殺人事件 審理やり直し命じる
12月10日 17時01分

5年前、神奈川県相模原市の墓地で女性の遺体が見つかり、元交際相手が殺人の罪に問われた裁判で、2審の東京高等裁判所は「首を圧迫して窒息死させたと認めるには証拠が不十分だ」として1審の懲役17年の判決を取り消し、審理をやり直すよう命じました。

5年前、相模原市の墓地で、東京・新宿区の阿部由香利さん(当時25)が遺体で見つかった事件では、元交際相手で飲食店従業員だった佐藤一麿被告(35)が殺人の罪に問われ、無罪を主張しています。
1審の東京地方裁判所は、睡眠薬を飲ませて首を圧迫し窒息死させたと認めて懲役17年を言い渡し、被告側が控訴していました。
10日の2審の判決で東京高等裁判所の大熊一之裁判長は「1審は遺体の歯の変色から窒息死の可能性が高いと判断したが、変色と死因との間に明白な関連性がないという指摘もある。窒息死と認めるには証拠が不十分で、睡眠薬による中毒死の可能性も否定できない」と指摘しました。
そのうえで、窒息死以外の可能性も含めて双方に主張の機会を与えて審理を尽くす必要があるとして、1審判決を取り消し、審理をやり直すよう命じました。

https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20201210/1000057330.html