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法の支配

精選版 日本国語大辞典の解説

ほう【法】 の 支配(しはい)
君主や帝王による「人の支配」に対して、
何人も裁判所の適用する法以外のものには支配されないとする思想、原則。
民主主義の根幹の一つとされる。

小学館 日本大百科全書

法の支配
ほうのしはい

「人でなく法が支配する」Non sub homine,sed sub lege.(ラテン語)という法原則。←←←
イギリス法においては、国王もまたコモン・ローの判例法体系に服すべきであるという原則として発達した。
13世紀の法学者ブラクトンの「国王もまた神と法のもとにたつ」ということばは、17世紀にクックによって、王権との抗争の際に引用された。
19世紀にダイシーは、私法と区別された公法体系を認める大陸法に対し、
すべてがコモン・ローのもとにたつイギリス法の体系を法の支配の原理として賛美した。
しかしイギリスにおいては、「議会は男を女に変える以外のことはなんでもできる」といわれる議会主権主義で、
コモン・ローの判例法体系も、議会の法律の下にたっている。議会の立法を、憲法を適用する裁判所の下に置いたのが、
アメリカ合衆国憲法判例によって確立された違憲立法審査制度である。
第二次世界大戦後日本も、このアメリカの制度を採用して、アメリカ流「法の支配」の原則を導入した。
[長尾龍一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)