虐げられ社会の底辺で暮らす心優しき青年がゴッサムシティを震撼させるジョーカーになるまで。
『ジョーカー』(トッド・フィリップス監督/2021年/アメリカ)

■虐げられた市民のダークヒーローとなったジョーカー
 ゴッサムの街には激しい貧富の差が存在し、それが日々拡大していました。一部のエリートに富は集中し、政治により医療と福祉等の公序がどんどん削られていきます。アーサーが殺した3人が証券会社に勤めるエリートだったことから、「ジョーカー」はダークヒーローとして虐げられた貧困層を中心に社会の支持を集めていきます。物語はジョーカーとなったアーサーが自分を虐げてきた社会への復讐劇を開始します。
 この映画の評価は、残虐な描写や精神疾患に対する描き方などの問題もあり大きく賛否が分かれています。しかし、格差社会における圧倒的な閉塞感や絶望感のリアリティはすさまじく、本来共感できないはずの存在として生み出されたであろうジョーカーに思わず感情移入してしまう一幕すらあります。その原因の1つには、この映画で描かれた弱者を切り捨て虐げる社会がもはやフィクションのなかだけのものでなく現実の世界中に広く蔓延っているということが挙げられます。医療や福祉を蔑ろにする今の日本社会、本当にこのままでいいのでしょうか。
 稲葉一良(書記長)
https://precariatunion.hateblo.jp/entry/2022/01/29/191339

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