吉井質問概要

今回の大津波は福島第1原発の非常用電源を破壊し、炉心の冷却機能を奪いました。

 この5年前に吉井氏は、津波の“押し波”とともに、“引き波”の影響が大きいと、チリ地震(1960年)の事例をもとに質問しました。

 「(押し波が高ければ)水没に近い状態で原発の機械室の機能が損なわれ」「(引き波が大きければ)原発の冷却機能が失われる」

 吉井氏は深刻な影響について、押し波・引き波、ともに想定せよと迫ったのです。

 津波が東北地方を直撃したチリ地震による“引き波”は三陸海岸で約25分も続き、
原発のある宮城県女川町で海水面が推定6メートル低下した記録があると質問で明らかにした吉井氏。
「東北電力女川原発の1号機、東電福島第1の1、2、3、4、5号機、この6基では、
基準水面から4メートル深さまで下がると冷却水を取水することができない事態が起こりえるのではないか」とただしました。

 原子力安全・保安院は、非常用ポンプ吸い込み水位を下回る海面低下で取水困難になる原子炉は、
4メートル低下で28基、5メートル低下で43基もあることを答弁で明らかにしました。

 今回、福島第1原発の原子炉は地震で緊急停止しましたが、
送電鉄塔経由でくる外部からの電源が得られなくなった上に、原子炉に付属して置かれた内部電源である非常用ディーゼル発電機が
津波で破壊されて、海水を取り込むポンプを動かせなくなり、原子炉の温度が核燃料の崩壊熱で異常に上がり、
原子炉建屋が水素爆発で吹っ飛ぶ事態まで引き起こしました。

 津波による炉心冷却機能喪失の危険、水素爆発の事態を予見していた吉井氏。
「崩壊熱が除去できなければ、炉心溶融であるとか水蒸気爆発であるとか水素爆発であるとか、要するに、
どんな場合にもチェルノブイリ(原発事故)に近いことを想定して対策をきちんととらなければいけない」と政府を追及していたのです。

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-03-26/2011032601_03_1.html