、
「ゴーン氏事件」での重要な局面と同じタイミングで「竹田会長事件」の「訴追」に向けての手続を公表したことに、両者の違いを強調する意図があった可能性もあるだろう。

 今後の、ゴーン氏事件と竹田会長事件への日本社会としての対応では、この「共通点」と「決定的な違い」を十分に認識して行っていく必要があろう。

https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20190115-00111219/