小学三年生ぐらいのとき、実の親から「愛してあげられなくてごめんね」と謝られた過去をずっと引きずっていた私は、
思えばいつも愛情に飢えていました。
愛されることにも愛することにも飢えていました。
十年前に出会い、その約三年後に会えなくなったあなたは、
そんな私にとって、初めて全力で愛情(と当時私が信じていた感情)を傾けた相手でした。
職場の外では一度も会話を交わせませんでしたし、メールも電話も一度も出来ないまま終わった恋でしたが、
ほんの数分顔を見られるだけで嬉しかったし、顔を合わせられなくても、同じ建物にいられるだけで幸せを感じていました。
直接の交流はなくても、あなたは存在するだけで私を救ってくださっていました。

あなたに、「薄っぺらい人間性。先が見えてる」と、厳しい評価を下されたことがありました。
当時、私はその評価にひどく落ち込みました。
けれど、その言葉はこの七年間、「もうここで止めよう。あきらめよう」と何かを投げ出しかけるたび、
私を鼓舞し続けました。
「ここで止めるから薄っぺらなままなんだ」
「もう少しだけ頑張ろう」、と……

あなたの厳しい言葉はこれからも、怠惰な私を叱咤し続けることと思います。
それは、ある意味親から貰う愛の鞭のようなもので、
けれど、親ではなく敬愛するあなたの言葉だったから、私は胸にいだき続けることが出来たのだと思います。

今思えば、私があなたへの愛情だと信じていたあの感情は、「依存心」にほかならなかったのではないかと思います。
「あなたに依存させてください」そんな感情を押し付けられて、心底嬉しい人がいるでしょうか。
あなたが、私を伴侶に選ばなかったのは、賢明なご判断だったと思いますし、私自身の成長という観点からも、
感謝すべきご選択だったと今は思えます。

手の掛かる子どもそのものだった私を、厳しいお言葉とは裏腹に、
温かく見守っていただき本当にありがとうございました。

○○ま○より感謝をこめて