どうせ不勉強の〇(IA?)は、>>462
>@遅発中性子割合が低下するので、出力振動の予防が困難になる。
という内容が分からないと思うから、以前教えた事と重複する部分があるかもしれないが、教えてやる
ことにしよう。
遅発中性子というのは、核分裂後に励起状態の核分裂生成核が中性子崩壊をした時に発生する中性子の事を
差しており、遅発中性子割合というのは、核分裂の瞬間に発生する中性子の数と、上記の中性子崩壊で発生する
中性子の数の比率を表し、ウラン燃料の場合は約0.6〜0.7%で、MOX燃料の場合は約0.2%なのだな。
それで、制御棒の上下動によってしか核分裂反応を迅速に制御出来ないPWRでMOX燃料を使用して遅発中性子割合が
低くなるとどうなるかというと、制御棒の上下動に対して核分裂反応が鋭敏に反応するようになってしまうので、
目標出力を維持するのが難しくなり、何らかの理由で目標出力を大幅に下回り、誤って制御棒を上げ過ぎると、
今度は出力が急激に上昇して過酷事故に発展する可能性があるのだな。
それでもって、MOX燃料はボイド係数も低下するので、PWRで万が一気泡が出来てしまうと、出力が大幅に低下し
運転員がこの事を理解しないで制御棒を上げ過ぎると、過酷事故に発展する可能性が非常に高くなる訳だな。
で、なんでPuを配合したMOX燃料で遅発中性子割合が低くなるのかというと、PuはUよりもともと不安定な為に、
核分裂時に核力の束縛を破って発生する中性子が多く、励起状態の核分裂生成核の原子量がUより多い為、
中性子崩壊が起きにくいとう二重の理由で遅発中性子割合がUより少なくなってしまう訳なのだな。
尚、なんで励起状態の核分裂生成核の原子量が多くなると中性子崩壊が起きにくいのかというと、原子量が多いと
核子の空間的配位の関係で核子間に働く核力による束縛力が平均的に強くなるので、中性子崩壊よりもγ崩壊や
β崩壊によって低エネルギー準位に遷移する確率が高まる訳なのだな。